続いての依頼品は江戸から明治初期にかけて発行された全種類の一分金、ニ分金、一朱金、二朱金30点セット。徳川家康による1601年の金座銀座設立から明治政府による1871年の新貨条例制定までの270年間、日本では金貨・銀貨・銭貨の三貨幣が流通。そのうち金貨は「両」「分」「朱」の単位で表されており、十六朱、もしくは四分で一両とする四進法で分割されていた。一分金やニ分金は「方金」とも呼ばれ、一分金は1601年に慶長一分金が発行されて以降、五代将軍・綱吉により金品位を下げる改鋳が行われた元禄一分金、再び金品位を上げた正徳一分金など多数の一分金が登場。しかし、幕府の財政悪化や金の採掘量が減少するにつれて金品位は徐々に下がり、幕末期に発行された万延一分金は金品位・重さ共に大幅に下落。二分金や二朱金にも様々な種類があるが、一朱金は全時代を通して一種類のみだった。今回の依頼品は慶長一分金の刻印違いや逆打ちといった珍品も含めたコレクションで、中には現存数が極めて少ない佐渡一分金も含まれている。