2021年11月、鹿児島・奄美大島に歩くほどのスピードで山道を進む車があった。運転しているのは環境省で希少種保護を担当する鈴木真理子さんである。何かを見つけるたびに車を降りてはそれを踏みつけていく。踏み潰していたのは特別天然記念物であるアマミノクロウサギのフンである。鈴木さんは鹿児島大学でクロウサギを研究し、調査のために移住して2019年からは環境省で保護活動に携わるようになった。アマミノクロウサギが多くみられるとナイトツアーで人気の市道・三太郎線。この年奄美市は異例の交通規制を始めた。交通事故からウサギを守るためである。東西の入り口からそれぞれ30分に1台のみで時速10km以下の走行を要求した。この規制を主導したのが鈴木さんたちであった。当初は予約をせずに訪れる人や規制を無視する人が相次いでおり、自然保護と島民の生活のどちらを優先するのか意見が割れていた、
