NHKニュース おはよう日本 (ニュース)
政府は、日本の電力政策の骨格となるエネルギー基本計画を3年に1度見直していて、きょう経済産業省の審議会で新しい計画の素案を示す。この中では、2040年度の電源構成について再生可能エネルギーの割合を4割から5割程度、火力を3割から4割程度、原子力を2割程度とするシナリオが示される。3年前に策定された計画では、2030年度の時点で再生可能エネルギーの割合を36%から38%にするとしていたが、今回の素案ではこれをさらに引き上げ、再生可能エネルギーを初めて最大の電源と位置づける。また原子力については、東京電力福島第一原発の事故以降、エネルギー基本計画に一貫して盛り込まれてきた「可能な限り依存度を低減する」という文言は明記せず、再生可能エネルギーとともに最大限活用する方針を示する。廃炉となる原発の建て替えの条件をこれまでより緩和するとともに、次世代型の原子炉の開発を進めることなども盛り込まれる。
経済部・名越大耕の解説。新しい計画の大きなポイントが原発政策の転換。その象徴が東京電力福島第一原発の事故以降、盛り込まれてきた「依存度を低減する」という文言がなくなること。AIの急速な普及で今後電力需要が増えると見込まれる中、脱炭素と電力の安定供給を両立させるには今後も原発が必要だという国の姿勢を明確にした形。さらに今後、老朽化で廃炉になる原発が増えると見込まれる中、政府としては今回建て替えの条件を緩和することで一定の規模を維持したいねらい。ただ、原発の活用には国民の理解が欠かせない。原発事故以降、安全性に対しては国民の間の懸念も根強いだけに国と電力会社には安全最優先の姿勢と丁寧な説明が求められる。