NHKニュース おはよう日本 (ニュース)
大学病院の小児科について。大学病院には、重い病気の治療で長期にわたって入院や通院を余儀なくされている子どもたちがいる。しかし子どもたちは、病院の無機質な空間や、医療機器などを怖いと感じ、行きたくないと思うこともある。こうした環境を変え、子どもや家族が中心の医療にしていこうと、東京港区の大学病院があるプロジェクトを始めた。どんな取り組みか取材した。年間2万6000人の外来患者が訪れる、東京港区の大学病院の小児科。小児科の教授を務める大石公彦医師。20年以上、米国ニューヨークの大学病院で勤務してきた。有名なスポーツ選手の寄付などで、子どもたちがゲームをしたり付き添いの家族が長時間快適に過ごせる設備を目の当たりにした。2021年に帰国した大石医師は、病院内でプロジェクトを立ち上げた。ゲームなどを手がける企業が協力し病院のスタッフとともに検討を重ねた。子どもたちがゲームの主人公になって、キャラクターと一緒に病気と闘うというストーリーを練り上げた。入り口から診療室まで、そのストーリーに合わせた空間に変えていくことを決めた。先月リニューアルされた小児科。企業側の取りまとめ役のセガサミーホールディングス・伊藤則彦さん。こだわったのは、子どもたちの目線。採血などを受ける処置室に向かう通路の天井にもストレッチャーなどで移動する際も見えるようにキャラクターが部屋に入り、ベッドに上がれば気が紛れるよう天井にも映像を流す仕掛けも用意されている。この病院に通う西山潤さんは、生後10か月から頭部の治療を続け長時間の手術も受けてきた。3年前には手術のため、1か月ほど入院したという潤さん。子どもたちにとって今後も必要な治療。大石医師はこれまでよりも前向きに通ってもらえるのではないかと期待している。大きな病院って、どうしても無機質で、入り口からどきどきすることある。子どもたちのためにと始まったこの取り組みだが、参加した医師や看護師などからは、子どもや付き添う家族にとって安心できる環境を作っていくことに、やりがいを感じたという声が聞かれたということ。東京世田谷区にある国立成育医療研究センターでも、エンターテインメント企業と連携した取り組みが行われている。大石医師によると、こうした取り組みはまだ少ないということで、ほかの地域や病院にも広がってほしいと話していた。