NHK地域局発 北海道道
JR札幌駅近くのセンチュリーロイヤルホテルにある「スカイレストラン ロンド」。3時間かけて一周し、札幌の景色を一望できるレストランとのこと。総調理長の金子厚さんは20歳の時にこのレストランに配属され、40歳で総調理長に任命された。金子さんは「センチュリーに入って40年以上。自分の人生です」などと話した。
札幌に回転レストランができたのは1973年。結婚式の披露宴が派手に行われていた1980年代には、回転レストランでの披露宴も人気となった。回転レストランで披露宴を行った佐藤和也さんは「自分のピークの場所がなくなる。良い舞台でした」などと話した。
回転レストラン周辺の景色は高層ビルの建設などで一変した。またレストランを回転させるモーターの維持・交換が難しくなり、全国各地で次々と運転を停止。回転レストランの記憶は人々から失われつつあった。この回転レストランの再興に立ち上がったのが蝦名訓さん。魅力を知ってもらうために様々な企画を行ってきた。地元の人とのつながりも大切にし、北星学園大学の授業で制作されたワインをレストランで提供することも行った。そんな蝦名さんは最後の取り組みとして、回転レストランやホテルの歴史を残すべく資料を博物館に寄贈することを企画した。
回転レストランのあるホテルで披露宴を行った画家の津田由花さんは、今年の3月にようやく再び回転レストランを訪れることができたという。由花さんは「思い出の場所がなくなるかもしれないからすぐに行かないといけないことを強く思った」などと話した。そして由花さんは、誰もが楽しそうに食事をする回転レストランの絵を描いた。
閉館まで残り約1カ月。蝦名さんはレストランの味を残すべく、レトルト商品の販売を行うことにした。販売会には金子さんの姿もあった。そして迎えた回転レストランの最終日。金子さんにとっても最後の日となった。金子さんは「残念な気持ちもあるが今はやりきった達成感の方が大きい。あっという間の42年間だった」などと話した。