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マルチスポーツと呼ばれる取り組みについて。パリ五輪陸上女子やり投げ金メダル・北口榛花選手は、本格的に陸上を始めるまでは、競泳やバドミントンに取り組んでいた。主に子どものころに複数の競技に取り組むことをマルチスポーツという。運動能力を高めるとともに、さまざまな指導者やチームメートと関わることで人間形成につながるとして、いま広がりを見せている。競泳の強豪・中央大・光永翔音選手は、高校時代に全国高校総体で優勝するなど将来が期待される若手スイマー。光永選手が小学生のころから競泳と両立してきたのが野球。高校では、3年生の夏に4番ファーストとして東東京大会でベスト8まで勝ち進んだ。2つの部を掛け持ちしていた高校時代は、朝と授業後の時間を使って、両立を図ってきた。大学からは競泳に専念しているが、野球で培ってきたパワーや体の使い方が生かされていると感じている。光永選手は「ターン後の壁の蹴りの強さやドルフィンキックは、普通の競泳選手よりたけているところがある。2つやっていてよかったのがいちばん」と語った。複数の競技に取り組むマルチスポーツの推進に、国も力を入れている。スポーツ庁は先月、筑波大学と連携し、子ども向けの体験イベントを初めて開いた。バドミントン、弓道、柔道など9つのスポーツを順番に体験してもらった。マルチスポーツが注目されている理由:身体機能の向上やけがの防止といった運動面での効果、さまざまなコミュニティーで多くの仲間や指導者と関わることで、社会性や協調性などが育まれると期待。イベントに登場したトップアスリートは、特にマルチスポーツによる人間形成への影響を強調した。柔道パリ五輪銀メダリスト・村尾三四郎選手は「柔道以外にラグビー、水泳、相撲、器械体操、合気道もやっていた」と語った。小学生時代に複数の競技に取り組んできた村尾選手は、最大の魅力は、さまざまな考え方や交流を得られたことだと伝えた。筑波大学・大山高教授は「親や指導者への注意点として、マルチスポーツをトップアスリートにすることだけを目的とすると、子どもが練習のやり過ぎになってけがをして、心も折れるということになりかねない。極端になり過ぎず、いろいろな体験をさせることを意識することが重要」と話している。