ワールドビジネスサテライト WBS X 下水道資源
横浜市港南区の畑。農家の皆川さんほうれん草や小松菜といった野菜を育てて販売しているが、いまある大きな悩みが。それは肥料価格の高騰。肥料には作物を効率的に栽培するために必要な成分窒素やリン、カリが含まれているが、日本はほぼすべてを輸入に頼っている。円安や輸送コストの上昇、国際情勢によって価格が高止まりしている状況。そうした中、いま皆川さんが期待を寄せているのが国内で産出したリンを使った肥料。日本では産出されないはずのリン。どうやって国内でリンを生産しているのか。
横浜市鶴見区にある北部第二水再生センター。こちらでは1日に16万トンの下水を浄化、海に流している。その水をきれいにする課程で出てくるのが汚泥。とくに食品にはリンが含まれていて、下水によって集まった汚泥はリンの宝庫だという。横浜市はこのリンを回収するため、約7億円かけて最新鋭のプラントを建設。去年完成した。中央にあるタンクでは汚泥を脱水。ろ過した液体に水酸化マグネシウムを混ぜることで化学反応が起き、リンを作り出す。現在、年間約40トンのリンを生成、これは横浜市の農家の年間消費量に相当するという。横浜市はJAと連携。このリンを使用した肥料を農家に無料で配布し、試験的に利用してもらっているという。将来的には販売・流通を目指している横浜生まれのリン。実はこの下水汚泥からのリン回収。全国に広がりを見せていて、東京都や神戸市、福岡市などでも実証実験が行われている。さらに下水道からエネルギーを生み出す自治体も。