ニュースウオッチ9 (2025 THE 論点)
最初の関門が予算の衆議院通過。石破首相にとっては綱渡りの国会運営になるとみられる。予算案の衆議院通過には野党の協力が必要だが、年収103万円の壁を巡って国民民主党・古川代表代行は、所得税の控除額を与党が提示した123万円よりさらに引き上げるよう求めていく考えを示している。また教育無償化を巡って与党と政策協議を始めた日本維新の会・前原共同代表は、新年度予算案への対応について「賛成する場合も賛成できない場合もあり、熟議の国会の中で最終的に判断していく」としている。新年度予算は補正予算と違い1年間の政権運営の方針を数字で表したものので、野党は相当な理由がなければ普通は賛成しない。早くも与党内からは「野党との協議次第では予算案の修正もありうる」という声も出ていて、難しいかじ取りを迫られそう。
予算案が衆議院を通過したとしても様々な論点がある。3月末までには与野党で意見の隔たりが大きい企業・団体献金の扱いについて結論を出す必要がある。さらに選択的夫婦別姓制度の導入を巡る議論が活発になる見通し。こうした議論の結果が問われることになるのが夏の政治決戦。夏の参議院選挙では与党が過半数を維持して政権の継続につなげるのか、それとも野党が衆議院と同様に与党を過半数割れに追い込んで政権交代の足がかりとするのかが焦点となる。さらに石破首相は参院選に合わせて衆議院を解散する衆参同日選挙もありうるという認識も示している。その引き金ともなりうる内閣不信任決議案が提出されて可決されるのかどうかも含め、与野党の駆け引きが激しくなる年になりそう。