- 出演者
- 小林千恵 山根良顕(アンガールズ)
オープニング映像。
ゲストはアンガールズ山根良顕。
今年は戦後80年。NHKの各地域放送局でも戦争と平和を考える番組の制作や様々な取り組みを行っている。今日は広島放送局「被爆80年プロジェクト わたしが、つなぐ。」を広島出身の山根と伝える。今年は広島と長崎に原爆が投下されてから80年。被爆者の平均年齢は86歳を超える今、被爆体験や平和への願いを次の世代にどう伝えていくかが大きな課題となっている。そんな状況に危機感を抱いた広島局では被爆80年を自分事として感じてもらいたいと「わたしが、つなぐ。」をテーマに去年11月から様々な取り組みを行ってきた。その一環としてテーマソングを作成。広島局が依頼したのは因島出身のロックバンド・ポルノグラフィティ。曲タイトルは「言伝 ―ことづて―」。被爆をポップスで表現することに山根は「ちょっと重たいテーマだったりもするので、みんなが親しみやすいものとどういうふうに合わさるのかなとは思いましたけど」と話した。
去年デビュー25周年を迎えた2人組のロックバンド・ポルノグラフィティ。親しみやすい曲調で幅広い世代を魅了してきた。広島局から歌作りの依頼を受けた2人。当初、被爆というテーマをポップスで扱うことに大きな不安を感じていたという。どうすれば被爆の記憶や平和への願いをポップスで表現できるのか。そのヒントを求め、多くの人を訪ねた。この学校では被爆者の話を絵で表現し、当時の様子を広く伝える取り組みをしている。さらに自らの体験を世界に向けて発信し続けている被爆者にも話を聞いた。作詞はギターの新藤晴一さん。被爆というテーマを多くの人が口ずさめるポップスにするにはどうすればいいのか。新藤さんがモチーフとして選んだのは一番電車のエピソード。原爆投下から3日後、生き延びた人たちが路面電車の一部区間を復旧。後に一番電車と呼ばれた。当時の様子を知りたいと実際に車掌として乗車していた女性にも話を聞きに行った。過酷な状況の中でも日々の暮らしを取り戻そうとした広島の人たち。新藤さんは人々の力強さを歌詞に盛り込みたいと考えた。作曲はボーカルの岡野昭仁さん。多くの人の心に響くようなメロディーを探った。怒りと悲しみ、そして明日への希望。平和への祈りが込められた歌が半年かけて完成した。「言伝 ―ことづて―」が流れた。
山根さんは「広島の人たちは知ってるかもしれないけど、戦争で原爆が落ちたあとに3日後に電車が生き残ってる人たちの力でなんとか街を動かしていかないとという状況でというエピソードが盛り込まれているので、戦争とか原爆になにか興味をもつきっかけになってくれるんじゃないかなと感じた」などと話した。「言伝 ―ことづて―」は、広島局の被爆80年プロジェクトのHPで聴ける。「ポルノグラフィティが“歌”でつなぐ【完全版】 未来への言伝―ことづて―」は、総合テレビで8月6日午後3時10分から全国放送。
広島局と長崎局が共同で制作し、核や平和について本気で考え語り合う番組「コネクト みんなの会議」。今回のテーマは平和教育。広島の大学生、広島と長崎で平和教育に携わっている教師や専門家などが参加。今年NHKが若い世代を対象に行った意識調査で、被爆者が話す体験を聞いたことがない人に体験を聞きたいと思うかと尋ねたところ、聞きたいと思わないと回答した割合は、広島県が広島以外の全国を上回るという結果に。どうすれば若い世代が戦争や平和について自分事として考えられるか話し合った。また、NHKではVRを使った新たな伝承の可能性にも挑んだ。5年前に亡くなった被爆者の兒玉光雄さんの証言活動をNHKは長年取材してきた。兒玉さんが12歳の時に被爆した記憶をVR技術を使って360度映像化。80年前の出来事を今を生きる人たちに想像してほしいと取り組んだ。描かれたのは、兒玉さんが度々語っていたプールサイドの惨劇。現場投下直後、無惨にやけどした状態で水を求めてプールにやってきた同級生の姿。NHKは兒玉さんから直接被爆体験伝承者に協力してもらい、兒玉さんのその後の人生など伝承者しか語れない言葉とVRを組み合わせた特別授業を行った。
山根さんも実際VRを体験し「結構ショッキング。実際は臭いや空気感や温度だったりもあると思うので、VRだけでは伝わらないかもしれないが、目に入ってくる映像の悲惨さ、辛さは体験できた」などとコメント。VRは「NHK戦争を伝えるミュージアム」で公開中。大学生や専門家などが参加した「みんなの会議」では、平和教育を考えた。その中で、被爆体験を聞きたいと思わないと答えた人の割合が全国平均より広島県の方が上回った。山根さん自身も平和教育を受けており、その当時は「そんな辛いこと思い出さなくても」などと思っていたという。一人一人に自分ごととして捉えてもらうために、自分の大切な人が明日会えなくなるとかいなくなることを考えてもらうと自分ごとになるかなと思うという。広島局の被爆80年プロジェクトは、今後も思いをつなぐ様々な番組を放送。
広島局の被爆80年プロジェクトについて伝えてきた。山根さんは「なにか平和について、戦争について気になったことにたどり着けるようなアーカイブを準備しておいてもらえれば」などとコメント。
- キーワード
- NHK広島放送局