- 出演者
- 横川浩士 池間昌人
オープニング映像。
イスラエルが先週、イスラム組織ハマスの幹部を標的にして停戦の仲介役を担ってきたカタールを攻撃したことを受けて、周辺のアラブ諸国などによる緊急の首脳会議が開かれた。会議でカタール・タミム首長は「イスラエルの攻撃は卑怯なテロ攻撃だ」と述べ、イスラエルを厳しく非難した。イスラエルの攻撃を非難する共同声明が発表されたが、具体的な対抗措置は示されなかった。また、カタール政府の懸命な対応を称賛し、世界各国、特にアラブ・イスラム諸国がカタールと団結することもうたわれている。声明で示されたことが履行されることが待たれる。イスラム協力機構及びローマ条約の加盟国にいくつかの措置を要請すること、アラブ・イスラム諸国グループと国連安保理とが連絡を行うことなど。共同声明では安保理の緊急会合でカタールに対するイスラエルの攻撃について明確に全会一致で非難したことを称賛している。また、ガザ地区での攻撃を止め、お互いの被拘束者の解放について合意するための公正な仲介者としてのカタールとの連帯を表明している。カタールの仲介の役割を強化すること、ガザ地区での攻撃を終わらせるための任務をカタールが続けること、イスラエルがガザ地区で行っている民族浄化や飢餓作戦を非難し、ジェノサイドの戦争を終わらせる必要性について強調。声明は対応を国際社会に委ねているところが弱点。今、問われているのは各国が具体的な措置を取るのかということ。
ドーハで会合を行っているアラブ連盟はイスラエルの攻撃を強く非難している。この攻撃はイスラエルがいついかなる場所にも介入可能であることを示した。トルコ・エルドアン首相は外交、政治両面からの制裁を要求。パレスチナ自治政府・アッバス議長はイスラエルの攻撃を強く非難し、ガザ住民の保護を訴えた。アラブ諸国はアブラハム和平協定合意成立から5年目にイスラエルとの国交見直しを検討している。アブラハム合意はイスラエルの孤立解消を目指し、アラブ首長国連邦との間で交わされた平和条約でイラン包囲網を強化したいアメリカはその拡充を望んでいる。ガザへの攻撃とドーハへの攻撃により難しくなりつつある。
イスラエルを訪問したアメリカ・ルビオ国務長官はネタニヤフ首相と会談し、イスラエルへの支持を明確にした。ルビオ氏は「イスラム組織ハマスは停戦交渉の当事者足り得ない」と断言。イスラエルによるカタールのハマス本部攻撃は大きな影響を与えず、ルビオ氏は「カタールには建設的対話を期待する」と発言。イスラエルは15日、ハマス指導者への攻撃に際してアメリカに事前通告したことを明らかにした。ネタニヤフ首相はカタールを中心にイスラエルを追い詰める動きがあり、一部の西欧諸国も加わっていると述べた。
15日、カタール・ドーハでアラブ・イスラム諸国など50以上の国と地域が参加する緊急首脳会議が開かれた。きっかけは今月9日、ドーハでガザ地区での停戦案協議に集まっていたハマス幹部を標的にイスラエル軍が攻撃を行ったこと。この攻撃でハマスのメンバー5人とカタールの治安当局者1人が死亡した。アメリカと協力関係にあり、イスラエルとハマスの停戦協議を仲介してきたカタールが攻撃を受けたことは周辺諸国に衝撃を広げた。会議ではカタール・タミム首長が「イスラエルの攻撃は裏切り行為で卑怯なテロ攻撃だ」などと述べてイスラエルを厳しく非難した。共同声明には一致してイスラエルの攻撃を非難しカタールを支持することや、武力による現状変更に反対することなどが盛り込まれた。ただ、具体的な対抗措置は示されなかった。フィナンシャル・タイムズは各国間の意見の相違と限られた対応策の選択肢、アメリカとの対立を警戒する姿勢が浮き彫りになったと指摘している。湾岸諸国やアラブ諸国はイスラエルのネタニヤフ政権に大きな影響力を持っていないのが実態。また、危機感は共有できても議会や立場が異なる各国が一致した対抗措置を取ることは難しかったとみられる。
イスラエルに大きな影響力を持つアメリカ。15日、ルビオ国務長官がネタニヤフ首相と会談。今回のカタールに対する攻撃にトランプ大統領が不満を示していただけに会談内容が注目されたが、会議後の会見でルビオ長官は攻撃に対する批判を避け、逆に「ハマスは地域の平和と安全を脅かす武装勢力で、存在し続けることは許されない」と述べてイスラエルを支持する姿勢を改めて強調。そのうえで、カタールに対し「引き続き建設的な役割を果たしてほしい」と呼びかけた。ルビオ長官は16日にカタールを訪問すると伝えられている。ルビオ長官の発言について、ウォール・ストリート・ジャーナルはネタニヤフ首相に圧力がかかっていないことを示唆していると指摘。カタールに対する攻撃以降、停戦協議の進展が止まる中、イスラエル軍はガザ地区での攻勢を一層強めている。イスラエル軍はガザ市の制圧に向けて住民に退避を通告していて、これまでに32万人以上が避難したとみられる。ガザ地区保健当局によると、これまでの死者は6万4800人以上、栄養失調などでの死亡は420人を超える。
ロシアの無人機がポーランドの領空を侵犯し、NATO(北大西洋条約機構)が警戒を強める中、ロシアと同盟国ベラルーシによる合同軍事演習が行われている。15日、ベラルーシの首都ミンスク近郊で演習の一部が報道陣に公開された。23か国の武官は招待を受けて視察に来た。NATO加盟国からはアメリカ、ハンガリー、トルコの武官が来ているが、演習の実施に深刻な懸念を表明していたポーランドとバルト三国の武官は来ていない。約1時間の両国軍の連携した動きを公開し、実施前には4日間の集中訓練が行われた。両国の司令本部は特別軍事作戦の経験を存分に生かした。演習はロシア領内の演習場とバレンツ海、バルト海でも行われている。
ロシアはウクライナへの攻撃を続けており、同時にベラルーシとの大規模な合同軍事演習で強さを誇示している。空軍及び1万人の海軍兵士が演習に参加。合同軍事演習の大部分はベラルーシで行われている。NATO(北大西洋条約機構)締約国との国境からもあまり離れていない。15日、演習の一部が外国の報道陣に公開された。合同軍事演習4日目、3時間の演習が報道陣に公開されたが、核弾頭が搭載可能な中距離弾道ミサイル「オレシュニク」は見当たらなかった。ベラルーシはすべては防衛のための合同軍事演習であることを強調。中国、キューバ、ジンバブエなどの20か国以上の軍事監視員が視察し、アメリカもベラルーシのアメリカ大使館の駐在武官が視察に訪れ、ベラルーシの国防相の出迎えを受け一番良い席を約束され、明らかに関係改善を図っているとみられる。ロシアはロシアの飛び地・カリーニングラードで短距離弾道ミサイル「イスカンデル」による演習が行われていた。ロシアはウクライナへの攻撃を続けていてもこれだけの大規模な軍事演習のための人と物が調達できることを示そうとしている。「ピースキーパー」という無人機の披露が視察のハイライトとなった。
アメリカ・ベッセント財務長官は中国との貿易協議の後、中国系の動画共有アプリ「TikTok」のアメリカ事業の売却について合意に向けた枠組みが整ったと明らかにした。最終的な合意に向けてトランプ大統領と中国・習近平国家主席が今月19日に電話で会談する。中国はこれまで売却を求めるアメリカの要求を拒否してきたが、トランプ大統領の訪中を成功させるための売却に同意したと現地メディアが伝えた。また、アメリカメディアは今回合意できなければ来月韓国で開かれるAPECの首脳会議に合わせてトランプ大統領が訪中する案を撤回しただろうというアメリカ側の発言を伝えた。ただ、中国が輸出を規制してきた「TikTok」のアルゴリズム技術までアメリカに渡すかがカギとなる。中国側は自国の原則的立場と企業の利益、公正さと正義を犠牲にしてまで合意を追求しないとしている。アメリカは中国との関税問題での休戦を延長する可能性も示唆。北京での軍事パレード以降、ギクシャクしていた両国の関係を今回の合意で変えることができるかにも関心が集まっている。
「TikTok」のアメリカ事業への売却について合意に向けた枠組みが整った。「TikTok」はアメリカでも若者を中心に多くのユーザーがいる人気のアプリだが、利用者の情報が中国政府と共有されるおそれがあるとして警戒感が高まり、去年、中国の親会社「バイトダンス」がアメリカでの事業を期限内に売却しなければ国内でのアプリの配信などを禁止するとした法律が可決・成立した。法律を今年1月に発効したが、トランプ大統領は交渉を通じて解決できるよう、就任直後から法律執行を一時停止している。期限が17日に迫る中、枠組みが整ったと発表された。アメリカの事業について複数の買い手が候補に挙がっているが、具体的な内容は明らかにされていない。最終的な合意に向けてトランプ大統領と習近平国家主席が今月19日に電話で会談する。ウォール・ストリート・ジャーナルは中国政府はこれまで合意に関心を示していなかったが、トランプ大統領の訪中の野心のために譲歩した可能性が高いと分析している。
中国政府は中国を訪れるロシア人向けに30日以内の短期滞在ビザを免除することになり、ビザ免除後の第一陣となるロシア人観光客らがきのう上海の空港に到着した。上海では今年1月から先月までにロシア人の入国者が去年に比べて50%以上増えていて、両国の往来はさらに加速するだろう。上海での今年の外国籍の入国者は364万人を超え、前年比4割以上増えている。うち半分以上がビザ免除や240時間のトランジットビザ免除を利用。
オーストラリア・アルバニージー首相はきのう、南太平洋のパプアニューギニアと防衛の協力を一段と引き上げるための新たな安全保障協定に署名することを明らかにした。新たな協定では両国の軍隊の統合を進め、相互の運用能力を高めるとしていて、太平洋地域で影響力を強める中国に対抗する狙いがある。オーストラリアからの独立50周年を祝うパプアニューギニア。記念日を前に両国は協力関係強化に動く。アルバニージー首相は「パプアニューギニアとの安全保障の関係をアメリカや他の重要な同盟国との関係と同様のレベルに引き上げる」と述べた。今週予定されている防衛協定締結のため、首相はパプアニューギニアの首都ポートモレスビーに入った。2か国の軍隊が統合され、お互いの国から軍事員を募ることができるようになる。独立記念日の式典に招待されている中国・黄潤秋生態環境相はオーストラリアとパプアニューギニアの防衛協定について問われたが、「我々の訪問とは関係ない」と述べた。先週、独立記念日を前に中国は安全強化のためとしてパプアニューギニアの警察に監視カメラ約200台を提供。両国の協定によりパプアニューギニアが攻撃を受けた場合、オーストラリアに防衛を行う義務が出てくるのかどうか、アルバニージー首相は明確にしていないが、協定によってパプアニューギニアの主権が脅かされることはないと言っている。
アメリカ・トランプ大統領はアメリカ軍が公海上でベネズエラの麻薬カルテルの船を攻撃し3人を殺害したと発表した。こうした攻撃は今月初めに続き2回目で、トランプ大統領はさらなる攻撃もあり得ると警告した。ベネズエラ・マドゥーロ政権はアメリカ軍による攻撃を凶悪な犯罪行為だと非難していて、反発を強めるものとみられる。通常、麻薬の密輸船を取り締まるのは法執行機関で今回のようにアメリカ軍の軍事力を使うのは前代未聞。15日、大統領はアメリカ軍が誤って漁船を攻撃する可能性もあると認めた。15日、最初の攻撃について疑問が浮上。政府高官がABCニュースに対し「攻撃される前、船は向きを変えた」と語ったが、ルビオ国務長官は「船がどちらの方向に向かっていたかは問題ではない」と述べた。ベネズエラ・マドゥーロ大統領は最初の攻撃を犯罪と呼んだ。アメリカでは少なくとも共和党の上院議員1人が「武装した小型船への攻撃は違法だ」と述べた。先ほど大統領は「麻薬の密輸は陸上であろうと海上であろうと軍を増強して対処する」と語った。
去年9月、広東省深センで日本人学校に通う男子児童が刃物で襲われ死亡した。現場で拘束された40代の男の死刑が執行されたが、動機や背景は最後まで明らかにされなかった。深センの事件以外にも日本人が巻き込まれる殺傷事件が相次いでいる。去年6月には江蘇省蘇州で日本人学校のスクールバスが刃物を持った男に襲われ、バスの案内係の中国人女性が死亡し、日本人の親子がけがをした。また、今年7月には蘇州で子ども連れの日本人の母親が石のようなもので頭を殴られる事件が起きている。
日本政府は中国政府に対し、安全の確保を強く求めているが、中国在住の日本人の間では今も不安が拭えない状況が続いている。現地からの報告。事件から1年、日本人学校周辺の警備は大幅に強化されていた。新たに設けられた詰め所には警察関係者が常駐。中国経済を牽引し、多くの日本企業が進出する深センには約3700人の日本人が暮らしているが、今も安全面の懸念が拭えない。現地に駐在する40代女性は街中で日本人と気づかれないよう日々に言動に注意するようになったという。事件が起きた9月18日は満州事変の発端となった柳条湖事件が起きた日で、反日感情が高まりやすく、過去にも大規模なデモが起きている。現場で拘束された男の詳しい動機は裁判でも明らかにされず、初公判で死刑が言い渡され、真相は闇に包まれたまま。今年を日本との戦争に勝利して80年の節目の年として国民の愛国心を鼓舞する中国政府。SNS上では日本への憎悪を煽るような書き込みも見られ、不安に拍車をかけている。罪のない子どもの命が奪われた今回の事件。事件直後には中国の人たちの間でも追悼の動きが広がり、日本人学校には多くの花束が手向けられた。今回、現地で取材すると記憶の風化が進んでいることがうかがえた。事件に関するメディアの報道やSNSの書き込みが当局によって規制されていることが背景にあるとみられる。一方で、今も心を痛めている人もいる。広州に住む男性は19歳の時に日本に留学し、30年以上経った今も日本人との交流を続けている。国同士の関係がギクシャクすることはあっても、人間同士の交流を大切にしてきた。なぜ今回のような悲劇が起きたのか考え続けている。
事件が起きた9月18日は満州事変の発端ともなった柳条湖事件が起きた日でもあり、反日感情が高まりやすい。広州から中継でまもなく18日を迎える現地の様子を伝えた。現地に住む日本人の間では普段よりも緊張感が高まっていると感じる。9月18日は中国にとって国の恥を忘れないと掲げる日。今年はこの日に合わせて旧日本軍で細菌戦などの研究を行っていたとされる731部隊を題材にした映画も公開される予定。反日感情の高まりが予想される中、日本大使館などは在留邦人に対し、できる限りの安全対策を取るよう呼びかけている。日本人学校に通っていた男子児童が死亡した事件からまもなく1年となるが、真相が明らかにされていないことが現地の日本人社会の不安にもつながっている。頑なに情報の統制を続ける中国当局の姿勢が不安に拍車をかけている。本来は事実を広く共有し対応策を考えることが欠かせないが、同様の事件が起きる度に概要しか発表されず、裁判も外国メディアには公開されない。できる限り早く沈静化し、政治問題化させたくないという中国側の思惑が透けて見える。今年7月、江蘇省蘇州で子ども連れの日本人の母親が何者かに石のようなもので殴られけがをした事件が起きた際、現地の日本総領事館が注意喚起を行ったのは事件発生から丸1日後。調整などに時間を要したと説明しているが、在留邦人の安全に直結する情報なだけに一連の対応には批判の声も上がった。
中国のSNS上での過激な書き込みも不安に拍車をかけている。日中戦争は中国の人々にとって非常に大きな被害を受けた戦争で、今日においても広く記憶されている。中国共産党はこの歴史の記憶を一党支配の政党制や愛国心を鼓舞するのにも利用してきた。これに乗じて中国のSNSでは日本に対してなら何を言っても許されると見て、デマや憎しみをあおるような投稿が一部で広がり、当局も黙認してきた実態がある。一方で、こうした風潮に警鐘を鳴らす声もある。深センで起きた事件後、ある北京の学者は公開した文書の中で「日本の侵略の歴史は記憶しなければならない」としながらも、「憎しみで歴史を記憶し続ければ、さらなる事件を生む」などと訴えた。亡くなった男子児童は父親が日本人、母親が中国人だった。何の罪もない子どもの命がなぜ奪われてしまったのか、事件から1年が経つ今も向き合い続けていかなければいけない。
若者を中心にした激しい抗議デモで首相が辞任に追い込まれたネパールで、汚職に対する厳しい姿勢で知られる元最高裁判所長官のスシラ・カルキ氏が暫定的な首相に就任。ネパールで女性として初めての首相となったカルキ暫定首相はきのう、内相に人権派の弁護士を起用するなど3人の閣僚を発表。腐敗のない未来に向け取り組むという任務を担うことになったカルキ暫定首相は、来年3月の選挙までの6か月間、国に奉仕することに集中すると述べたほか、抗議活動で死亡した人たちへの賠償金を支払うことも発表。ネパールでは長年の経済的苦境に加え、政府がSNSを使えなくする措置を取ったことがきっかけで若者を中心とした抗議活動が行われ、2日間で少なくとも72人が死亡、191人が今も入院している。
ネパールでは学生らによる抗議活動が行われ、70人以上が死亡する事態となっている。カルキ暫定首相は死亡した学生らは殉教者とみなされ、遺族には賠償金が支払われると述べた。暫定首相として初めて発言を行ったカルキ暫定首相は長くこのポストにとどまるつもりはないとした。
アメリカにある韓国企業の工場で不法就労の疑いで当局に拘束された日本人3人を含む330人が先週、チャーター機で韓国に到着した。拘束された当時に受けた不当な対応や収容施設での劣悪な状況などを韓国人の労働者が訴えていて、政府が状況の把握に乗り出した。現場の勤務状況についてきちんと英語で説明できなければ手錠をかけられたとの証言もあった。外交部は事実関係を把握するとしているが政府レベルでの調査ではなく所属企業から調査結果を聞いて必要ならアメリカ側に問題を定義するというもの。(韓国KBS)