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2009年放送の内容。生活苦に苦しむ30代が急増している。命に関わる状況になっても助けを求めないという。1人の30代男性が孤独死した。部屋に食べ物はなく餓死したとみられる。遺体の傍らにはたすけてとだけ書かれた手紙が残されていた。なぜ彼らは声を上げないのか。ホームレスを支援してきたNPOは新たな事態に戸惑っている。
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30代のホームレスは多いが、見かけだけでは気が付かれないという。8月の完全失業者の数は30代が、80万人。前年同月比31パーセント増となっている。有効求人倍率は過去最低。5人に1人ぶんしかない厳しい雇用情勢。生活に困窮する働き盛りの30代が急増している。北九州市で餓死したとみられる39歳の男性が見つかっている。周囲に相談できず、生活保護の申請もしていなかった。自立した社会生活を送るにはどうしたらいいのか。北九州市で孤独死していた男性は、助けを求める機会がありながら、たすけて!と言えなかった姿が浮かび上がってきた。今年4月、誰にも気づかれることなく亡くなっていた。住宅地の一角に住んでいた。男性は布団の上で亡くなっていた。70キロ近くあったが、やせ細っていた。冷蔵庫の中には何も食べるものはなかった。所持金は9円だった。地元の公立高校に通いラグビー部に所属。スポーツ好きで、活発な青年だった。つきあいは広かったという。専門学校に卒業、金融関係の会社に就職。過酷な勤務で体調を崩し、仕事が続けられなくなった。バブルが崩壊し、再就職できなかった。飲食店のアルバイトで生計を立てた。リーダー的な存在になっていた。仕事への情熱は高かったとのこと。人員削減は進み、潰れる店もあった。7つのアルバイト先を渡り歩いた。そうした中、借金が生活を追い詰めた。生活費のために150万円の借金をしていた。14万円のほとんどを返済にあて、多重債務に陥った。去年11月、アルバイト先に借金の取り立ての電話がかかってくるようになり、迷惑をかけられないと言い、店を辞めた。そして収入が無くなった。その窮状を家族い伝えることはなかった。兄だけが親族だった。兄へ相談することはなかった。本人はなんとかしようと思っていたという。1月に生活保護の窓口を訪れたという。相談記録には、負債はないと答えていた。健康体であれば仕事はあるはずだと相談員は伝えた。わかりましたと言い、ふたたびそこを訪ねることはなかったという。それから、電話で親友の母にある頼み事をしたという。何か食べさせてほしいと。友人の母はパックにつめた食べ物を差し出した。男性は笑って帰っていったという。それから10日後、帰らぬ人になった。手紙が残されていた。たすけてと綴られていたとのこと。
小説家の平野啓一郎さんが登場。希望の見えない時代をどう生き抜くかをテーマにしているという。北九州市の男性はなぜ声をことができなかったのか。39歳の男性は、団塊ジュニア世代と呼ばれ、人口の多い世代だ。就職氷河期と言われ、就職できる人は少なかったという。フリーターになる人も多かった。労働力の過剰供給の時代に巻き込まれていった。2000年前半には、勝ち組、負け組と言われた。勝ち負けを自分の問題として感じた世代だ。様々な矛盾の中で頑張ったという。努力したから勝ち、努力していなから負けたという価値観になっていく。打ち明けにくい状況に陥る。自尊心の問題は強いという。負け組だと思われたくないという。39歳の男性は、生活保護を申請していれば苦しまなかったのではないかと国谷さんが言う。たすけてと言えない人々が多くいることがわかってきた。
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北九州市の公園では、ホームレスの支援団体が炊き出しを行っていた。約100人が並び、半年前の2倍以上とのこと。その中に30代の姿が目立つようになった。入江幸平さんは32歳で、去年12月に仕事を失い公園で寝泊まりしているとのこと。入江さんは精密機器メーカーで非正規労働者として働いていた。上司からは「即戦力でなければ仕事を辞めろ」などと言われていたといい、入江さんは結果が出ない自分を次第に責めるようになっていったという。また入江さんはホームレスだと思われないよう身なりに気を使い、再就職を目指してハローワークに毎日通っているが現状仕事を見つけるのは難しい状況とのこと。入江さんは「頑張ればまだなんとかなる」と思い、「助けて」と言うことを拒み続けているという。こうした人たちを救おうとホームレスの支援団体は日々声掛けを行い、相談できる連絡先等を明記した紙を配っているとのこと。支援団体の取り組みによって自立への第一歩を踏み出した人もいるとのこと。
平野氏は問題は当事者だけでは解決できないと社会が認識するべきで、必ず第三者の関与が必要だとし、行政サービス等を利用することは少しも恥ずかしいことではないと話した。SOSを出すことが難しい状況については、110番や119番のような誰でも利用できる窓口を作るべきだとし、その窓口の利用が当たり前になっていくことが重要などと述べた。自分を責めてしまうことに関しては、社会で受けたことを自分の全人格的な問題として捉えず、社会の中に置かれた自分がトラブルを抱えていると客観的に説明できるようになっていくべきなどと述べた。
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