2026年1月28日放送 19:30 - 19:57 NHK総合

クローズアップ現代
サイレントパンデミック 薬が効かない耐性菌・密かな拡散

出演者
桑子真帆 菅井基行 
(オープニング)
オープニング

オープニング映像。

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名古屋大学国立健康危機管理研究機構荒川宜親
#5092 サイレントパンデミック 薬が効かない耐性菌・ひそかな拡散
薬が効かない“耐性菌” 知らぬ間に感染…対策は?

薬剤耐性菌にはさまざまな種類がある。WHOが優先して対処すべきとしているものだけでも15種類。海外由来の耐性菌が大流行し、命が脅かされる事態も起きている。都内在住の松原さん家族の末っ子・幸愛ちゃん(0歳)は生後1か月の時、当時患者が急増していた百日咳にかかった。症状が悪化し、自宅近くの病院に入院することになった幸愛ちゃん。抗菌薬で回復せず、別の病院へ緊急搬送された。幸愛ちゃんは国内ではまだ治療実績の少ない別の抗菌薬を使用したことで一命を取り留めた。流行した百日せき菌のうち、約8割が耐性菌だったことが分かった。この耐性菌は、近年、中国・アジアで流行したタイプとみられている。

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今、薬剤耐性菌は世界的な問題となっている。国が指針とするレポートでは対策を取らなければ2050年には世界で約1000万人が死亡、がんによる死者数を上回るとしている。日本の医療現場が特に警戒しているのが、病院内で感染が広がりやすく根絶が難しいVRE(バンコマイシン耐性腸球菌)。

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バンコマイシン耐性腸球菌名古屋大学沼津市立病院荒川宜親

耐性菌の状況に詳しい菅井基行さんをスタジオに迎えた。菅井さんによると、耐性菌は基本的には弱毒菌でどこにでも存在しているが免疫力が低下することで発症する。薬を使った時に生き残った菌が長いこと抗菌剤に晒されるとその中から耐性菌が生まれてしまうという。高齢者や子ども、基礎疾患のある人は特に注意が必要。耐性菌を増やさないためには抗菌薬を支持されたとおり飲み切ること。しかし、抗菌薬の意識調査では「抗菌薬・抗生物質は治ったら早くやめる方がよい」と答えた人が42.3%にのぼることが分かっている。

国内大手の製薬会社は、先月、新たに開発した抗菌薬・ナキュバクタムを国に承認申請した。この薬が標的にするのはCRE(カルバペネム耐性腸内細菌目細菌)。免疫が低下した人が感染すると重い肺炎などを引き起こす。ほとんどの抗菌薬が効かず死者が相次いでいるため、WHOでは“最優先で治療薬の開発が必要”な耐性菌に位置づけている。この会社では約15年の歳月と多額の資金を費やした。しかし今、抗菌薬開発で避けられない問題に直面している。開発した薬を使いすぎると新たな耐性菌が生まれてしまうため大量には販売できず、十分な収益が見込めないのだ。今、世界ではファージ療法が注目されている。下水などに存在するファージと呼ばれるさまざまな種類のウイルスを使った治療法。ファージは耐性菌などの細菌に感染するとその菌を破壊する性質を持つ。人の細胞には感染しないため、新たな治療法として期待されている。

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ファージ療法はヨーロッパの一部などではすでに日常医療に取り入れられている。一方で、日本では早くて来年から人への臨床研究が始まる見込み。菅井基行さんによると、どんな抗生物質も効かない菌が実際に存在し、それが感染症を起こしていることもあるため、最後の手段として日本でも期待されているという。

“知って欲しい” 耐性菌の恐ろしさ

娘が生後1か月で薬剤耐性菌にかかり不安な日々を過ごした松原さん。退院後、治療にあたった医師たちに手紙を贈った。松原さんは娘の命をおびやかした耐性菌の存在を多くの人に知ってほしいと感じている。

(エンディング)
エンディング

エンディング映像。

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