- 出演者
- 桑子真帆 金山喜昭 山崎新太
収蔵品が増えすぎて休館に追い込まれた博物館。収蔵庫が満杯状態の博物館は6割以上になっている。文化財をどう未来につなげるのかに迫っていく。
- キーワード
- 日本博物館協会
オープニング映像。
相模原市立博物館では縄文時代にこの地域で使用されていた土器や近代の暮らしを伝える生活道具が展示されている。収蔵品は25万点で収蔵率は100%超となっている。収蔵品は集合体になることで地域の歴史文化を語ることができる。博物館の役割は収集・保管・研究・展示であり、収蔵品の増加は避けては通れない課題となっている。「吉野林業と林産加工用具」は1908点、「江の川流域の漁撈用具」は1253点は地域の暮らしや産業の様子が分かるとして国の重要有形民俗文化財に指定された。奈良県立民俗博物館では収蔵品を抱え込みすぎたことで2年前から休館となっており、収蔵品の保管場所は展示スペースにも及んでいた。現在は仮説のプレハブを応急的に使用している状態にあり、厳しい環境での保存が余儀なくされている。収蔵庫新設には9億円と試算されているが、現状の財政は厳しく、新設は非常に難しい状態となっている。営んできた喪服店を畳んで商売道具を博物館に寄贈したいが受け入れてもらえず現在は終活中であるという高橋は、大正時代の帳簿などを紹介し、このまま引き取り手がなく自分がいなくなった場合には全て処分するしかなくなるなどと告げた。
多くの博物館運営に携わっている法政大学の金山名誉教授がゲストに登場。高橋仙太郎の喪服店の帳簿などをスタジオにて紹介。金山は帳簿などは商売の記録ということだけではなく、当時の暮らしや文化・歴史といったものを描くうえではとても貴重な資料になるなどと伝えた。金山は文化財保護法や博物館法により文化財の保存や継承されてきたが、一方で収集方針を定めていないため、いま大相続時代となり、博物館へ寄贈申請する人が増加し、博物館だけでは受け入れきれない状態になっているなどと説明した。
西日本にある博物館では収蔵品の3分の2を数年かけて焼却処分した。この博物館ではどれを廃棄し、どれを残すのかの基準がなく、それでも減らす決断をするしかなかった。2024年7月10日、休館する博物館を運営する奈良県では山下真知事が自ら廃棄にまで踏み込んだ発言を行い物議を呼んだ。今年3月、国も博物館の運営基準を見直し、収蔵品の廃棄を初めて明記し、その選択肢を示した。これに危機感を覚えたという国際博物館会議の執行役員である栗原は現時点では価値がないとされていても、とんでもない価値があったという事例もあるため、物を保存することが将来の新しい調査や研究、さらには発展につながっているなどと告げた。国立科学博物館で長年保存されてきたヤナイヌとされていた剥製が再調査により絶滅したニホンオオカミのものであることが一昨年に判明した。栗原将来に可能性を残すことも今を生きる世代の大きな役割などとした。
日本総合研究所のシニアマネジャーである山崎がゲストに登場。文部科学省が3月に改正した博物館の運営などに関する基準では廃棄の選択も明記され、廃棄について検討する場合には他の手段を検討したうえで、なおやむを得ないと認められるときにおいて慎重に行うもとのするとしている。金山らは、廃棄という強い言葉が明記されたことが懸念であり、やむを得ない場合と記載すれば廃棄できてしまうため条文は歯止めにはならず、実際に一部自治体では収蔵庫が一杯になったら廃棄していいという考えをし始めており、恐れていた事態になりつつあるなどと説明した。山崎らは公共施設等管理計画では博物館だけではなく殆どの公共施設は縮小傾向にあり、収蔵品の処分・廃棄は考え始める時には来ているなどと告げた。栃木県立博物館では収蔵品処分のルールを独自に定めており、担当学芸員・全職員・外部の有識者と三段階を踏まえて処分をどうするか定め、その選択肢の中に廃棄も含まれているなどと紹介した。
兵庫県立 人と自然の博物館では4年前に新収蔵庫を整備した。新収蔵庫は見せる収蔵庫として運営しており、収蔵品がガラス張りで保存しながら公開されており、2025年度には来館者は8万4000人となった。新収蔵庫の建設費用は9億円であったが、施設に人を集める地域活性化の拠点としての機能をもたせることで国から2分の1の補助を得ることができた。新収蔵庫のスペースでは地域再生ワークショップなどが開かれ、交流する仕組みが生まれている。
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- 兵庫県立 人と自然の博物館
神奈川県の茅ヶ崎市博物館では社会インフラ・まちづくりの拠点となっており、周辺の整備事業と一体で国土交通省の交付金補助を得て新収蔵庫を新設した。愛知県の共同収蔵庫計画では3施設が共同でコストカットすることで新たな建設計画が実現した。山崎らは弘前れんが倉庫美術館では中心市街地の活性化を目的とした国交省の交付金を使用し、オープン後には地域活性化の効果も出ているなどと伝えた。政府予算に占める文化予算の割合は日本は0.10%となっており、山崎らは税金以外の財源を探していく必要があり、民間企業からの融資に着目しており、地域企業にとっても博物館による集客は意味があるものであるなどと説明した。
取り壊し予定の民家に眠っていが屏風は廃棄の危機にあったが博物館に引き取られ、その後に江戸時代の有名絵師が描いたとされる源氏物語図屏風だと判明し、現在は修復されているなどと伝えた。
