- 出演者
- 大浜平太郎 相場英雄
先週に引き続き、相場英雄が充電池の性能を引き上げた三次元炭素素材を開発する開拓者を深堀りする。
オープニング映像。
リチウムイオン電池用の新たな炭素素材「GMS」には3つの特徴がある。発火の原因となる充電池の膨張を吸収し変形を防ぐ柔軟性、内部の酸化を抑制、高出力・急速充電の実現。GMSの肝となるのがその構造。中は空っぽの状態で超軽量だ。特許技術の製造方法をテレビで初公開。独自開発の製造機に型となる酸化マグネシウムを投入する。型の周りに炭素を付着させ、溶剤に浸して酸化マグネシウムを溶かすと「GMS」が出来上がるという。完成品の厚さは原子1個分。最後に焼き固めて炭素同士の結合を強くする。今「トン」スケールの生産工場を建てていて、すでにテスト生産を開始している。今後設備を増強し、来年には年間15トンの生産体制を整える予定だということ。その一方でもうひとつの挑戦が更に立体的な構造のものを生産するというもの。企業や研究機関からの以来を受け、様々なGMSを開発・製造していて、現在その種類は7種類に及ぶ。つくば市の国の研究施設で次世代電池へのGMSの有効性を研究している松田翔一さん。研究している「リチウム空気電池」は非常に軽いのが特徴。GMSを使えば更に軽量化し、充電量を増やすこともできる。
3DCの黒田拓馬さんに相場英雄が話を聞く。次世代電池として期待されている全個体電池へのGMSの利用について、国内外の自動車メーカーから複数以来があるという。黒田さんは国内の電池メーカーについて「いま電池の市場で起きていることを大局的に見ると、電気自動車の市場に向けて安い中国製がマーケットを広げている。ただ、いまの電池が完成形ではなく、今より凄い電池をつくれると高い値段で売れる市場が出てくる。これから絶対くる波を捉えれば逆転のチャンスはある」などと話した。
新・炭素素材「GMS」で充電池革命に挑む黒田拓馬。京都大学大学院で材料研究を専攻し、日東電工に入社。液晶パネル素材を開発する研究者だったが29歳で退職。転職先はベンチャーキャピタルだった。金融系などから来る人が多い業界で、技術者としての視点が役立つのではと思ったという。全国を周る中で出会ったのがGMSだった。開発していたのが東北大学の西原教授。企業からの依頼を受け、だいたい1年弱で合成に成功したという。しかし量産するには大きい設備投資が必要であり、商用化に乗り出そうという企業は現れなかった。そこに現れたのが黒田だった。2022年に西原教授と共に3DCを企業した。起業に踏み切った理由について、黒田は西原教授と出会って「やれ」と言われている気持ちになったと話した。
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革新的な炭素素材「GMS」。黒田によると、水素系の素材に適応するニーズから生まれたもので、電池以外にも水素をつくるところと水素から電気を取り出すところにも使えるという。マイナス100℃でも400℃でもやわらかさを保って壊れないことから宇宙産業にも可能性があると考えているそう。黒田は「いまの素晴らしい日本の社会を残すにはいまチャレンジする必要がある。我々世代の起業家は成功する義務がある」などと話した。黒田にとってブレイクスルーとは「自分が心から“わくわく”できること」。
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