- 出演者
- 鈴木京香 椿原慶子 木村拓也
世界的に顕著な業績を挙げた芸術家に授与される「高松宮殿下記念世界文化賞」の授賞式を紹介。過去には黒澤明さん、草間彌生さんなどが受賞している。
午後4時頃、高松宮殿下記念世界文化賞の授賞式が行われる。鈴木京香さんは「2016年の授賞式では以前からファンだったシンディ・シャーマンさんとお会いできて、ニューヨークからサイン入りの画集をお贈りいただけて、大変感動しました。世界文化賞は真の芸術家たる方が受賞されるわけですから、大きな学びの場でもあることから嬉しく思います」などと話した。
過去の受賞者を紹介。躍動する大谷翔平選手を描いた「二刀流 2」は、2015年に絵画部門で受賞した横尾忠則さんの作品。グラフィックデザイナーとして第一線で活躍していた横尾さんは、1980年代以降、美術家として絵画を主軸にした活動を続けている。海外からは「日本のウォーホル」とも称されているという。横尾さんは今年88歳を迎え、現在も精力的に制作活動をしている。
1992年に演劇・映像部門で受賞した黒澤明監督は、日本映画が世界で認知されるきっかけとなった。黒澤監督の「隠し砦の三悪人」は、海外にも影響を与えているという。
世界的に顕著な業績を上げた芸術家に授与される高松宮殿下記念世界文化賞。過去には映画監督・黒澤明が受賞。映画「隠し砦の三悪人」に触発され世界的ヒット映画を生んだのはジョージルーカス監督。その映画は「スターウォーズ」。
2021年に受賞した世界的チェリスト・ヨーヨーマ。1998年放送のサントリーのCM曲「リベルタンゴ」、CDはクラシック奏者としては異例の大ヒットを記録。世界がコロナ禍に包まれていた2021年、ヨーヨーマが演奏しているのはワクチン接種会場。
2013年に受賞したフランシス・フォード・コッポラさん。代表作の一つ「地獄の黙示録」は数百万人の犠牲者を出したベトナム戦争の狂気を壮大なスケールで描いた。撮影地となったのはフィリピンの熱帯雨林。当時はアメリカからの直行便がなく、コッポラさんは経由地だった日本に滞在していた。受賞の記者会見の会場でコッポラさんが見つけた1人の女性。当時、コッポラさん日本滞在時の宿泊先の女将だ。女将が持参したのは古びたタイプライター。「地獄の黙示録」の台本を書くためにコッポラさんが使っていたものを大切に保管していたのだ。コッポラさんはこのタイプライターにサインし女将にプレゼントした。そこには35年の時を紡いだ絆があった。
1990年第2回音楽部門で栄冠に輝いたのは世界的指揮者のレナード・バーンスタインさん。指揮者だけでなく教育にも熱心で多くの音楽家を育てた。2011年に受賞した小澤征爾さんもバーンスタインさんの弟子の1人。1990年6月、バーンスタインさんは日本の札幌で自ら創設した国際教育音楽祭「パシフィック・ミュージック・フェスティバル」を開催した。バーンスタインさんは世界中から若手音楽家たちを札幌に集めユーモアを交えて熱い指導をした。しかしこの3ヶ月後の10月14日、バーンスタインさんは病に倒れ帰らぬ人に。世界文化賞授賞式の9日前の悲報だった。その後も札幌のパシフィック・ミュージック・フェススティバルは毎年開催され、世界78の国・地域から音楽家を輩出した。札幌の中心部にある中島公園には銅像が建ち、バーンスタインさんの意思は引き継がれている。
授賞式後に行われる祝宴の会場を紹介。鈴木京香さんは、今年文化功労者に選ばれた妹島和世さんが設計した集合住宅に住んでいたことがあるという。鈴木さんは、吉阪隆正さんが設計したヴィラ・クゥクゥを買い取り、修復したという。建築部門で受賞した坂茂さんは「鈴木さんとは一度、お食事で隣の席だったことがあって、建築の話で楽しく盛り上がりました」などと話した。
今年の受賞者を紹介。絵画部門はフランスのソフィ・カルさん。見知らぬ人を自宅に招き、自身のベッドで眠る人を撮影した作品など、大胆かつ斬新な作風が世界中から注目を浴びている。彫刻部門は、コロンビアのドリス・サルセドさん。創作活動の原点は、故郷コロンビアで半世紀以上続いた内戦だという。音楽部門はピアニストのマリア・ジョアン・ピレシュさん。1970年のベートーベン生誕200周年記念コンクールで優勝し、演奏家として国際的に活躍する一方で、社会活動にも精力的に取り組んでいる。演劇映像部門はアン・リーさん。数々の映画賞を受賞し、日本映画からも多くの影響を受けたという。
建築部門は坂茂さんが受賞。フランス・セーヌ川のほとりに立つ建築物「ラ・セーヌ・ミュジカル」には、内部に紙管を使う独創的な発想となっている。捨てるのはもったいないと、ファックスの芯を建築資材に活用することを思いついたという。大規模な建築だけでなく、ウクライナ難民支援のため、避難所に紙管を活用した間仕切りを設置などしている。また、今年の能登半島地震でも、紙の作品で被災地を支援している。
「婚活合宿『セ婚ド!』」「ドラマ『オクラ ~迷宮入り事件捜査~』」の番組宣伝。
都内の祝宴会場から中継。VTRで紹介した能登の避難所でも活躍した紙管を使った間仕切りをスタジオに用意。鈴木さんは「紙管を使ったものを一度体験してみたかったんですが、強度がすごいんですね」と言い、坂さんは「そうですね。どんな地震があっても崩れない。細い紙管を太い紙管に差し込むだけなのであっという間にできちゃうんです。布は安全ピンで止めて、家族の人数によって自由に大きさを調整できるようになっている。人権上、プライバシーは必要なもの。高度な地震があったときの避難所にはそういうものがまったくないというのを見て、2004年の中越地震から開発を始め、やっと東北で2,000ユニットほど作り、2020年のコロナ禍でお医者さんが飛沫感染防止に良いということで15年間かけてやっと内閣府が避難所の標準として認めてくれ、日本中で備蓄が始まっている」などと説明した。坂さんは能登での活動に加え、被災した家屋の瓦を新たな形に生まれ変わらせる被災地支援にも取り組んでおり、「能登の住宅は素晴らしくて瓦もそうですし、骨組みも木材が素晴らしい形で作られている。いま、公費解体で全部重機で壊されてゴミになってしまうんですよ。それではもったいないし、この後の復興にも能登からなくなった住宅街になってしまうので、学生と2週間に1回行って瓦を集めて再利用することをやっている。瓦を集めたり、半壊した住宅を直して旅館にしたりする取り組みを始めている。以前に仮設住宅を作っている。いままでのプレハブ住宅はもちろん一生懸命作っているが、住心地がめちゃくちゃ悪いんです。それでいて2年間で解体してまた引っ越さないといけない、解体されたものはその後ゴミになるんです。僕らは木材を使って恒久的に使える仮設住宅をプレハブと同じ金額で作っている。今回の受賞者はみなさん、ただ単に芸術家として美しいものを作っているわけではない。社会的な問題やそういうことに対する批判や解決提案などを作品として表現している。芸術家がただ美しいものを作れば良いという時代じゃなくなってきている気がする」などと話した。
まずは東京・歌舞伎座で出会える日本の伝統芸能の世界文化賞から。舞台の上で妖艶に舞う女形。歌舞伎俳優の坂東玉三郎さんだ。坂東さんは2019年に演劇・映像部門で受賞。74歳となった今でも年間150公演以上もの舞台に立ち続けている。
続いて2006年、絵画部門で受賞した草間彌生さん。水玉や網をモチーフにした“草間ワールド”は日本各地で出会える。青森県や群馬県にある美術館のほか、東京都庁には誰もが弾けるストリートピアノを展示。西日本で有名なのがアートの島、香川県・直島にある草間さんの代表作「南瓜(かぼちゃ)」。この作品を求めて多くの人が島を訪れている。
“地宙船”をテーマにしたというユニークなデザインが特徴の東急・渋谷駅を設計したのは1996年、建築部門で受賞した安藤忠雄さん。
1995年に受賞したイタリアのレンゾ・ピアノさんは関西国際空港をはじめ「エルメス」の旗艦店「銀座メゾンエルメス」を設計。ガラスブロックを使った外壁は夜にはランタンのような輝きを見せる。
今年2月に惜しまれながら逝去した世界的指揮者・小澤征爾さん。今もその魂が宿る地を取材した。
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- 小澤征爾高松宮殿下記念世界文化賞
今年2月に惜しまれながら逝去した世界的指揮者・小澤征爾さん。ボストン交響楽団・ウィーン国立歌劇場など各国で音楽監督を歴任し、”世界のオザワ”と称された。椿原キャスターが向かったのは長野県松本市。小澤征爾さん縁の地「キッセイ文化ホール」を訪ねた。案内してくれたのは小澤征爾さんの少女でSKO代表の小澤征良さん。まず見せてもらったのは1992年から小澤征爾さんの活動拠点となった大ホール。小澤さん率いるオーケストラの祭典「サイトウ・キネン・フェスティバル松本」は、毎年このホールを拠点に開催。気心の知れたメンバーたちとのオーケストラ。小澤さんの思い入れも強く、「一番緊張する。怖いくらいに全部見抜かれちゃう」と話していたという。松本の地でオーケストラや地元の人達と音楽を紡いでいった小澤さん。そして最後の指揮の舞台となったのもこの会場、いつもの仲間たちとの演奏だった。仲間たちの思いが繋がり、今年の夏にこの場所で小澤さんに捧げる感謝の演奏会が開かれた。松本で育まれた小澤征爾の音楽はこれからも毎年夏にこの場所で触れることができる。
鈴木さんは「もうマエストロと会えないことができないと思うと淋しいけれど、やっぱり松本に行けばそのスピリットを感じられますよね」などと話した。世界文化賞は、芸術家の中から5人の国際顧問が選ばれるという。このあと、ヒラリー・クリントン氏が生出演する。