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きょうは世界遺産はドイツの「シュヴェリーンの邸宅群」。湖の小島に建つという佇まいから「湖上の宝石」とも呼ばれている。本来宮廷内にある施設が街にある珍しい世界遺産。
ドイツ北部のシュヴェリーンのあたりは19世紀にドイツ帝国ができるまで小国がひしめいていた。世界遺産のエリアは城だけでなく街にも広がっている。世界遺産の登録名は「シュヴェリーンの邸宅群」。本来城の中にある様々な施設が街に点在している。シュヴェリーン城は傑出したドイツ宮殿建築と言われ、昔も今も街の人達の誇りだ。
先代から受け継いだ城を現代の姿にしたのはフリードリヒ・フランツ2世。19歳で大公になるとすぐ、理想の城を目指し大改築に乗り出した。見る角度により顔が変わるシュヴェリーン城はヨーロッパ建築の良いとこ取りをした。教会の部分のモデルになったのはケルン大聖堂だと言われている。フランツ2世はケルン大聖堂に関わった建築家に教会の設計を任せたという。19世紀には過去の建築様式を復古的に取り入れる歴史主義建築が流行ったが、シュヴェリーン城はその代表作と言われる。ドーム屋根はフィレンツェの大聖堂などルネサンス建築を模したもの。城の背後に広がる大庭園のモデルはヴェルサイユ宮殿の庭園。シュヴェリーンの邸宅群は19世紀の歴史主義建築の優れた代表例として2024年、世界遺産に登録された。50ユーロ寄付すると教会の天井の星1つが自分のものになる。集まった寄付金は城の修繕費などに使われている。
フランス2世と歴代の大公たちは湖との調和という景観美を大切にしながら城など重要な施設38を湖畔の街に計画的に整備した。大公の母親のために設けられた離宮は今、保育園になっている。様々な宮殿の施設が街に作られたことで、宮殿と街の人の距離が縮まったという。フランス2世が暮らした別邸は法務省として利用されているが、2階には黄金の間がある。街の別邸に仮住まいした時、大公は市民の言葉で会話を交わしたという。
2014年、シュヴェリーン城の中庭で貴重な移籍が発見された。出土したのはフランツ2世のルーツを知る手がかりだった。
11年前、城の中庭で修繕工事を行っていると地下で眠っていた遺跡が発見された。土の中から見つかったのは木製の基礎や杭。これにより、城が建つ前にも建物があったことがわかった。同じようなものが車で1時間ほどのところでも発掘されている。この地で暮らしていたスラブ民族が木で円形の要塞を造った。フランツ2世はスラブ民族の末裔。シュヴェリーン城の正面に掲げられているのは大公の祖先であるスラブ民族の王の像。
世界遺産に登録されてから1年、お祝いの会が開かれた。
「世界遺産」の次回予告。
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