2025年6月21日放送 4:15 - 5:00 NHK総合

国際報道
2025 海運の脱炭素の最前線 次世代燃料の実用化が加速

出演者
辻浩平 藤重博貴 酒井美帆 
(オープニング)
オープニング

オープニング映像のあと、酒井キャスターらが挨拶をした。

(ニュース)
イスラエル・イラン 軍事衝突 さらなる激化に懸念

イスラエルのイランへの先制攻撃から1週間。16日に生放送中に攻撃を受け職員3人が死亡したイラン国営放送局。19日に建物内部が公開されたが攻撃の激しさがうかがえる。イスラエル軍は20日、テヘラン中心部で核兵器開発の研究拠点やミサイル工場など数十か所を空爆。各地の核関連施設への空爆も行われ、IAEAによると西部ホンダブにある原子炉の関連施設が被害を受けた模様。今後標的となる可能性があるのはフォルドゥのウラン濃縮施設。地下80mにあるとされ、特殊な爆弾「バンカーバスター」で繰り返し攻撃を行う必要があるという。イスラエルはこの爆弾を保有しておらず、アメリカ軍の爆撃機しか搭載できないためアメリカの軍事介入を行うかが焦点。19日、ホワイトハウスのレビット報道官は「トランプ大統領は2週間以内に行動するか決断すると言った。大統領は力の行使もおそれない」と述べた。一方19日、イスラエル・ネタニヤフ首相は「イスラエル単独でもフォルドゥなどの核施設の攻撃は可能だ」と強調した。

イラン側も報復攻撃を繰り返している。イギリスBBCは、イスラエル南部の病院が被害を受けたと報道。けさのイランのミサイル攻撃はイスラエル各地に着弾。病院では外科病棟が直撃を受けたという。多くの患者はシェルターに避難させていた。イラン国営メディアは「標的は病院ではなく3km離れた軍の施設だった」と伝えている。この病院を訪れたネタニヤフ首相は「我々は軍事施設などを狙っているが、イランは病院を狙っている」などと語った。双方で市民の犠牲者が増え続けている。イラン保健当局は16日までに224人が死亡し、少なくとも1800人がケガをしたと発表。20日には40人の女性と12人の子ども出死亡したと発表した。イスラエル政府は19日出店で24人が死亡し838人がけがをしたと発表。

衝突の更なる激化が懸念される中、外国的な解決を模索する動きもある。イギリス、フランス、ドイツの外相とEUの上級代表は日本時間今夜にイラン・アラグチ外相とスイス・ジュネーブで協議を行う予定。ヨーロッパ側はイランに各開発をめぐる交渉の場に戻るよう促す考えで、EU関係者によると今回の協議はアメリカとも調整した上で行われるという。アメリカの軍事介入が取り沙汰される中、緊張緩和に向けた糸口となるかが焦点。

辻’S ANGLE
イスラエル・イラン 両国の主張は

開始から1週間が経ったイスラエルとイランの軍事衝突。イスラエル・サール外相に話を聞いた。サール外相は「イランに関して外交努力は成功していない。核合意に違反し従わない状態にあるとIAEAが明言していて新たなウラン濃縮施設の建設も発表していると同時にイランは交渉に応じないと主張している。個人的には外交的解決を望んでいるとは信じていない。イランは北朝鮮となる道を選ぼうとした。核兵器により体制の安全が確保されると考えているからだがイランではそうさせない」などと述べた。また「そうではない。核攻撃、弾道ミサイル、イスラエルを消滅させようとする脅威の排除が目標であり、体制の転換は一定の状況下では結果として起きるかもしれないが目標ではなく内閣の決定でもない」と語った。

イスラエルが核を保有していると言われる一方でイランの核開発を阻止するのはダブルスタンダードではないのかとの問いには「それは違う。我々は中東で最初に核兵器を導入する国にはならない。それと同時に非常に急進的で過激主義で狂信的な体制に世界で元tも危険な兵器の保有を許すかどうかを強調したい。イランは我々を抹殺したいと言っている点について見て見ぬふりはできない。『敵性国家』と認定した国の核兵器保有うぃ常に阻止する製作を掲げてきたことでこの地域の安定化と危険度の低下に貢献してきた」などと話した。

(ニュース)
緊迫の中東情勢の行方は

出川展恒解説委員が緊迫の中東情勢の行方について解説し、視聴者からの質問にも答えた。トランプ大統領は2週間以内に軍事行動、外交交渉するか決めると発言。トランプ大統領は両国の戦争にできる限り巻き込まれたくないというのが本音。イスラエル・ネタニヤフ首相からの働きかけでフォルドゥの核施設を破壊する空爆作戦に参加する方向に傾いているようにみえるが、参戦するかどうかは不明。イランがウラン濃縮活動を放棄するかが最後の決断の焦点。イランがウラン濃縮の権利を主張し続ければ破壊作戦に参加する可能性があると思われる。視聴者からの質問にも答えた。イスラエルはイランの核開発は核兵器の開発でイスラエルの存亡を脅かす脅威になると思い込んでいる。一方イランは核拡散防止条約の加盟国として平和利用のウラン濃縮と主張し双方が正義と考えている。

フォルドゥのウラン濃縮施設についてネタニヤフ首相は”単独でも攻撃できる”と発言しているが具体的な方法は不明。バンカーバスター搭載のアメリカ軍の戦闘機を一時的に借り受けイスラエル軍が作戦を実行するのか、特殊部隊を潜入させ爆弾を仕掛けるのか、繰り返し上空から空爆し破壊するのかなど成功するのかもわからない。イスラエルが保有しているとされる小型核爆弾を投下することはないと思われる。核を使用すれば国際的に非難される。アメリカが参戦するとしても限定的な作戦になるとみられるが、イランが中東で展開中のアメリカ軍に報復攻撃を加えアメリカ側に犠牲者が多数出た場合、アメリカが本格的に戦争に入り大きな戦争になるリスクはある。

トランプ大統領の外交交渉では、アメリカ側はイランにウラン濃縮の権利を断念させたい考え。イランは核拡散防止条約の加盟国であり平和利用としてイランは国家の威信をかけていて放棄は難しい。最高指導者・ハメネイ師は徹底抗戦する構えだが、最も重要なのは1979年のイラン革命で確立したイスラム共和国体制を維持すること。イスラム組織の存亡の危機でウラン濃縮の権利を諦めるしかないと判断するかにかかってくると思われる。1988年のイラン・イラク戦争時に当時の最高指導者が「毒を飲むより辛い」と表現して国連の停戦決議を受け入れた過去がある。

フォルドゥの攻撃なしに外交交渉が進むのかは、全てのウラン濃縮施設を活動停止、解体しIAEAに監視させるところまで合意するかにかかってくると思われる。ホロコーストを体験したイスラエル人、ユダヤ人の歴史が非常に大きく影を落としている。かつてイランの保守強硬派の大統領は「イスラエルは世界地図から消さなければ」と発言。ミサイル開発をしているイランがイスラエルを射程圏内に収め、核爆弾を使えばイスラエルは消滅させられると脅威を抱いていることから未然に防ぐため先制攻撃するという主張は、イスラエル国内では意見が一致することになる。

ネタニヤフ首相は崩壊に追い込むことも視野にハメネイ師の殺害計画をトランプ大統領に打ち明けたという報道もあるが、実際にイランの現政権が崩壊する可能性は低い。現政権に不満を持つイランの人々に「体制妥当に向けて放棄せよ」とメッセージ送っているが見込みがあるとは考えにくい。イスラエルからの攻撃でイランの人々を結束させ、かえって体制が強まる可能性も否定できない。

WOW!The World
ロイヤルアスコットで帽子の競演

毎年恒例のイギリス王室主催の競馬の祭典「ロイヤルアスコット」。この日の主役は「帽子」。会場はまるで帽子のファッションショーだったが、その中でも目を引いたのはグロスター公爵夫人の帽子。イギリス王室は伝統技術保護のため、帽子職人の育成支援を行っており、支援を受けた職人が作ったと言う。

手術前の子どもの不安和らげる

手術前の子どもの不安を和らげるため、ゲームや写真撮影が出来るタブレットやぬいぐるみ、車のおもちゃが提供された。

行方不明の犬 泳いで島まで

イギリス南部の家に引き取られたアンバーは1カ月以上行方不明に。数十キロ歩いた上、泳いで島までわたったという。捜索団体は流れに巻き込まれ苦しんでいたところを見つけ、飼い主のもとに戻したと言う。

(ニュース)
“海の上の脱酸素”最前線

世界の貿易の9割を占める海運業界に関する話題。先月、デンマークのカッソで新たな工場の着工式が行われた。通常、天然ガスを燃やすとメタノールと呼ばれる化学物質が出る。この工場ではメタノールではなくeメタノールと呼ばれる別の物質が出る燃料を作っている。デンマークの海運大手が運行するコンテナ船ではeメタノールを使用し、温室効果ガスの排出を極力抑えて運行することが出来る。今後規制強化が需要が高まれば脱炭素の後押しにもなるという。eメタノールだけでなくボイラーを製造する北欧メーカーでは地元大学、企業などが開発する汚泥から燃料を作る技術の開発研究が進んでいる。

Voice to Voice
SNS規制 高校生の声は

都立国際高校でSNSについて聞いた。世界では子どもへのSNSを規制しようという動きが進んでいる。オーストラリアでは16歳未満の子どものSNS利用を禁止する法案が成立。SNSの運営会社に16歳未満の子どもが利用できない措置を義務づけ、違反した場合は最大4950万ドル(約47億円)の罰金が課される。生徒に募集したアンケートでは「規制はコミュニケーションの場が減り困る」「規制に賛成」「抜け道を見つけさせるだけな気がする」などの声が寄せられた。

都立国際高校は都内で唯一国際学科がある高校。生徒にSNSの規制について聞くと賛否が分かれた。生徒からは「他人からルールを1個与えられると線引きしやすくなりいい効果がある」「16歳まではだめだが16歳からはOKだと使い方が分からないまま投げ出され危険」などの意見が出た。オーストラリアの規制に関して現地では、子どもたちの知る権利や居場所を奪うとの懸念が生まれているという。これに対し生徒たちからは「SNS使用禁止は嫌」「自分の時間を大切にしなくなったと思っている。SNS機能で友達といることが正解と思う自分がいるため規制は良い」などの様々な発言があった。

オーストラリアでは規制には抜け道があるのではと考える人も少なくない。生徒からは”規制より使い方を教えることが大切”との意見もあった。これまで何度も世界を動かしてきたSNS。「#MeToo」運動、「Black Lives Matter」運動など社会運動につながるSNSとの関わりは高校生の間でも広がりを見せていた。2014年にALSへの支援を広げようと世界的に行われた「アイスバケツチャレンジ」。アメリカで今年メンタルヘルスに焦点をあて学生がキャンペーンを始めた。生徒からは「改めてSNSの広がりの強さを感じたが、実際に分かってやってる人は少ないと思う」「知れるきっかけになるならいいこと」などの意見が出た。SNSとどう付き合っていくか、世代を超えて真剣に一緒に考えていく必要がある。

INTERNATIONAL NEWS REPORT
イギリス国防省 中東情勢 ロシアに“利益と悪影響”

イギリス国防省は、中東情勢の緊迫化がウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアに与える衛協を分析しSNSに投稿した。それによると”ウクライナ侵攻から国際的な注目をそらすとして利益になる”と分析。ロシアはことし1月、包括的戦略パートナーシップ条約をイランと結んだが相互防衛の条項は盛り込まれておらず、イスラエルの攻撃を受けるイランを支援する義務は負っていないとしている。一方でイランはロシアに無人航空機、弾道ミサイル、砲弾を供給してきたとして、ロシアにとって軍事装備の調達の面で将来的に悪影響をもたらす可能性があると分析している。

国際経済フォーラム 米ロが意見交わす分科会

ロシア・サンクトペテルブルクで開かれている国際会議で、アメリカとロシアの経済協力をめぐり議論する分科会がウクライナへの軍事侵攻が開始されて以降、初めて開かれた。両国の企業の利益につながるようビジネス環境を整備していくことの重要性を確認。トランプ政権のロシアに対する融和的な姿勢が反映された形。

1 - 2

© 2009-2025 WireAction, Inc. All Rights Reserved.