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鈴木英人のジャケットイラストを荻野目洋子とたどる。
オープニング映像。
鈴木英人のジャケットイラストを荻野目洋子とたどる。ここ数年80年代のアナログレコードが売れに売れている。中でも一番売れているのが1982年発売の山下達郎の「FOR YOU」。今日の作品はこのアルバムのジャケットイラスト。描いたのはイラストレーターの鈴木英人。白い壁のラジオショップに、派手な看板がアメリカっぽい。かたわらにパームツリーがあり、冴えわたる青一色の空に乾いた風が吹き抜ける。山下達郎のジャケットを数多く手掛けている。鈴木英人のイラストのほとんどにはつぶつぶリボンのようなものが。
神奈川県逗子市は鈴木英人が10代の頃から住み始めた街。そのアトリエには山下達郎のジャケットが。二人は40年以上もコンビを組んでいるという。FOR YOUは、英人さんが山下達郎の音楽に合わせ始めて作った一枚。その出会いに英人さんは突然彼のマネージャーから連絡があり、ジャケットの依頼が舞い込んだという。突然ヒットメーカーとしてチャートを賑わせていたが、それに対し本人は年鑑日本のイラストレーションを購入していたが、その中に好きなものがありそれが鈴木英人の絵だったと語っている。山下達郎にとってFOR YOUは求めていた音楽になった始めてのアルバム。だからこそ大好きなイラストを描いていた人に思いを託した。
鈴木英人は1948年に福岡県博多で生まれた。10歳の頃に横須賀市に引っ越してきた。高校時代にシュルレアリスムの絵にのめり込み東京芸大の受験に2年連続で失敗。飲食店の壁画や看板を描くバイトで食いつなぎ23歳でデザイン会社にデザイナ-として就職。1975年にはアメリカへ初の撮影旅行へ。そこでアメリカの景色を描こうと思ったという。今までにない表現を求めて10年以上大地を求めて旅をしたのが膨大なフィルム。そこに写っていたのはみたこともないアメリカ。惹きつけたのは風光明媚な景色ではなく、ごく普通の暮らしが行き着くダウンタウンの一角。中でも惹かれたのは日常にあふれる強い光と穏やかな風。時が止まったように描き独自の世界観を築いた。どれも人の姿が写っていない。
鈴木英人はそのイラストの描き方はまず写真を映写しトレーシングペーパーで下絵を描いていた。そして着色はパントーン・オーバーレイを使用。下絵の線にそって半透明のシートをカット。パントーンの定番な色で埋め尽くされていく様子は人工的でタイムレスな雰囲気。1980年のイラストレーションに鈴木英人は作品を道混み鮮烈なデビュー。創刊したばかりのFMステーシヨンの表紙も担当して気鋭のイラストレーターとして注目をあびた。
突然、山下達郎にジャケットを描いてほしいと頼まれたという。FOR YOUのトレースした写真は最近になってみつかった。イラストと見比べてみると木がない。また背景は海が。撮りためた写真の中からジェケットにあうパーツをいれた。山下達郎はそのジャケットに望み通りにモノができて嬉しかったと語った。
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- FOR YOU
80年代ソニー・ウォークマンが搭乗。音楽シーンに大きな変化の波が。そのイラスト「FOR YOU」についてこのジャケットが売り上げに繋がったという。専門家は70年代のフォークソングは真実を切り取るようなジャケット。80年代では山下達郎らが目指したのは勝手に自由に頭の中で絵を浮かべてほしいという思いだったという。その大ヒットをきっかけに鈴木英人はトップイラストレーターへ。
ジャケットイラストに粒粒とリボンが舞っているが鈴木英人は風をイメージしたと答えた。しかし2000年を過ぎた頃、そのイラストに異変が。
山下達郎の2010年発売の街物語。下町の路地裏を描いたという。その場所は日本の原風景だったがこの頃からこうした日本の風景も登場するように。イラストの中の滑らかな表面が特徴の車は鈴木英人のお気に入りのアイテム。若い頃アメリカで一目惚れしたかつての愛車。
鈴木英人は現在富士山に夢中だという。90年代に導入したコンピュータのソフトで描く富士山は黄昏の稜線や雲などがある。時間や季節によって全違う姿を精緻に描いている。山下達郎のCOME ALONG 3でもヤシの木や波、ポルシェに逗子の海。その彼方に富士山が。
ラジオショップはラジオの販売を修理する店舗。20年以上前に閉店したが、二年前に懐かしい店の写真がおくられてきたという。山下達郎のジャケットをみて父の店だと気付いたアメリカ人女性が送ってきたが思い出の店を描いてくれて嬉しいとメッセージがあったという。
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