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今回は生誕100年巨匠・川本喜八郎が命を吹き込む人形の世界をお届け。
オープニング映像。
長野県飯田市で受け継がれてきたのは人形浄瑠璃。はいだしょうこがやってきたのは飯田市 川本喜八郎 人形美術館。そこにあるのは川本喜八郎が手掛けた三国志の人形が並んでいた。群雄割拠の中国で、覇権争いをしながらのし上がる英雄たちの壮大なドラマ。
今にも動き出しそうな人形は、衣装や小道具まで、川本喜八郎が細密にデザインしたもの。中でも一番人気のヒーローは諸葛亮孔明。見る角度によって違う表情を宿す。その三国志の名場面では赤壁の戦いがあり、圧倒的な力を誇った軍が敵軍に敗れさる天下分け目の大決戦。人形の演技は操演者と呼ばれる職人たちが行なっている。三国志で操演を行なった船塚さんによると、頭と繋がっている棒に繋がったスイッチ首の角度や瞬きなどを操作。そして2本の棒によって両腕を動かし、文楽の人形をベースとした川本オリジナル。顔には柔かい子牛や羊の皮が貼られ血が通っているように見える。川本は、衣装や小道具の製作はスタッフの力を借りたが、人形の首から上は必ず自分だけで作った。
1976年に作られた人形劇のアニメーション作品に道成寺で使用された人形は旅の僧侶に惚れてしまた女の情念を描いた悲劇の物語。人形アニメーションは人間が作るのではなく、人形を少しずつ動かして何度も撮影しつなげてみせる手法。この独自の表現にたどり着くまでに川本は異国の地で一人人形と向き合い、悩み抜いたという。20代から人形制作の道に踏み入った川本は、人気の石鹸のCMや大手ビール会社の紙面などに携わり売れっ子に。30代半ばで人形作家として成功した。しかし、仕事として頼まれたものではなく、自分だけの人形を追求してみたいと考えた。
川本喜八郎は38歳で全ての仕事をなげうってチェコスロバキアへ。ディズニーと双璧をなすと言われた人形アニメの巨匠のイジー・トルンカ。彼に直接教えを乞うた。そして憧れのトルンカに、日本で作ってきた人形絵本や、映像作品をみせたとき、西洋の人形ばかりで伝統を大切にしていないのか?と言われた。日本人である自分が目指すべき人形芸術とはなにか?当時は日本人がほとんどいない国でひたすら人形と向き合い、2年間自費で修行を続けた。帰国すると、テレビ番組の仕事をこなしながら誰のためでもない、独自の人形芸術を作り上げた。
1968年に作られた花折りは、川本の初の人形アニメーション。監督、脚本、人形の細かな動きまで全てを手掛けた。主役の小坊主の声を演じたのは黒柳徹子。ラジオ番組がきっかけで意気投合し、50年の長きにわたり、交友を続けた。声の仕事があると聞いてやらせてほしいとお願いしたちう。その指示は細かかったという。テレビで稼いだお金で、人形アニメーションを自主製作。そして日本的な情念をテーマにした、道成寺で、世界をあっと驚かせる表現を生み出した。
世界をあっと驚かせた川本喜八郎流の特別な技があった。日本を代表する人形アニメのクリエーターの峰岸裕和さんは川本の愛弟子。数々の作品に携わったという。人形アニメの撮影の仕方では人形を少しずつ動かしては撮影するを永遠に繰り返す。実際の映像では、1秒の動きを作るのに24回も撮影を繰り返す。一日かけてできる映像は5秒。しかし川本はそれとも違う表現で日本の美を撮影していた。
人形アニメ作家の川本喜八郎の道成寺は公開されるや国内外で数々の賞に輝いた、人形アニメーションの歴史に残る傑作。その撮影に参加した峰岸さんは川本だけがやっていた特別な撮影を再現してもらった。天井に設置したカメラから人形を撮影し、その人形は支え棒にのせて、宙に浮いているかのよう。さらに台座の部分で人形だけが見えるので、動かす棒は見えない。また高さを出し、人形の影が映らないように背景と離す工夫されている。またレンズの前に置いたガラス板には特殊効果には霞を表現。少しずつ人形のポーズを変えて台座がカメラから見えないようにしながら動かす。そうして撮影を行なっていく。当時はフィルム撮影だったために、現像しないと動きをチェックできなかった。モニターに頼れないために失敗していればすべてやり直し。今回はデジタルの力を借りて、アニメーションを再現した。道成寺のシーンでは髪の毛1本1本には、針金が使用され、それを少しずつ動かして風になびいているように再現した。背景を下にして上から撮影した重要な意味は日本画の中に人形をいれ、絵巻物の世界を表現し、絵に見えるような世界を様式美として表現したいという思いがあった。その背景は日本画家の壬生露彦が描いた。日本画は遠近感のない、平面の世界。そこに立体的な人形を溶け込ませて豊かな日本の美を表現したいと上からの撮影手法を生み出した。
川本喜八郎に影響をうけたというアニメーション監督の見里朝希。その作品について平面的な表現と立体的な表現の融合が上手いと答えた。、また、あわない素材同士を見事に違和感なく溶け込み、見る人を飽きさせない工夫がしてあると答えた。
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