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オープニング映像。
この番組ではリニアに関して池上彰が解説する。JR東海はリニア(品川~名古屋)の開業時期を2027年から2027年以降にすると開業時期を曖昧にし、さらに当初の予定より遅れることを発表した。そんなリニアに関しての解説だが、池上はキーワードとして「オーバーツーリズム」「地球沸騰化」「物価高騰」が挙げられるとした。
最初のキーワードは「オーバーツーリズム」。過剰に観光客が訪れ、マナーなどの問題が顕在化し、地元の住民が不便を感じるようになることを示す。実際に京都市では地元住民がタクシーを使えないといった状況が生まれているのだという。池上はオーバーツーリズムの問題として「特定の観光地に人が集まること」が問題だとし、その解決策として観光客が分散すれば良いと提言。リニアの開通によって内陸側の観光地にも人が行くようになるだろうとした。現在リニアの開通に向け、東の拠点となる品川駅は工事の真っ最中となっている。
JR品川駅を訪れた池上。品川は日本で一番最初の駅であり、リニアはここからスタートすることになる。まず池上が訪れたのは東海道新幹線のホーム。東海道新幹線の線路の下には謎の地下空間が広がっており、ここがリニアの駅工事の最前線だという。
続いて地下の工事現場へ。深さは13め、面積は約700平米。東海道新幹線の真下に作られるため、下から新幹線が入ってくるところを見ることができる。駅のホームは地下約40mにできる計画。地下空間には柱が建っており、東海道新幹線の品川駅と駅ビルを支える基礎杭。この杭が見えたままだと地震の菜などに危険なため鉄板で補強しながら工事を進めている。東海道新幹線は1964年に開業。当時は品川付近を高架橋で走行していたため、元々あった杭が残っている。当時は細いものを何本も使うのが基本で、杭は撤去予定。今後はリニアの駅を囲う構造物そのものが地上の駅を支える柱の役割を果たす。工事現場は東海道新幹線の設備に近く、重要なインフラ設備などを傷つけないよう場所によっては手掘りで進められている。
JR東日本と京急電鉄は今後、品川駅周辺に3棟の高層ビルを建設予定。東西を分断する国道の上空には広場も兼ね備えたデッキが設置され、徒歩による駅へのアクセスも改善される。
スタジオトーク。影山は「進んでいることを見ることができて良かった」、タカは「世界に誇るシールドマシンを持っている日本がシャベルで手掘りって驚き。」、石原は「どちらかというと発掘作業みたい。」などとコメントした。品川駅に乗り入れる路線について石原が質問され「京浜急行」などと答え全問正解した。池上は「空の玄関口は羽田。今度は品川が入り口になって日本全国へのゴールデンルートが生まれるかもしれない。」などと話した。
リニアの最新技術に触れるのは鳥越壮真くん。電車が大好きだという人気子役。「相棒」や大河ドラマに出演した実力派。壮真くんが訪れたのは山梨実験センター。まずは時速500kmを間近で見てみる。時速500kmの体感は「想像の2倍」とのこと。ニッポンが世界に誇る超伝導リニアの技術。山梨実験センターでは2015年に鉄道として世界最高速度の時速603kmを達成。海外進出も目指しているニッポンのリニア。去年10月にはアメリカ経済界の大物たちが山梨を訪れてリニアに試乗。ニューヨークと首都ワシントンを約1時間で結ぶプロジェクトが進行中。リニアの乗り場は風圧などの影響を受けないように室内から乗り込むようになっている。飛行機のボーディングブリッジのように乗降装置がリニアの車両にぴったり付いてドアがオープン。リニアの車両は幅2.9m。トンネル工事などのコストを抑えるため東海道新幹線に比べて一回り小さな作りになっている。ついにリニアが動き出した。暫くは車輪で走行する。時速150km前後で浮上走行に。走行開始から約2分で500km。実験線の勾配は最大40%パーミル。1000m進む間に40m高くなることを指す。リニアは東海道新幹線の2倍の勾配でも上ることができ、スピードが落ちることもない。着地はちょっと揺れる。山梨実験線では現在1日平均2000kmの走行試験を実施。これは東京~新大阪を2往復する距離に相当する。既に27年間で地球117周分を走行。今後は騒音の低減や乗り心地の改良が進められる。リニア開業時は16両編成を想定。グリーン車は今のところ検討中。壮真くんは「リニアっていっぱい新しいモノを積んでいる気がします」と話した。
今回の取材からリニア新幹線が世界に誇る新しい鉄道ということが分かった。そこで世界に広めようという計画がある。それがニューヨークと首都ワシントンを結ぶ「北東回廊」。現状アセラ・エクスプレスが走行しているが3時間弱かかる。アメリカの鉄道は保線がちゃんとしていなかったので直線は100kmを超えるもののカーブになると15kmぐらいにスピードが落ちる。それがリニアだったら1時間で走るということに。まずはワシントンとボルティモアを結んだ約64kmを約50分のところ15分に短縮しようとしている。現在JR東海がアメリカ側と様々な交渉をしながら進めている。出演者は「スピードと安全性という二刀流で言うと大谷と同じくらい海外で活躍してくれそう」等とコメント。
長野で5番目に人口が多い飯田市では、リニアの長野県駅が建設予定。現在、東京までの所要時間は高速バス、鉄道ともに約4時間。リニアが開業すれば品川駅から名古屋駅までノンストップで40分。品川から長野県駅までは各駅停車で45分となる。飯田市は移住先としても人気で、松村さん一家は4年前に東京から移住。夫の宰周さんは飯田市内の企業に勤めながら副業としてスリランカカレー店を営んでいる。この日行われた移住者の交流イベントではリニア開業について前向きな声が聞かれた。観光案内所ではリニア開通後に外国人観光客の増加を見込み、ホームページを4か国語に対応した。飯田市に隣接する阿智村は環境省が2006年に星が最も輝いて見える場所に認定されており、リニア開業により外国人観光客の増加に期待している。
リニアは品川~名古屋間の静岡県を覗く都県に一つずつ駅が設置される。リニアの駅ができる9都府県の知事に対しアンケートを実施。リニアに期待していることについて東京は「日本と世界をつなぐゲートウェイになる。」、愛知は「三大都市圏が一体化することで世界中からヒトやモノなどを呼び込める。」などと回答している。リニア新幹線は品川~名古屋のノンストップが基本なため、沿線の駅にどれだけ止まるかが課題。1時間に何本止まって欲しいかという質問に対しターミナル駅となる東京などは「事業者が決めること」、地方の神奈川などは「ターミナル駅と同等」と回答している。石原は「豊橋から飯田線で抜けていく電車は秘境鉄道と言われ人気。飯田を起点にできれば新しい遊びが考えられる。」などとコメント。
次のキーワードは「地球沸騰化」。近年多い異常気象による災害、その要因の一端とされる地球沸騰化で大雨や台風をもたらし、交通機関に影響を及ぼしている。特に新幹線は雨や風の影響を受けやすく、こうした自体では大きく混乱する。
- キーワード
- 地球沸騰化
国連のグテーレス事務総長が口にした「地球沸騰化」。2023年は11月に30℃の真夏日を記録。今後暑い日が続く可能性も考えられる。大雨により東海道新幹線は止まることが多かったがリニアはこうした自然災害に強いという側面を持っているという。
神奈川県川崎市を訪れた池上。巨大な穴が空いており、ここにリニアが自然災害に強い秘密があるという。こうした穴は5キロ間隔で設置されており、災害時には非常口になる。地表から90mほどの場所で、リニアの線路が作られている。昨年7月、東海道新幹線は台風7号の影響で運休や遅れが発生、50万人がその影響を受けた。リニアは全体の86%が地下を走るため、雨などには強いのだという。さて地震に関してはどうなるのか。
リニア新幹線は内陸部に線路を敷設していて、品川~名古屋間の86%が地下トンネルとなっているため雨や地震の影響を受けにくくなっている。災害時には運転ができなくなる東海道新幹線のバイパスとして東日本と西日本をつなぐ役割を担うことが期待されていて、万が一トンネル内で止まってしまっても5km間隔で地上への非常口が設けられているため脱出する事が出来るようになっている。またトンネル内は温度の変化が小さいため、一時的にトンネル内に留まって救助を待つことも出来るという。
ここ最近日本では物価高騰が続いていて、万博の建設費も当初の倍近い2350億円まで上がっている。リニア新幹線の総工費は品川~名古屋間で約7兆円で、全額JR東海が負担することになっている。ただ開業時期の前倒しのために国が3兆円規模の財政融資を行っていて、大阪までの開通が急がれている。
リニア新幹線の工事を巡っては静岡工区のトンネル掘削工事の開始目処が立たないため、JR東海は当初品川~名古屋間を2027年開業としていたが2027年以降に変更した。リニア工事を巡っては静岡県側がいくつかの懸念を示し、工事にストップをかけている。まず工事によって静岡県を流れる大井川の水量が減少するとの懸念を件が示していて、工事で流れ出た水を戻すために上流の田代ダムの水量を山梨県側に流す分を減らすことなどで解決が図られている。また静岡県は南アルプスが工事によって環境に影響が出るのではないかとの懸念を示していて、掘削工事で出る土について基準値以上の重金属を含む土を置く場所も決まっていないことからも工事を始めることができなくなっている。
品川名古屋間の開業を2027年へと変更され、静岡県の川勝知事はこれは英断であり2037年までに南アルプスの問題は解決すれば良い事になった等と話している。また甲府と神奈川を結ぶ部分開業をすれば乗りたい人が出てくるとみられ、JR東海の情報公開について不透明なところが多い等と話している。
ガダルカナル・タカは静岡の人は熱海の土石流から盛土に敏感で、これをどう処理するかが大きな問題である等と話した。静岡県のリニア着工は2021年に議論がなされ2023年には水問題が進展、静岡県は県が集めた専門家の会議で議論を続けるとしている。川勝知事は品川から甲府間の部分開業にすべきとしており、リニアの部分開業について沿線知事は概ね反対している中で山梨県の長崎幸太郎知事は雨ざらしにするくらいなら走らせたほうが良いと賛成している。大阪の吉村知事は静岡で工事が止まっているなら名古屋以西で工事をするよう求めている。JR東海は静岡県以外の場所の工事は順調に進んでいるとしているが、川勝知事は建設予定のリニア車両基地などの2027年に間に合わない場所があると指摘している。
JR東海はリニア新幹線を部分開業はせず、開業のためには多くの設備をセットで完成させる必要があり確認すべきことが多いため静岡工区の早期着工を目指すとしている。また他の工区でも全体の工事の進捗を確認しながら適切な工事を進めるために検討を始めたとした。