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長嶋茂雄が今月3日に89年の生涯を終えた。高度経済成長の時代に登場し、昭和のヒーローとして活躍した長嶋は、平成に入っても野球界を引っ張り続けた。2004年に倒れたあと、NHKの独占インタビューに応じていた。10時間を超えるインタビューには、それまで語られてこなかった長嶋の素顔が記録されていた。
オープニング映像。
3日に長嶋茂雄の訃報が報じられた。自宅を最初に訪れたのは盟友の王貞治だった。東京六大学野球のスターだった長嶋は1958年に巨人に入団すると、1年目でホームラン王と打点王を獲得した。その勝負強さが人々の心を奪った。昭和天皇が初めてプロ野球を観戦した天覧試合で、入団2年目の長嶋はサヨナラホームランを打った。長嶋人気を支えたもう1つの理由は、プレーに華があることだった。打てなくてもファンに楽しんでもらおうと、空振りをして豪快にヘルメットを跳ばした。サード守備のフィールディングでは、歌舞伎の所作を意識した。当時長嶋とともに「ON」を並び称されたと王は、2人が活躍するたびにファンの期待は高まっていったと振り返った。
高度経済成長でテレビが普及し、プロ野球は国民的娯楽となった。長嶋は何をしてもニュースになり、本人主演の映画も作られた。膨らみ続けるファンからの期待に長嶋は苦悩を深めていたが、胸の内を周囲に伝えることはなかった。長嶋は孤独が一番強かった、孤独というのは自分自身が人の中に出ないことと話した。当時ONには天才の長嶋、努力の王というイメージが浸透していたが、王の一本足打法を指導した元巨人打撃コーチの荒川博の練習日誌には、長嶋が荒川に教えを請うていたことが記されていた。長嶋は、試合に立って初めてファンは自分を見るのだから練習は見せないと話した。
1974年、長嶋38歳の時に引退を迎えた。現役最後の日に通算444本目のホームランを打った。長嶋は、王さんが長い間お疲れ様と心から言ってくれた、あれは忘れられない、ファンあっての長嶋茂雄という意識を常に持っていたと語った。長嶋が亡くなり、プロ野球すべての球団が球場で黙とうを捧げた。全国のファンもその死を悼んだ。現役を引退した翌年に巨人の監督に就任したが、選手の力を思うように引き出せず、1年目は球団初の最下位に転落。日本一になることなく6年で監督を終えた。
1993年にJリーグが誕生し、野球人気は陰りを見せた。バブル経済が崩壊し、日本は長い景気低迷の時期に入っていた。12年の時を経て、長嶋に再び監督就任の要請があった。高校球界屈指のスラッガーとして注目を集めていた松井秀喜と出会い、長嶋は松井を新たなスーパースターに育てることを目指した。毎日自宅などに呼んでマンツーマンで指導を行った。松井は、巨人の中心選手としてあるべき姿を徹底して教え込まれたと話した。1994年に同率首位の2チームが最終戦でリーグ優勝を争った10・8決戦の視聴率は、プロ野球中継史上最高の48.8%を記録した。松井に初めて開幕4番を任せた1996年は、松井がMVPを獲得する活躍を見せ、奇跡的な逆転優勝をもたらした。長嶋が掲げた「メークドラマ」は流行語大賞に選ばれた。2000年には背番号3を26年ぶりに復活させた。
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2003年、松井はヤンキースに移籍した。メジャーリーグに憧れ続け現役時代に移籍の話もあった長嶋は、自らの夢も松井に託していた。長嶋は、56試合連続ヒットの記録を持ち、ファンのために全力プレーを貫く姿勢から「野球選手の鑑」と呼ばれたジョー・ディマジオに強い憧れを抱いていた。松井はヤンキー・スタジアムでのデビュー戦で、満塁ホームランを打った。2006年に左手首を骨折し、13年間続けた連続試合出場が1768で途切れた時、長嶋は電話で松井を励ました。リハビリを乗り越えて復活した松井は、ワールドシリーズMVPを獲得した。長嶋が亡くなった翌日、松井はアメリカから駆けつけた。
長嶋は2002年にアテネ五輪を目指す日本代表の監督に選ばれたが、開幕の約5か月前に脳梗塞で倒れた。右半身の麻痺が残り、リハビリのために歩くことを日課とした。現役時代は努力する姿は見せない信念を貫いたが、リハビリに励む姿はあえて公開した。その後も長嶋は野球に関わり続け、野球教室で子どもたちに野球の楽しさを伝えた。WBC日本代表監督として大きなプレッシャーを背負った栗山英樹は、長嶋から「自分の信じた野球をやりなさい」とアドバイスをもらっていた。日本は世界一になり、栗山は試合後の選手たちに20年前に長嶋が掲げた「伝道師たれ」という言葉を伝えた。栗山は、いかにファンが喜んでくれるかという長嶋の思いを伝える責任があると思ったと話した。長嶋は大谷翔平の二刀流についても、当時監督だった栗山に「両方とも才能があると思っているなら自分が信じた道を選手とともに歩むべき」とアドバイスを送っていた。
エンディング映像。
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