- 出演者
- -
オープニング映像。
去年12月、清水寺で今年の漢字は「熊」だと発表された。住宅街に次々とやって来るクマ。去年捕獲されたクマの数は1万2000頭を超え過去最多となった。秋田県のクマ専門職員はクマが成功体験を得て出て来やすい素地が出来てしまっているなどと伝えた。去年12月、秋田・大館市で山沿いの集落でクマの足跡が見つかり、クマは番犬や家畜の鳥を襲って去っていった。6年前にクマの研究者から秋田県自然保護課に転身した近藤はクマ対策の最前線に立ち続けている。獣医師を目指していた大学生時代に近藤は担当教授から野生動物と人との折り合いをつけるのがワイルドライフ・マネジメントの仕事だと教わり、自分がやりたいことはそれだと感じたなどと明かした。一昨年2月、環境省で行われたクマの保護管理に関する検討会に参加した近藤は様々な提言をしてきた。形となった対策の一つは緊急銃猟で市街地での発砲が可能となった。34都府県に生息するツキノワグマは森林生態系の頂点に位置する大型獣である。クマによる人身被害は全国で過去最多の236人となった。増える人身被害を受け、2020年に秋田県は対策支援センターを設置し、その目玉が専門家の採用で、近藤もそのタイミングで志願していた。
2023年、近藤は必ず現場検証するようにしており、この日も被害者から詳細に話しを伺っていた。ツキノワグマの生息域は年々拡大しており、市街地や海岸沿いにまで及んでいる。去年8月、秋田・大館市に暮らす男性は畑を放棄するといずれは動物たちの生息域となるため危機感を抱いているなどと明かした。近藤はクマの成功体験をどう断ち切っていくのかが今後のクマ対策の焦点になるなどと話した。
日本最大級の野生動物であるヒグマは推定1万2000頭前後が生息していると言われている。道内ではクマの目撃件数が5000件を超えた。去年7月、福島町で住宅の庭にてクマが目撃されると、新聞配達中であった男性が襲われ、命を奪われた。男性を襲ったクマは駆除されたが、2021年にも女性を襲い死亡させていたことが明らかとなった。2021年にヒグマに襲われた安藤は、最初は車にひかれたと思ったほど衝撃があったなどと明かした。人の食べ物の味を覚えたクマは一気に市街地への出没が増加した。北海道猟友会 砂川支部の支部長である池上は去年に16頭のクマを捕獲しているが、事態は何も変わらないのだと語った。
札幌市円山動物園では野生のクマが繰り返し侵入しており、その度に動物園や周辺の公園が閉鎖された。札幌市でのクマ目撃は360軒を超え、住宅街では人身被害も出ている。去年10月には公園に2頭の子グマが居座り、親グマを失ったためさまよい続け、緊急銃猟が実施された。2018年、池上は自治体から依頼を受けて猟銃でクマを駆除したが、周辺に住宅があったため猟銃の所持許可を取り消しにされてしまった。池上は裁判で処分の取り消しをかけて争っている。今月末、最高裁は当事者双方の意見を聞く弁論を開催するとし、判決見直しの可能性が出ている。
アイヌの伝統儀式であるイオマンテではクマは肉や毛皮を齎しれくれる存在として敬っている。秋田県阿仁のクマを仕留めた際にその場で行う魂送りの儀式であるケボカイ。本来は臆病なクマを集団で追って警戒心を植え付け境界線を構築してきた。しかし今年度全国で捕獲されたクマの数は1万2000頭あまりとなり、境界線崩壊を示した。岩手・大槌町でマタギの家系に生まれた松橋は令和の時代に合わせたマタギ像を追い求め修業を重ねてきた。この日、クマ猟の解禁日を迎えた松橋は取材スタッフからカメラを預かって身に着け、猟を行った。松橋が修業の地に選んだ大槌町は有害駆除されたシカの商品化に取り組むジビエの先進地である。松橋は16代目として受け継いだマタギの道具を紹介した。この日、松橋はクマ肉の美味しさを伝えるためにクマ鍋体験会を開催した。有害駆除されたクマは廃棄されることもあり、松橋は今必要になっている力を取り入れた新しいスタイルのマタギを体現できるよう頑張っていきたいのだと打ち明けた。
去年10月、住宅街に入り込み行き場を失った子グマが川に落ちて流されるなど、人里を彷徨う姿も多く見られるようになっていた。一方で対策の本拠となる生息頭数の把握は都道府県毎に手法・頻度が異なっており正確なデータの乏しさが課題となっていた。秋田県の近藤は第一線で活躍する専門家たちに助言を求めていた。旭川市の旭山動物園に2年ぶりに訪れた池上は以前自身で保護した子グマに会いに来ていた。池上の依頼を受けて子グマを園内に受け入れる決断をした元園長の坂東は、駆除対象のクマは北海度を象徴する動物でもあり、そのすばらしさを知ってもらうためにも引き受けたなどと伝えた。池上は自分自身もクマは大好きであるが、駆除しなくて良いことにはならず、一方で殺さないで住むなら殺さないのだと告げた。新得町のベア・マウンテンにはクマに冬眠を促す施設があり、園長の坂出はすぐには山にはクマが、街には人が暮らす棲み分けは出来ないと思っているなどと話した。壊れてしまった境界線のその先で、まもなくクマたちが目を覚ます。
NNNドキュメントの次回予告。
