アメリカのオフィス不動産価格のグラフを見てみると、リーマンショックがあった2008年以降急落し、その後回復したもののコロナ禍でリモートワークが増えたことなどを背景に、2022年中頃から再び大きな下落局面に入っている。こうした動きを受け、一部の地銀決算で大幅な損失が出ていることなどからマーケットでは新たな金融危機に発展するのでは?という声もある。アメリカのエコノミストは「商業用不動産の問題はローンの借換え。これから満期を迎えるローンが大量にあり、今後3~4年は続く。しかし金利が上昇しているので借り換えが難しくなっている。ただ、市場の懸念はやや大げさすぎすだろう。ほとんどの不動産は比較的堅調だからだ。問題となっているのは都市部の大きなオフィスビルだけ」と話す。小売向けなどオフィス以外の不動産価格は必ずしも下落しておらず、商業用不動産全体では価格は下げ止まってきている。また、専門家は「そもそも多くの銀行は商業用不動産に十分な警戒をしていたため、大きな金融危機は避けられる」とみている。