経済面で対立するアメリカと中国は、安全保障面でも激しい鍔迫り合いを続けている。そうした中、沖縄に駐留している在日アメリカ軍は去年からその一部が太平洋のグアムへの移転を始めている。今月、中国軍が公開した長距離の実弾打撃訓練の動画は、台湾本島を射程に収めるロケット砲ではないかとも伝えられている。また、東シナ海の上空などで中国軍機がアメリカ軍機に異常接近する事態も起きている。来日したアメリカのヘグセス国防長官は、日米で連携して対応していく考えを示した。元防衛相の森本敏氏は「この(インド太平洋)地域に限っていえば海軍力・空軍力は中国の方が相当近代化され優位にありこの傾向はますます大きくなる インド太平洋を重点的にアメリカは防御する 最大の目的は海洋に出てくる中国に対応できる態勢を取ること」だと語った。米軍再編の最前線がグアム。建設が進められていルノは海兵隊の基地。グアムに海兵隊基地が建設されるのは初めてで、2030年頃までの完成を目指している。沖縄の基地負担の軽減につながるため日本が3700億円余りを負担している。グアムから北東にあるテニアン島の軍用飛行場の再建が始まった。米海兵隊のアーネスト・ゴベア司令官は、抑止力の観点で言えば、我々が太平洋地域に分散していることで敵対国にとってどこを攻撃するか検討が難しくなると述べた。ランド研究所のジェフリー・ホーナン日本部長は、グアムの立地は今後も重要であり続ける、戦略的な重要性から軍備増強が続くだろうと指摘した。中国の軍事専門家の宋忠平氏は「私達はグアムを”扉を閉ざす島”と呼んでいる 中国の発展の扉を閉ざし、東に出るのを閉ざす」「アメリカはグアムを軍事要塞にして中国を抑える手段にするべきではない」と述べていた。日本は南西諸島をはじめとする島しょ部の防衛力の強化を進めている。陸上自衛隊トップの森下泰臣陸上幕僚長は、国内における射撃訓練の実施について調整していると述べた。第二列島線上の小笠原諸島では、新たな射撃場の整備計画も進められている。