給付と消費税減税が参議院選挙の争点となるなか、東京債券市場で長期金利(日本国債10年)がリーマンショック以来の高い水準になった。マーケットが財政悪化への懸念をしめした形。参院選の物価高対策として与党は1人あたり2万円の給付を打ち出し、野党は消費税率の引き下げや撤廃などを主張している。1人1万円給付の場合約3.2兆円、食料品の消費税0%で約5兆円、消費税一律5%に引き下げた場合約12兆円、消費税を廃止した場合約24兆円の財源が毎年必要との試算がある(野村総合研究所・木内登英氏の試算)。史上は参院選の結果次第では赤字次第の発行は免れないとして、国債を手放し金利が急上昇した。龍谷大学名誉教授・竹中正治氏は「条件付き給付に賛成、減税に反対」、上武大学教授・田中秀臣氏は「給付に反対、条件付き減税に賛成」、東京財団シニア政策オフィサー・森信茂樹氏は「給付・減税ともに反対」の立場。2022年にイギリスのの首相に就任したトラス元首相は、財源無き減税政策の失敗でわずか2カ月弱の史上最短政権となった。竹中氏は「国内のローン残高は約380兆円で預貯金は約1000兆円のため借金より預金が増える」、田中氏は「金利上昇で負担が増え消費が落ち込む悪循環になる」とみている。