(国会記者会館から中継)医療費が高額になった患者の自己負担を抑える高額療養費制度を巡って政府は、ことし8月に予定していた負担上限額の引き上げを見送る方針を固めた。衆議院通過を受けて、参議院での予算審議は、おととい始まったばかりだが、与党側から、さらなる対応を強く求められた。夏に選挙を控えているという参議院の事情もあってか、ある与党幹部は「地元や地方を回っていると、多くの怒りの声が聞かれる」と話していた。このため石破総理は周辺に、与党議員の強い声に対応せざるをえないかもしれないと打ち明けていたという。一方、自民党の閣僚経験者からは、朝令暮改と映りかねないといった懸念も出ている。石破総理にとっては、少数与党で厳しい政権運営が続く中、立憲民主党など、野党側の要求に加え、身内からの突き上げで方針転換を余儀なくされたと言えるかもしれない。政府与党にとって、最大の目標が、年度内成立ということは変わりない。今回の引き上げの見送りで、新年度予算案をどう取り扱うかが懸案となったが、与党幹部への事前の根回しは十分とは言えない状態だった。このため、きょうも一時、政府与党の調整が滞る場面があったほど。なんとしても予算案を年度内に成立させたい石破総理にとっては、正念場が続くことになる。