中国総局・松田智樹記者が解説:フランスに続きセルビアやハンガリーを訪問する習主席のねらいは?「中国に圧力をかけ続ける米国に対抗し、いわゆる中国包囲網の切り崩しを図るねらい。3か国はいずれも中国の伝統的な友好国で、ハンガリーは、ことし後半にEU(ヨーロッパ連合)の議長国を務める。中国としては、ハンガリーとの関係をてこに、EU各国への影響力を強めたいねらいと見られる。さらに注目されるのが、セルビアへの訪問。25年前の5月7日、当時のユーゴスラビア、現在のセルビアの首都ベオグラードにあった中国大使館が、米国を主体とするNATO軍によって誤って爆撃された。習主席はこの日に合わせて訪問する形で、中国にとっては屈辱ともいえる事件を忘れていないとアピールし、米国をけん制するねらいもあると見られる」。中国・習主席の訪問、なぜこのタイミングなのか?「半年後に迫った米国大統領選挙を見据えた動きと見られる。中国としては、選挙で誰が当選しても米国との対立は長期化すると想定。このため経済力を背景に中国との関係を重視する国々を取り込み、多国間の連携を強化して米国と対じする思惑と見られる。ただ中国では足元の経済が停滞しているうえ、ヨーロッパでは安全保障上の観点から、中国に対する警戒感も出ている。習主席の今回の訪問で、どこまでヨーロッパ側との関係強化を図れるかが焦点となる」。習主席は今月、中国でロシア・プーチン大統領とも会談する方向で調整していると見られる。米国を念頭にした中国の外交戦略の動向を注視していく必要がありそう。