アジア安全保障会議でマルコス大統領は「中国の妨害行為によって、もしも死者が出た場合はほぼ間違いなくレッドラインだ」と述べて相互防衛条約を結ぶ米国とともに軍事的な対応に出る可能性を示唆して、中国側に警告した。一方で、中国・董軍国防相は演説の中でフィリピンをいわゆる当たり屋に例えて批判し、「フィリピンこそが中国の主権を侵害している」などとこれまでの主張を展開して改めて両国の対立の根深さが露呈した。マルコス政権としてはより強硬な姿勢を強める国内世論も踏まえながら中国に対してきぜんと対抗しつつかつ、不測の事態は避けなければならないという難しいかじ取りを迫られているといえる。