首都圏ネットワーク 大空襲 80年
去年、ノーベル平和賞を受賞した日本被団協。原爆を含めた戦争被害を国民は受け入れて堪えなければいけないとする受忍論を批判した。受忍論は東京大空襲でも焦点となってきた。この間、空襲の被害者や遺族への補償は一切ない。85歳の河合節子さんは自身は疎開していて無事だったが東京大空襲で母親と弟2人が犠牲になった。空襲を生き延びた父親も40年ほど前に亡くなった。父親の繁一さんは東京大空襲で顔などに大やけどを負ったが戦後、補償はなく苦労しながら暮らしていた。犠牲者が10万人に上った東京大空襲ではおびただしい数のけが人も出た。国は戦後、軍人や軍属、その遺族は年金の支給などで補償。その一方で空襲被害者など戦火に巻き込まれた民間人は対象とされなかった。東京大空襲の被害者や遺族は2007年、国に謝罪や賠償を求めて提訴。河合さんも原告に加わった。しかし結果は敗訴。裁判所は心情的には理解できるが戦争被害者をどのように救済するかは立法を通して解決すべきとした。事態が行き詰まる中、去年秋、よい知らせがあった。河合さんたち遺族や支援者で作る団体のもとに同じ考えを持つ国会議員から救済法の具体的な条文案が届いた。河合さんのような遺族は対象にはなりませんが空襲で障害やケロイド、PTSDを負った人に一時金50万円を支給するという内容。遺族が求めてきた空襲被害の実態調査なども盛り込まれた。先月24日、通常国会の初日、河合さんは街頭に立って訴えた。節目の戦後80年が思いをかなえる最後の機会だと考えている。法案で求めている一時金の対象者は数年前の試算でおよそ4600人とされているがその後、亡くなった人もいるためもっと少なくなっていると見られている。国は民間人も含めて戦後補償は解決済みという立場を取っている。