- 出演者
- 桑子真帆
岩手県八幡平市にあるペンションは地元の食材を活かした料理が温泉が人気を呼び、34年間黒字経営を続けてきた。しかし、今人気のペンションを続けてくれる後継ぎが見つからないという問題に直面。2025年までに約127万社が後継ぎがいない事業承継の問題に直面している。うと半数は黒字経営にも関わらず廃業するおそれがあるという。
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- 八幡平市(岩手)
オープニング映像。
事業承継の問題、会社や店などの後継ぎがいない問題について考える。後継者の不在率は全国ワーストの秋田県では72.3%。
静岡県浜松市にある山内さんの自動車関連の工場。車のギアやタイヤの検査をする機器のパーツを作っている。社員13人で年商は2億円、黒字経営を続けてきた。しかし、親族などに後継ぎを断ら、会社の将来像が描けていない。山内さんは69歳、納得できる後継者がいないかぎりは引退できないという。山内さんの工場は外部への作業委託が多く、その数は20社以上で中には山内さんからの発注が売上げの100%の会社もある。廃業すると取引先の従業員の職をうばうことになりかねない。
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- 浜松市(静岡)
後継者が見つからない悩みを抱えるペンションを経営している安井さん夫婦は、スタートをするときは一生の仕事だと思ったが、健康状態はどうなるか想像できない、妻の薫さんは去年脳の難病になった、薫さんは自分が病気にならなかったら最後まで2人でできると思っていたと話す。全国で共通している課題は経営者の危機感の薄さ。病気になってから急に後継ぎを探しても、継いでもらうまでに5~10年かかるというデータがある。事業が順調でも間に合わずに廃業になるケースがあるという。三重県は後継者不在率が70%だったが、最新のデータでは全国で最も低い34.1%にまで下がっている。
三重県では会社と後継ぎ候補をつなぐコーディネーターが活躍している。コーディネーターの高垣さんは会社を周り、悩みを聞き取っている。かつては三重県の後継者不在率は7割だった。その危機感から後継ぎ探しの専門集団が作られた。元百貨店のバイヤーやIT専門家など約40人。コーディネーターたちは地元の金融機関や弁護士などとも連携し、経営者の悩みに沿って支援する。事業承継の成功の秘けつは包括支援。後継ぎ探しの意識づけから承継後の支援まで伴走する。後継ぎ探しの意識づけは診断シートを使って県内企業の半数以上である2万3700社を調査してきた。次は後継ぎ探し。コーディネーターは常識にとらわれない発想でマッチングする。ブランド卵が人気の養鶏場。同じ業種で後継ぎを探してきたが見つからず廃業の危機にある。そこで、コーディネーターが紹介したのは同じ市内の自動車部品会社。コーディネーターはこの会社が飲食業にも事業を拡大させると知っていた。後継ぎを探すとき、同じ業種にこだわらない。
後継ぎ探し日本一の三重モデルのベースとなるのは包括支援。コーディネーターの高垣さんは事業承継の心配ごとがあるはずなのになかなか表に出せないと思うが出さないと解決に向かわないと話す。後継者を探すときに自分の会社に縁がある人、商品やサービスに対して愛がある人なのが事業者は納得するが、同業者よりも地域の関係性が有効な場合もあるという。後継者探しの新しい選択肢としてオープンネームがある。オープンネームは企業名とともに事業や後継ぎへの思いをオープンにしていく方法。事業継承の問題は後継者がいないと口に出せないことにあるという。日本政策金融公庫によると、マッチング後の成立は6分の1、家族の理解、移住の負担、資金の準備などの問題がある。
岩手県八幡平市にある安井さんのペンション。先月下旬、同じ市内に住む瀬川和三さんが訪ねてきた。先月、東北で放送された後継ぎなし廃業の解決案を考える番組に出演、瀬川さんは伝承経営に興味をもつ後継ぎ候補の1人として参加した。瀬川さんは今年5月に大手生命保険会社をやめ、東京から岩手に移住。現在は八幡平市の地域おこし協力隊として活動している。地域の役に立ちたいという思いがある瀬川さん、6分の1のハードルをこえるかもしれない。気になるのはコスト面。
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- 八幡平市(岩手)
安井さんのペンションの後継ぎ候補である瀬川さんは地域おこし協力隊として活動している。地域おこし協力隊と事業承継の親和性は注目度が高まっている。事業承継も代理操業の側面が大きいのだという。瀬川さんは子どもの頃からの夢だったペンションをやりたいという気持ちで走ってきたが、具体的なことを聞けば聞くほどビジネスとしてやっていくには簡単ではないと受け止めているという。事業継承のトラブルとして、約束の反故、資産の売り払い、従業員の解雇などがある。信頼できる相手の見極めが大事になってくる。
信頼できる後継ぎに出会うには?四国では地方銀行どうしで手を組み、後継ぎ探しを支援している。地方銀行にとって後継ぎなし廃業は融資先を失う恐れがある。後継ぎに悩む自動車教習所。高知の銀行から出向している上田大誠さん、企業内部に入りどんな後継ぎがふさわしいのか探る。地銀のネットワークをいかし、経営実態を把握している企業から選ぶことで信頼できる後継ぎを探すのが狙い。
どうすれば6分の1を突破できるのか、継いだ側からヒントを探る。宮崎県にあるカフェのオーナー・関島さんは3年前にパン屋の後を継いだ。決め手となったのは初期費用を抑えられたこと。元の経営者がレシピや調理器具、取引先まで無償で引き継がせてくれた。地元で信頼されるブランドに注目した後継ぎ経営者もいる。お茶屋の看板を継いだ店が今年、山形市にオープンした。新開発のお茶スイーツなどがうり。後継ぎになった高橋寛光さんが名乗りを上げたのは1年半前。山形を代表する老舗に後継ぎがいないと知り、ビジネスチャンスと考えた。前の経営者は当初、創業の地で同じ名前での営業を希望した。しかし、看板が残るならと店の移転を了承し、今はお茶の専門家としてサポートしている。
高垣さんは事業を渡す側の方が何を継いでほしいのか、譲れるものと譲れないものを分けられると良いと話す。逆に何でもいいと言う方もいるので、絶対に譲れないことに向き合うことも大事だという。会社を渡すだけでなく技術を渡すことを認識することも大事。