- 出演者
- 笑福亭鶴瓶 杉原凜 鈴江奈々 ヒロミ カズレーザー(メイプル超合金) 野々村友紀子 板垣李光人 近藤千尋 田中美久 那須雄登(ACEes)
1986年3月福井県福井市、午前1時30分頃母親が仕事を終えて帰ってきた。15歳の娘が顔面や頭部から大量の血を流し無惨な姿で発見された。
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- 福井市(福井)
犯行時刻は午後9時30分頃。被害者宅の真下の部屋の住人が大きな物音を聞いたという。強引に侵入・窃盗・性的暴行の痕跡は全てなく、遺体の近くにあった文化包丁の刃型が刺し傷と一致した。警察の推測は薬物乱用などによる錯乱状態での犯行、犯人はかなりの血をつけて逃走した。前川彰司さんという男性が事件を知り、殺人事件の容疑者として逮捕され38年間殺人犯として生きていくことになる。当時中学3年生だった被害者女性にはシンナーの吸引歴があった。前川さんのもとに警察が訪れ事件当時のことを聞かれた。前川さんにはシンナーの吸引歴や暴走族との付き合いがあった。前川さんは暴走族に入り、シンナーがやめられず少年院へ。依存症治療の病院に入院しなんとか立ち直ろうとしていた。
警察に話を聞かれてから約1年、前川さんは事件の容疑者として警察に呼ばれた。その後、女子中学生殺人容疑で逮捕された。逮捕の決め手はウソ発見器とは関係なく中学時代にシンナーを勧めてきた先輩の男だった。前川さんにシンナーを勧めた男は覚せい剤事件で逮捕・起訴され福井警察署に勾留されていた。男は事件の翌日、血がついた前川さんを見たと話した。刑事はこの供述を重要視しこれを基に捜査が行われるようになった。午後9時頃、男の自宅を前川さんが訪ねてきたという。シンナーを受け取ると白い車に積み、車は仲間の一人が運転していた。数時間後に前川さんは服に血をつけて戻ってきた。運転していたという男は傷害罪により保護観察中で、前川さんの右手に血がついていたと話した。前川さんに女を紹介してほしいと言われた後輩は被害者を紹介したと証言。警察は被害者と前川さんの接点が裏付けられたと判断し前川さんは殺人罪で起訴された。
弁護を担当することになったのは小島峰雄弁護士。前川さんについて供述した人物たちは事件直後には「事件のことは知らない」と供述。1987年第一審・裁判が開始。法廷では無罪を主張した。被害者宅の電気カーペット用の上敷きから前川さんの毛髪が発見されている。1987年当時は毛髪で個人を特定する鑑定技術が発達していなかった。検察側の証人尋問で前川さんが犯人だと言い出した先輩が呼ばれ、新たな証言が飛び出す。
前川さんが犯人だと言い出した先輩は女性と同棲する家に血のついた前川さんが来たと証言していたが、前川さんから店に電話が来たと証言を変えた。店にいた仲間に迎えに行かせ、前川さんが乗った車が店の前まで戻ってきた。新しい証言は店の前で出会い、自宅に連れ帰り着替えさせたという。仲間の部屋で「夜のヒットスタジオ」を見ていた。彼らの証言が犯行時刻の9時半に近いものだと印象づけられた。前川さんを車に乗せて事件現場に連れて行ったと証言した男は、最初は前川さんを事件現場に連れて行ったことはないと供述を否定していた。
1990年9月26日、事件から4年半。第一審判決の日。3年越しの無罪判決が出た。主要な証言が何度も変わっていること、全員が犯罪歴・非行歴を持ち捜査員に対し弱みがあることで取調官の意向に沿いやすい状況だった。各供述への信用性が疑われ、物証も認められなかった。警察は控訴し控訴審が開始。第一審の供述から大幅に内容を変更したものもいたが、「血がついた被告人が現れた」という事件の核心に迫る供述は一致している。第一審では重要視されなかった前川さんに関する、事件から4か月経った頃から3回電話をかけていたという証言。前川さんが「逃げたい」と言ったとの証言だが、そんなことを言った記憶はないと主張した。
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- 前川彰司
無罪から一転有罪へ。上告は破棄され懲役7年が確定。前川さんは心が壊れていき、幻聴が聞こえるようになった。医療刑務所へ移送され7年の刑期を終えた。心身の治療のため入院、出所から1年が過ぎた頃息子の無罪を信じ続けた母を失った。再審請求のためには新しい証拠が必要で、再審請求は開かずの扉だった。弁護側は検察が開示していないと思われる全ての証拠の開示を要求。2008年、検察が殺人現場の状況写真や解剖写真を開示。被害者の遺体の傷跡と凶器と認定された2本の包丁に矛盾があった。2011年11月、最新開始が決定したが、取り消された。もう一度再審に向けて動き出した。
前川さんが血だらけで乗ったと証言された車内からは被害者の血痕は一切出ていなかった。弁護団は自分たちの血を使い、車に付着させルミノール反応テストを行った。血だらけで車に乗ったという証言が疑わしくなった。2022年逮捕から35年、再度証拠の開示を請求。検察側は拒否したが新たな証拠287点が開示された。取り調べを行った警察官は供述について取り合わなかったという。また、「夜のヒットスタジオ」放送日は事件から一週間も後だったことがわかった。
証言者が事件当日の夜見ていたという番組は嘘だったことがわかった。再審が決定し裁判が始まった。捜査に行き詰まった警察は他の関係者を誘導し、なりふりかまわず供述を得ようとした疑いがあった。嘘の証言をしたという人物は覚せい剤の件を見逃すため警察に調書通り話してくれないかと頼まれたと証言した。前川さんは無罪が確定した。
父禮三さんがインタビューに答えてくれた。「時間がかかりすぎたな」などと話した。一方で女子中学生を殺害した犯人は捕まっていない。前川さんは二度と冤罪が生まれないよう、自身の体験を今も訴え続けている。冤罪被害にあわないための対策は弁護士に相談することと、安易に供述調書にサインをしないこと。
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