- 出演者
- 佐々木明子 真山仁
経済小説「ハゲタカ」をはじめ、さまざまな人間ドラマを描く小説家・真山仁が未来を切り開く開拓者に迫る。月へと飛び立ったアポロ11号。55年前のきょう、人類が初めて月面着陸に成功。半世紀の時を超え、世界は今、新たな宇宙開発時代に突入した。民間企業も参入し、競争が激化。今後、市場規模は200兆円にも。
オープニング映像。
JAXA宇宙科学研究所(神奈川・相模原市)。去年、ベンチャー企業ロケットリンクテクノロジーを立ち上げた三浦政司共同創業者(JAXA宇宙科学研究所准教授)。小惑星探査機はやぶさ2は3億km以上離れたリュウグウのサンプルを回収。地球に持ち帰り話題となった。無人探査機SLIMは今年1月、日本として初めて月面着陸に成功した探査機。相模原では探査機や小型衛星を打ち上げるロケットイプシロンなどの開発も担当。三浦もそのメンバーの1人。宇宙開発競争は今世界で激化している。去年、インドは日本に先行して探査機の月面着陸に成功。2035年までに独自の宇宙ステーションを建設する方針を発表している。更に先月、中国の探査機が月の裏側の着陸に成功。世界で初めて未知なる土のサンプルを地球に持ち帰ってみせた。日本が宇宙開発で後れを取る中、三浦たちはベンチャー企業の設立に動いた。
世界で激化する宇宙開発競争。ロケットリンクテクノロジー・三浦政司共同創業者(JAXA宇宙科学研究所准教授)のもと、ある技術の開発が進んでいた。長年、固体燃料ロケットイプシロンの開発責任者を務めた森田泰弘氏とJAXAのメンバーとともに2023年、ロケットリンクテクノロジーを起業。JAXA発の宇宙ベンチャーが今、開発を進めているものとは新しい固体ロケット燃料の技術を使い、新しいロケットをつくる。これまで40年もの間、大きな改良をせずにきたという日本の固体燃料。LTP(低融点熱可塑性固体推進薬)について。大幅なコストカットが見込める新固体燃料ロケット。最終的には従来よりもはるかに安い5億円ほどでの打ち上げを目指している。すでに小さなテスト用ロケットでの飛行試験が始まっていて、今年3月には高度5kmまで打ち上げることに成功。新固体燃料ロケットのターゲット。大量の衛星を連携させることで通信や情報収集などに活用する衛星コンステレーション。
衛星を運ぶロケットの爆発的な需要拡大に期待を寄せる三浦だが、そこに立ちはだかる壁がある。新固体燃料の大型化だ。新固体燃料ブロックを溶かしてエンジンに充填していくための装置の開発が大きな課題だという。大型のロケットのために機械特性を改良していく必要もある。民間企業として挑戦することでこれまで日本の宇宙研究にあった2つの大きな壁を突破できるようになる。その1つが失敗が許されない重圧。更に民間企業として踏み出したのは長年、JAXAではタブーとされてきた領域の軍事不介入の掟。東アジア情勢を見ると中国の軍事拡大が顕著になる一方、北朝鮮による挑発が活発化している。三浦たちの研究が日本の防衛のカギを握ることになるかもしれない。
ロケット開発で世界から後れを取る日本。今後の日本の宇宙開発について三浦はどう思っているのか。産業化は夢が夢でなくなること。人工知能と宇宙から計測したデータを組み合わせるといろいろなことがわかる。他の技術発展と合わせて宇宙が夢ではなく、当たり前のように活用できる時代になっていく境目に今いる。ブレイクスルーとは「個の力を結集し無限の力を生み出すこと」。