- 出演者
- 佐々木明子 真山仁
眠りの研究で睡眠不足大国の日本を救う。筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構・柳沢正史機構長は睡眠学の世界的な権威。さまざまな商品が開発され、かつてない活況を呈する睡眠ビジネス。先月、NTTの子会社が発表したのは眠りへといざなう生体データと音楽で眠気を誘う睡眠ウェア。生体データと音楽で眠気を誘う。東証グロース市場に上場したテンシャルが開発したのはリカバリーウェア。着ている人の体温を利用してぬくもりを保ち、睡眠環境を整えることができる。睡眠ビジネス市場は2030年には110兆円規模まで成長すると見込まれている。正しい眠りを知ることで企業業績がアップするという。
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疲労回復、記憶の整理、免疫力の維持など健康的な生活に欠かせない睡眠。特にここ数年、睡眠ビジネスは過熱し、さまざまな商品が売り出されているが、睡眠研究の第一人者である柳沢正史氏は警鐘を鳴らす。正しい情報と誤った情報が混在している。睡眠研究の重要な役割。万人に適した睡眠時間はなく、年齢によっても変わる。自分にとって最適な睡眠時間はどれくらいなのか誰でも簡単に調べることができる。柳沢氏によると4晩連続で寝られるだけ寝て何時に寝て何時に起きたかを記録し、4晩目になると睡眠時間が落ち着いてくるのでそれがその人にとって最適な睡眠時間だといえるという。柳沢氏は2017年にベンチャー企業S’UIMINを設立。睡眠の計測ができる装置を開発し、企業向けのコンサルティングを行っている。教育、医療、金融の各分野でシステムやアプリ開発などを行うIT企業の日本システム技術。去年から柳沢が開発したデバイスを使い、社員の睡眠計測と分析を始めた。会社が費用の9割以上を負担し、140人の社員が睡眠計測を実施。今後も業務パフォーマンスの向上に向け、継続的に行っていく。柳沢の睡眠計測はすでに30社で行われていて、一部の社員が実施したある大手企業ではパフォーマンスが4.3ポイントも上昇した。計測結果を踏まえた専門家による睡眠のアドバイスが功を奏し売り上げも数千万円アップ。柳沢は今後、企業の健康経営や生産性向上を進めたいと考えている。食、運動、睡眠ぬち企業が最初に手を付けるべきなのは睡眠。
2023年から配信が始まった柳沢が監修したスマホアプリ「ポケモンスリープ」。きっかけは6年前、柳沢の元に突然話が舞い込んできた。使い方は寝る前にアプリを起動し、枕元に置くだけ。寝ている間に自身の睡眠が計測される。長時間眠るとスコアが高くなり、多くのポケモンと出会うことができる。睡眠不足は肥満の最大の原因だという。柳沢は「完徹した後の脳のパフォーマンスは血中アルコール濃度0.1%相当」などと話した。
睡眠研究の世界的権威で、ノーベル賞候補との呼び声高い柳沢。研究者になったころは睡眠とはまったく違う研究をしていた。名を上げたのは1987年、血管を収縮させるエンドセリンという物質を発見。後に肺高血圧の治療薬として実用化された。この発見がアメリカの大学の目に留まり、ヘッドハンティング。柳沢の人生を大きく変えるきっかけとなった。アメリカの大学で20年以上にわたり研究を行い実績と経験を積んだ柳沢。2010年以降、日本政府も睡眠研究に力を入れ始めると真っ先に柳沢の研究が内閣府の最先端研究開発支援プログラムに採択された。2012年に文部科学省が世界一の研究拠点を目指し立ち上げた国際統合睡眠医科学研究機構のトップに就任。今や各国から研究者が集まり世界の睡眠研究をリードしている。後継者を育成するポイントを聞くと、柳沢は「若い研究者に『心から面白いと思えることをやってください』と言っている」という。
筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構・柳沢正史のブレイクスルーとは「森林限界を超えること」と紹介した。
ブレイクスルーの番組宣伝。