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今日伝えたいことは、新作の日本刀をアートとして楽しんでほしい。それぞれの時代の侍は新作刀を佩刀していた。新作を作ってもらうと一般的な日本刀だと、拵と刀身が揃って850万円。日本刀は、海外ではアートとしての価値を確立。昨年フランスで新作刀の展示会を開催し、買い求める外国人が殺到。日本では武器のイメージが強く、アートとしての見方が浸透していない。
拵は洋服みたいな感じで、仕事用やお洒落用などありデザインや素材が異なり入れ替えていた。ルールもあり、江戸城登城の際は黒漆塗など細かいルールが存在したという。お国拵と言い、藩や地域ごとに特徴的なデザインや技法が存在。拵を作る工程は分業制。鍔などの金具を作る金工師、刀身と鞘の繋ぎ目の鎺を作る白銀師など5人の職人が関わり、制作期間は最低でも半年以上。現存するものでは、上杉謙信が愛用した国宝山鳥毛の合口造鞘黒蝋色塗柄革巻拵や、桶狭間の戦いで前田利家が使っていたという金粉などを巻き付けた拵などが有名。今回アートとして見てほしいのは、姫路城に眠っていた超貴重な拵をスタジオで鑑賞。ポイント1つ目は、印象を消えるキャンバスとなる鞘。塗師が2か月以上かけて漆を塗り上げ、そこに色を入れたりデザインを施す。金梨子地は、漆を塗り金粉を蒔いて透明な漆を塗って研いだ技法。魚々子(ななこ)は、魚の卵のような小さい丸い粒の連続模様で、金槌で粒を一つずつ刻む。太刀掛は、飾る太刀に合わせて作った専用の台。
「マツコの知らない世界」の次回予告。
日本では未だアートとして浸透していない日本刀。そんな日本人に伝えたいアートポイント2つ目が「糸が織りなす造形美 柄」。柄とは日本刀の持ち手の部分で750年以上前の鎌倉時代には鮫の皮や糸を巻いた柄巻きという装飾が施された。それを専門的に行う柄巻師は糸の巻き方で様々な柄を作り出す。柄糸を菱形に組み合わせる「菱巻」など様々な種類がある。近年は若手の刀鍛冶が台頭してきていて、中には外国人の刀鍛冶も登場している。
拵のトータルデザインを任されているのが鞘師。どの職人に仕事を任せるかを決め、どんな装飾を施してほしいかを依頼。日本等の価値を決める人物とも言える。鞘師のなかで人間国宝に最も近いと言われている2大職人の拵を紹介。新作日本刀の刀装部門金賞を受賞した剣持直利作「黒漆塗鮫皮巻鞘大小拵」は、サメやエイの皮を鞘に巻き付ける手法をとっている。この鞘は鮫鞘と言われ、江戸中期頃に流行した。皮を1か月かけて貼り付け、漆を塗り磨くことで、星空のような模様を浮かび上がらせる。最も大きい粒が大きいほど、鮫皮の品質が良いとされ高価。「朱漆塗研出鮫紅葉散打刀拵」は、江戸時代から続く鞘師の6代目である高山一之が手掛けたもの。正倉院の依頼で、国宝などの修理も行う匠。鮫皮を紅葉の形に貼り付ける高山氏オリジナルの技法を用いている。鮫皮の上に赤い漆と黒い漆を重ね塗り、粒の部分を磨いて赤い漆の色を出している。刀身と合わせて850万円。
没後約150年の時を経て、新選組・近藤勇の愛刀「三善長道」をテレビ初公開。1677年に作られ、最上級の切れ味「最上大業物」に格付けされている。柔らかい心鉄を硬い皮鉄が包んで鋳造。碁石が連続したような波型の刃文。鑑賞時には、唾が飛ばないように口を手で押さえる必要がある。