- 出演者
- 豊島晋作 竹崎由佳 原田亮介
アメリカ・トランプ大統領はこれまで自動車関税について「恒久措置だ」と発言していたが、14日には部品の生産拠点をアメリカ国内に移す自動車メーカーへの支援を検討していると明らかにした。アメリカメディアは一時的な減免措置がとられる可能性があると報じている。この突然の方針転換に現場は翻弄されている。埼玉県寄居町にある北陸軽金属工業の佐々木社長は「率直に迷惑としか言えない」と話す。この会社ではエンジン部品や車体のフレームを製造している。自動車関税の影響で自動車メーカーの売上が減少すれば、新型車への投資が減少し受注が減るのではないかと懸念している。同じように関税措置を巡って振り回されているのがスマートフォン。当初相互関税の対象だったスマートフォンは、今後導入が見込まれる半導体関税の対象となる方向に。背景にあると見られているのが米中の貿易戦争。中国に対する追加関税は145%に。iPhoneなど中国で製造されるスマートフォンが国内で大幅に値上がりすることが懸念されていて、軌道修正を迫られた形となった。トランプ氏がアメリカへの投資の拡大を訴える中、アップルは2月、アメリカ国内で今後4年間で5000億ドルを投資すると発表。半導体大手エヌビディアもAIサーバーなどをアメリカで製造すると発表した。今後4年間で5000億ドル分を製造するとしている。
トランプ氏に世界のマーケットも翻弄されている。アメリカの投資会社ヌビーンのウィリアム・ハフマンCEOが取材に応じた。ウィリアム氏は「世界の自由貿易体制は維持されると考えている」と話す。いずれアメリカは各国と妥協すると見る一方、投資は今守りが重要だと指摘する。「投資先を検討する際はインフレのリスクを緩和できる試算の組入が重要」だということ。金融市場での株価下落はいつまで続くのか。ウィリアム氏は「今年の後半にかけて徐々に見通しやすくなってくるだろう。まず重要なのは企業決算、次に今後の関税、規制緩和、税制に関する製作の方向性。最後に中国との関係。この3つの要素が今後の市場の展開を左右する中心的な要因になるだろう」などと指摘した。
相互関税を巡って、日本とアメリカの交渉が日本時間明後日から始まる。焦点の1つが為替。今日は1ドル143円近辺で取引されている。このまま円高が進んだ場合、インバウンドへの影響が懸念される。日本離れを懸念する観光地を取材した。富山県と長野県をつなぐ立山黒部アルペンルートが今日開通した。今年は例年より積雪が多く、雪の壁は高いところで16mに。昨年度は82万人以上が訪れた。インバウンドの影響で好調なのが長野県側にあるホテル「ANAホリデイ・インリゾート信濃大町くろよん」。約6割がインバウンドの客だという。このホテルではさらなるインバウンドの増加を見越して新たな客室棟の増築を行っている。ただ、円高によって客室単価が下がってしまうことを懸念しているという。
トランプ関税を巡り、Paykeによると日本旅行に意欲のある外国人のうち25.5%が円高だと訪日旅行をためらうと回答しているという。専門家の唐鎌大輔氏はドル安について来年春の中間選挙に向けて関税政策をマイルドにすると見られ、結果的には半年~1年も続くものではないと推測している。赤沢経済再生担当大臣は石破総理から日米双方がウィンウィンになるような形を全力で模索してくれと指示を受けたと話している。日本時間の17日にベッセント財務長官との会談は行われる。
原田さんは円高は当面続くことが予想され、投機筋の動きからも可能性は高いと指摘している。海外の観光客が減ることではなく輸入インフレが抑制される肯定的な側面も考慮すべきと言及。また、アメリカではトランプ大統領が関税を延期したことで株安などが回避されたものの、円やユーロに資産を移動させる動きは強いとしている。為替相場は円が8%、ユーロは9%強くなったものの、原田さんは日銀短観では想定レートが147円台となる中吸収できる範囲と見られることから関税による影響のほうが懸念されるとしている。円高はドル安と同義であり、トリプル安が起きることが懸念される中でアメリカが無理やりドル安を主張することはないのではないかと見ている。
財務省は財政制度等審議会を行い政府の財政方針を議論しているが、増田寛也分科会長代理はコメの安定供給を巡って外国産のコメについて言及してではいる。GATTウルグアイ・ラウンド関税ゼロで輸入できる「ミニマム・アクセス米」が年77万t輸入されているが、主食用として流通されるのは10万tまででほかは家畜の餌や加工食品にしか使われていない。増田代理は生産量の増減は気候変動の関係で毎年考えなければいけないと言及し、調整弁としていくつかの手法を持つことが有効としている。イオンが展開するアメリカ産米と国産米を合わせた「二穂の匠」は味に遜色がないとの話も聞かれている。商社・兼松で話を伺うと、現状輸入米の供給は安定しているという。審議会の提案した主食としての活用については、トータルとして米の市場が維持されることが大切と言及している。
自民党と公明党の幹事長らが都内で会談し、物価高や夏の暑さを乗り切るための支援策として、今年7月から電気・ガス料金への補助を行う方針で一致した。財源には今年度の予備費を充てる方針。物価高対策を巡っては、今日与野党から現金給付や減税についての発言が相次いだ。国民民主党の玉木代表は時限的な消費税の減税を導入するよう訴えた。一方立憲民主党は食料品の消費税ゼロを掲げる提言をとりまとめた。
中谷防衛大臣は今日の記者会見で、今年度の防衛費と関連経費の合計額が9兆9000億円で、基準となる2022年度のGDPの約1.8%に達したと明らかにした。政府は国家安全保障戦略で、防衛関係費を2027年度にGDPの2%に引き上げる方針を掲げていて、中谷大臣は「今後も防衛力の抜本的な強化を着実に進めている」と述べた。
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中国の習近平国家主席はきょう、訪問先のベトナムで、ルオン・クオン国家主席と会談した。習主席は、中国とベトナムは国際秩序を堅持し、一国主義に反対すべきだと主張した。クオン主席は、中国とのハイレベルな交流を維持していくと応じた。中国とベトナムは共同声明で、トランプ政権を念頭に、国際社会は不確実性に直面していると指摘したうえで、覇権主義や一国主義、平和と安定を損なう行動に反対すると強調した。領有権を争う南シナ海をめぐり、平和と安定の維持が重要だとの考えで一致したという。経済面では、鉄道網やAIなどの分野での協力強化をうたった45の文書に署名したと伝えられている。中国は周辺国との関係を深めている。アメリカのブルームバーグ通信は、中国政府が国内の航空会社に対し、アメリカ・ボーイングからの航空機の納入を受け入れないよう指示したと報じた。
米中関係について、原田は、優勢なのはアメリカだが、今後関税協議で、中国も攻勢を強めてくるなどと話した。シンガポールのシンクタンクの世論調査によると、アメリカと中国の二択を迫られたときに、2024年の調査では中国がアメリカを上回っていたが、ことしの調査では、ASEAN10か国では52.3%と47.7%で、アメリカがリードしている。原田は、自動車やスマートフォンだけでなく、今後需要が高まるエアコンやクリスマスシーズンのおもちゃなどのほとんどが中国製、関税措置により、値段が上がれば消費者が関税を容認するかどうかという問題が生じる、中国にとっては都合がいいなどと話した。3月の中国の貿易統計では、輸出全体で12%増え、アメリカ向けは9%増、ASEAN向けは12%増となっている。原田は、ベトナムはホワイトハウスに真っ先に駆けつけて相互関税の交渉に乗り出している、チャイナ・プラス・ワンのポジションを確保していたが、これから相当必死にやらなくてはいけない、日本の企業もASEANの拠点をどう使うかをよく考える必要があるなどと話した。
アメリカ運輸省は14日、テキサス州で計画されている高速鉄道プロジェクトの補助金91億5000万円を撤回すると発表した。JR東海が技術協力し、日本の新幹線方式で整備される計画だった。運輸省のダフィー長官は、撤回の理由について、税金の無駄遣いだと説明している。JR東海は、プロジェクトへの影響も含め、状況を注視していきたいとしている。
ソフトバンクはきょう、北海道苫小牧市で、AIのデータを処理する新たなデータセンターの起工式を行った。データの処理と必要な電力負荷を地方に分散させるのが狙い。新たなデータセンターは、再生可能エネルギーだけで稼働するのが特徴で、来年度の開業を目指す。
三井住友FGはきょう、法人口座やビジネスカードを一体で提供する中小企業向けサービス「トランク」を来月から開始すると発表した。請求書をスマートフォンのアプリで撮影するだけで振込予約ができる機能などの搭載を予定している。中島社長は、目標は30万口座で、預金は3兆円とした。
中国IT大手・テンセント傘下のテンセントクラウドは来月を目処に、AI搭載のデジタルヒューマンを企業向けに作成するサービスを日本で始めると発表した。アバターを24時間以内につくることができるのが特徴。ライブコマースなどでの活用を想定している。こうしたサービスの提供は中国本土以外でははじめてで、日本企業向けのサービスを今後拡充する方針だ。
為替と株の値動きを伝えた。
週末に開幕した大阪・関西万博では未来に向けた先端技術など初物尽くしの万博を彩るもう1つの初物は電力。燃える際に二酸化炭素を排出しないのがアンモニアだが、プラント大手のIHIはUAEで化石燃料から生産される特別なアンモニアを100%使って発電。万博会場の一部の電力を脱炭素化している。ブルーアンモニアと呼ばれるこのアンモニアは、化石燃料から生産する際に発生した二酸化炭素を回収・貯留した脱炭素燃料。日本はブルーアンモニアを活用した脱炭素電力を世界に先駆けて万博で活用するようUAEと連携してきた。万博での実証を経て、商用化に向けた国際連携は続く。
自民党幹部は物価高への対応を巡り、今国会での補正予算案の提出を見送る考えを示した。アメリカのトランプ政権による関税措置の影響が見えない状況で、補正予算案を組むことは適切ではないと判断された。
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中国のGDPについて原田亮介は「1-3月のGDPは輸出で駆け込みがあったので、押上効果が出てくる可能性がある。」などと話した。
エンディングとして久保田利伸の「諸行は無常」が流れた。
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