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プレアヴィヒア寺院はアンコールワットの北東140km、ダンレック山脈にある。タイとの国境にそびえるダンレック山脈の頂きに築かれたもので麓から車で寺院を目指す。車でいけるのは参道近くまでで現れるのは急な石段。プレアヴィヒア寺院は山岳信仰で生まれた寺院となっている。ガイドの案内で石段を登るとヒンドゥー教の蛇神「ナーガ」の象が両脇に建てられていた。ナーガの参道と呼ばれ、俗世と天上界の境界線でこの先は神の領域となる。その先にはカンボジアの紙幣に描かれるほど貴重な遺跡となっている第五楼閣にたどり着く。プレアヴィヒア寺院は約800mの参道が5つの楼閣を結んでいる。そして楼閣の先にはカンボジアの大平原が広がっている。クメール人は山を信仰しており、ダンレック山脈の山をヒンドゥー教の聖なる山として寺院を建立。参道の標高差は約120m、山の斜面楼閣を作るが高度な技術が必要となっている。
第五楼閣の先に進むと参道の脇に池がある。雨水をためて沐浴するために造られた人工の池で参拝者はここで身を清めた。その先には第四楼閣が存在する。第四楼閣は参拝者の祈りの場で形は十字で東西南北を表している。その石は山の石を切り出したものを使用した。その先には第二、第一楼閣がありその先に聖なる頂きが待っている。断崖のギリギリのところまで進むことができ絶景を臨むことができる。アンコール王朝は12~13世紀の600年の間繁栄し、「アンコール・トム」など都市が築かれていった。そしてプレアヴィヒア寺院がもたらした影響は他にもあり、建築家彫刻の技術もアンコールワットにつながっていた。
ダンレック山脈の山には古くからヒンドゥー教の最高神である「シヴァ神」が信仰されていた。シヴァ神を象徴する「リンガ」はかつては67基ずつ並んでいたとされる。寺院にはシヴァ神以外の神々の姿やヒンドゥー教の神話が描かれている。プレアヴィヒア寺院の中で最も大きい第三楼閣は十字に東西で大きくなっている建物で修行するものが瞑想する場所とされる。中心の十字の建物にはクメール様式の石組みを確認でき、こうしたクメール建築が評価され世界遺産に登録された。そのクメール様式はアンコールワットに引き継がれていった。
プレアヴィヒア寺院の第三楼閣の片隅には木が生えた小さな塔が存在する。数百年の間に一体化したものと考えられ、塔は山の土着神が祀られているとされる。そこにシヴァ神信仰が結びつけられたと考えられている。
かつてプレアヴィヒア寺院は王などが訪れる寺院だったがアンコール王朝が滅亡し現在は誰でも参拝できるようになった。シヴァ神を祀ったお堂では今では仏教寺院となり多くの参拝者が訪れている。建設からおよそ1000年、楼閣の多くの部分が崩れ落ちているがカンボジアにとって国の誇りとして保存作業が進められている。
世界遺産の次回予告。
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