- 出演者
- 所ジョージ 佐藤真知子 阿部健一 三浦一馬
オープニング映像が流れた。
今年ついに完成した建築家・隈研吾さん設計のかがくの里の母屋。今回は母屋にこめられた徹底的なこだわりと職人技や母屋のオモテとウラを大公開。収穫祭も後半戦、母屋で所ジョージがのんびりくつろいでいると母屋軍団がやって来た。今回母屋プロジェクト全体の指揮をとってくださったのが親方の金澤良行さん。円形の茅葺の家という経験したことのない建築に苦戦しながらも最初から最後まで現場を仕切り、見事完成まで導いた。構造的にも複雑な母屋を建てるにあたって耐震など建築としての強度を計算してくれたのが江尻憲泰教授。そして木材利用の専門家・村田功二教授は内装ではフローリングを担当。
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硬い広葉樹はフローリング向きだが現在の日本の里山には小径のものが多く、製品として活用するのが難しい現状。そこで去年11月、国産広葉樹を活用したフローリングを作る大阪の会社を訪ねた。出迎えてくれたのは朝日ウッドテックの伊藤さんと宮川さん。伊藤さんは村田先生とつながりがあり、25年前に教員になって初めての学生であった。フローリングで一般的に多いのが合板という基礎の板に化粧材と呼ばれるフローリングの表面部分を貼り付けた複合フローリングと呼ばれるものである。工場では木材を薄くシート状にした突き板と呼ばれるフローリングの化粧材を作っているそうでその様子を見学した。まず木材をカットして決められた寸法の多きさに揃える。それを1つ1つ木の色や模様を人の目で見て組んでフローリングの化粧材が組まれていく。カットした木材を再びのりでくっつけ機械で圧力をかける。それまで小径木は製品での活用が難しく、多くはチップや薪などの燃料にするしかなかった。しかし複合フローリングの技術によって短い材や小径材も建材としての利用価値が高まった。圧力をかけて長方形のブロック状にしたものをお湯に漬けて軟らかくしスライサーで木材の下面からスライスしていく。このシート状の木材がフローリングの表面に貼られ、その厚さはわずか0.3ミリ。これを合板に貼り木目の美しいフローリングとなる。今回母屋には2ミリに挽かれた挽き板フローリングを使用し作り方は異なるがこちらも小径木を活用したフローリングとなっている。広間にはクリ・キッチンにはサクラと里山の広葉樹が使われた。木材は月日が経つと水分が抜けどうしても縮んでしまうが心柱の表面を1センチほど削り、フローリングに丸太のカーブを写し取ってカットして差し込むと心柱が縮んでも隙間ができなくなる。
今回隈さんが設計上、とりわけ強くこだわったのが開放的な開口部。母屋を建てる向きを考える上でこの開口部が重要なポイントでもあった。人が集まるいろんな角度から見ても開口部がウェルカムな感じでこちらを向いていた。さらにもう1つ、開口部の向きが大事な理由があった。茅葺き屋根にとって大切な風の抜けも考えられた開口部となっていた。
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その開口部を作ってくださったのが建具職人60年の根内さん。建具とは土合や窓など住宅を仕切るために設けた開閉できるものの総称。根内さんは親方が作る家の建具に長年携わってきたそうで合計8枚の開口部は可動式で全部開いて一番大きいもので高さ約230センチ・幅約190センチとなっている。家の建具でここまで大きいものは経験がなく、組み立ては根内さんが作った縦横のフレームからでそれぞれの先にはほぞと呼ばれる差し込む部分とほぞ穴というほぞが入る穴があった。建具の組み立てと同時にガラスより軽く強度が高いポリカーボネートを入れていく。ほぞをほぞ穴につけて最後に滑車をつけて完成となった。
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巨大な母屋の建具を取り付けていく。1枚で60キロもある建具を大人数で取り付けていると、わずか1ミリ以下の習性となり現場で根内さんがかんなで削る。鴨居と呼ばれる戸上の部分は大工さんが開けたものでこちらも微調整していく。そして大きな2面の開口部が完成しこれ以上なく開放的なフルオープン式となっていた。
続いては所ジョージも感動した外壁。外壁を作ってくれたのが渡辺工業の渡邊さん・宇津野さん・長尾さん。まず最初にするのが下塗りで外壁を塗る作業を大きく分けて3つで「下塗り→中塗り→上塗り」の3工程に分けて塗っていく。下塗りに使うのはモルタルというセメントと砂と水が混ぜられた材料。モルタルが乾かないうちにスピーディに塗るのが技である。母屋の外壁には金網が貼られていてこの金網がモルタルをしっかりと固定し壁のひび割れを防ぐ。実家が左官業を営む三浦一馬も時前の左官道具でお手伝いし即戦力となっていた。そして母屋の外壁には隈さんからの要望で角を全部丸くしてくれとのことだった。木の角になっている窓の縁や家の角を丸く仕上げるというもので円形の屋根に合うよう優しい丸みをつけていく。およそ2日かけて下塗りが終了。中塗りも同じくモルタルで塗り、2段階に分けてモルタルを塗るのは一度に分厚く塗るとモルタルが崩れたり剥がれやすくなるからである。真夏の炎天下、茅葺き屋根の下で休憩を取りながら中塗りも無事終了。残すは仕上げの上塗りで使うのは藁と里の砂であった。砂や藁を混ぜるのには意味があり、里の砂と藁を使うことでより里に馴染む風合いになるが塗るのが一気に難しくなる。上塗りの厚さはわずか2ミリで藁や砂が入るので慣れない砥材に職人さんも苦戦したが見事里に馴染んだ外壁が完成。
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圧巻の茅壁を作るために里にやって来たのは母屋の屋根を葺いてくれた会津のかやぶき職人である小椋竹彦さん。そもそも茅壁とは名前の通り茅を束ねて葺かれた壁のこと。今回の茅壁は親方や隈さんとも相談しながら編み出したオリジナルの方法である。なので皆さん作るのは初めてであった。そこでまず最初に小椋さんが作ったのが要望は茅の直径を8センチにすることだったのでそれ用の型を自作。前例のない茅壁に小椋さんも手探りで作業を進める。使うのは茅壁屋根で余った茅と足りない分が小椋さんが会津から持ってきた。ここで所ジョージが小椋さんから茅壁作りを教えてもらうこととなった。茅を麻紐で縛っていくが、巻いている麻紐の間隔を広くして縛ることも隈さんのこだわりである。1本で終わりではなくこれをどんどん作っていくが、なぜ内側の壁を茅壁にしたのか。天井を内側から見上げると見える茅から目線を下に下ろしても茅が連続して見える縄文時代の住居のような風合いを感じられるのではないだろうかとのこと。6日間かけてかがくのさとオリジナルの茅壁が完成。
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「所さんの目がテン!」の次回予告をした。
