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今回は迎賓館赤坂離宮。前庭ではアフタヌーンティー(要予約、1セット2名様分 6,600円、別途庭園入場料)が楽しめる。迎賓館赤坂離宮がモデルとしたのはヴェルサイユ宮殿だが、屋根や部屋の中に鎧兜があるなど、至る所に日本の装飾が散りばめられている。国立国会図書館や東京オリンピック組織委員会の事務所になるなど時代に合わせて役割を変えてきた。手がけたのは2人の建築家。1人は明治のエリート官僚だった国家の建築家・片山東熊、もう1人は昭和の国民の建築家・村野藤吾。片山が作り上げた黒塗りの門を村野は白に塗り直した。その変化に隠された意味とは。
オープニング映像。
JR四ツ谷駅から歩いて10分の場所にある迎賓館赤坂離宮は一級建築士の試験に合格した田中道子にとって憧れの建物だという。2016年から一般公開され、公式行事がない日は中を見学できる。入場料は一般1,500円、大学生1,000円、中高生500円。片山東熊が設計し、1909年に竣工。地上2階、地下1階の洋館。明治以降の建築では初の国宝の指定された。石畳の上に建つ左右に均整の取れた宮殿建築。建築と彫刻が完璧に融合したネオバロック様式が採用されている。装飾はコリント式とイオニア式が融合したコンポジット式。建物の随所にヨーロッパの伝統的な装飾が散りばめられているが、屋根には鎧兜の彫刻があった。
田中道子が建築史家・大阪公立大学教授の倉方俊輔と一緒に迎賓館赤坂離宮の中を巡った。国家元首などの賓客は車寄せから正面玄関を入るが、今回は脇門から入った。エントランスの床は市松模様。イタリア産の白大理石が使われている。ミケランジェロ「ダビデ像」と同じ素材だという。東宮御所(皇太子の住まい)として建築され、外国の賓客を迎えるために豪華や部屋がいくつも設えられた。2階へ上がる階段も華やか。バロック建築の特徴の一つだという。
迎賓館赤坂離宮の玄関ホールの上にある「彩鸞の間」はかつて控えの間だったが、現在は首脳会談や条約調印式に使われている。装飾はナポレオン1世時代のアンピール様式。パリの凱旋門もアンピール様式だという。勇ましさを表すモチーフが特徴。遠征した土地の文化も取り入れ、エジプトのスフィンクスもあった。迎賓館赤坂離宮は部屋ごとに異なる様式で装飾されており、他にはアンリ2世様式、ムーリッシュ様式、フランス18世紀末様式がある。東の間はイスラム文化を取り入れたスペインのムーリッシュ様式。
迎賓館赤坂離宮を設計した明治の建築家・片山東熊は1879年に工部大学校(東京大学工学部の前身)を卒業。京都国立博物館、旧竹田宮邸宅(現グランドプリンスホテル高輪 貴賓館)などを手がけ、宮内省内匠頭まで上り詰めたエリート官僚だった。1896年に東宮御所の設計に抜擢。海外視察を重ね、アメリカから鉄骨を取り寄せ19世紀後半のヨーロッパで流行したネオバロック様式を採用したが、甲冑姿の武者、日本刀など随所に日本的な装飾があった。
西洋の様式と和の様式が理想的に融合しているのが2階東側にある花鳥の間。ルネサンスの影響を受けた16世紀フランス末のアンリ2世様式。天井は騙し絵、平面だがドームがあるように見える。壁は30面の七宝焼が彩る。渡辺省亭が原画を描き、濤川惣助が七宝焼に再現した。片山は洋館の細部を日本の伝統工芸品で飾り立てた。京都西陣の金華山織もある。世界各地で開催されていた万国博覧会で日本の工芸品が評判となっていたことに目をつけた。
東宮御所は1909年に竣工。イギリスのエドワード8世や満州国皇帝の溥儀が滞在するなど迎賓施設として利用されたこともあったが、戦後に皇室から国へ管轄が移されると、建物の用途は迷走した。1948~61年は国立国会図書館、1948~70年は弾劾裁判所、1961~65年は東京オリンピック組織委員会となった。日本が経済成長を遂げ、海外のVIPをもてなす施設の必要性が高まると、東宮御所は1968~74年に改修工事を行い、迎賓館赤坂離宮として生まれ変わった。
迎賓館赤坂離宮の正門は建設当初は黒だったが、1974年に終わった昭和の大改修後は白になった。本館へ続く石畳の道も大きく変わった。道の幅を狭くして両脇にクロマツが植えることで建物の威圧感を減らした。大改修を指揮したのが昭和の大建築家・村野藤吾。そごう心斎橋本店、箱根プリンスホテル(現ザ・プリンス箱根芦ノ湖)、日生劇場などを生み出した。
迎賓館赤坂離宮の本館南側に広がる主庭の中心には国宝に指定されている噴水がある。村野藤吾は外回りを大きくしてツツジを植え、噴水のノズルも追加して市民が憩う公園のような親しみやすい雰囲気にした。本館の2階南部分にある朝日の間はサロンであり謁見の部屋。天井には馬車に乗った女神オーロラ、楕円の絵の縁には桜が描かれている。大改修の際に村野は桜柄の絨毯を敷いた。村野は迎賓館を国家の建築から国民の建築へ変えた。
迎賓館赤坂離宮の昭和の大改修では新たに和風別館「游心亭」が造られた(谷口吉郎設計、別途入場料、事前予約制)。名物は池で泳ぐ鯉。モディ首相が来日した際には鯉にエサをやる様子が報じられた。
舞踏室として造られた迎賓館赤坂離宮・羽衣の間では2019年から一般向けの演奏会が不定期で開かれている(事前予約制、別途参観料金)。ピアノは貴婦人と称されるフランス・エラール社製。門戸を開いた新たな迎賓館の姿となった。
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