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オープニング映像。
大阪府豊中市に久保修の絵を収める美術館がある。久保修切り絵ミュージアムにやってきたのは若月佑美。館内には久保さんの作品が季節にあわせて展示されている。七十二候という作品は建て90センチ横10mの絵巻。梅が咲いていて、お雛様におたまじゃくしなど二十四節気を5日おきに分けて描いた七十二候。季節の草花や生き物たち、旬の食べ物などをおりこみながら黒い線だけで5年の歳月をかけて久保修の畢生の代表作。久保さんは色を使わないのは色を感じてほしいからと答え、日本の美しさを何百年先の人にも伝えたいという思いがあり、絵巻物風にしているという。久保さんの切り絵アートはどうやって生まれるのか?今日の一枚を密着させてもらった。
杉並区・荻窪にやってきた久保修。荻窪の住宅街にひっそりと佇む荻外荘公園。荻外荘は、戦前に総理大臣をつとめた近衛文麿の旧邸宅で現在は一般公開されている。まず久保は題材となる絵をスケッチしていく。荻窪にあるアトリエに戻った久保さんはスケッチをもとに下絵を描いていく。余計な線を省いて、必要な線を残す。全ての線がつながるように描いていく。次に墨を使って黒い線でくっきり。白い部分はすべて切り抜いてしまう。ここまでで全行程の5分1が完成。
久保さんは1951年に秋吉台がある山口県美祢市に生まれた。長男の久保さんは設計事務所を営んでいた父の設計事務所を継ぐつもりで大学で建築を学んだが、建築の勉強でなにより好きだったのかパースと呼ばれる建物の完成予想図を描くことだった。紙を切った石などを貼り付けているとカッターで紙を切る線は、鉛筆とも筆とも違う表現方法だと気付いた。この感動から切り絵の魅力に没頭していった。しかし、学業をおろそかにしていると烈火のごとく怒ったのは父だった。大学を中退した久保さんは全くの独学で切り絵の世界に突き進んだ。
久保さんが切る作業で使う愛用のナイフは3種類。取り出したのは茶色い渋紙。その表面を黒く染めたものを使う。その渋紙の上に下絵をのせて、2枚一緒に切っていく。黒い線だけを残し、ひたすら緻密に根気よく切っていく。
27歳の久保さんが出会ったのはSF作家の小松左京。シンポジウムで出会い、切り絵に面白いと言ってくれ、新聞社やマスコミに紹介してもらったという。久保さんを物心両面で支えてくれた小松左京は東京と大阪で個展を開いてくれた。さらに小松のはからいで1年間のスペイン遊学へ。そこで新しい世界を吸収していく。自由に奔放にとその後、中国からシルクロードをたどり、切り絵の可能性を模索した。
渋紙について三重県鈴鹿市の大杉型紙工業は渋紙製造の老舗。渋紙は友禅などの着物を染める際の型紙として使用され、古来より伊勢で造られてきたことから伊勢型紙とも言われている。作り方は、青い渋柿の実を絞り、発酵させた柿渋を和紙にまんべんなく塗っていく。その和紙3枚一組に張り合わせ、さらに檜の板に貼り付けて天日干し。その後、室という部屋で杉や檜のおがくずを使って10日ほど燻す。これにより、ヤニの効果で伸縮しにくいようになる。半年から1年ほど寝かせてようやく完成する。
久保修の今日の一枚は一週間かけた、切る作業が終わった。切り残しがないかを確認し、ここからは色付けしていく。久保さんは、アクリル絵の具や顔料などを使用して色をのせた和紙を作る。ブラシでボカシ網を使って絵の具を飛ばす技法を用いる。程よいグラデーションが生まれ重要な役割になるという。ここまでで全工程の半分ほど。
切り絵画家の久保修さんはこの30年あまりの間麗しき季節の風景や古き良き日本の文化を描き続けてきた。1995年1月17日に起きた阪神・淡路大震災。西宮にアトリエを構えていた久保さんも被災。その後ある現場に遭遇しショックをうけた。若い夫婦が輪島塗の立派なお椀を捨てようとしていたという。その夫婦になぜ捨ててしまうのかと聞いたという。引っ越しのためと古いものは捨てると答えていたが、そうした日本の文化がなくなっていってしまうように感じたという。美しいものが消えていくと感じ、1000年持つという渋柿や和紙に無限の可能性を見出し、紙のジャポニズムというテーマを掲げた。日本の四季のかけがえのない美しさを描いた。その集大成が日本の四季の移ろいを七十二候に分類して描いた作品。色彩は見る人に委ね、切り絵に託した麗しき日本の風物詩。
若月佑美の切り絵アートが完成した。
久保さんの今日の一枚は切り抜いた渋紙のコピーのしたに、色和紙をおいて切っていく。葉の形に切り抜いた色和紙を渋紙の裏側に貼る地道な作業。久保さんは葉の緑でも色合いやニュアンス違うものを貼っていく。 製作開始から1ヶ月半で今日の一枚が出来上がった。早春の荻外莊はわかばの色とまとい始め、日剤を受けた瓦の様子、幾何学模様の窓。
久保修切り絵ミュージアムでは人々が切り絵を行っていた。
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久保修切り絵ミュージアムではワークショップが頻繁に開かれている。全国から通ってくる切り絵ファンの人々が作品づくりに励んでいる。
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