2024年6月16日放送 9:00 - 10:00 NHK総合

日曜討論
どうする“官僚離れ” いま考える「政と官」

出演者
伊藤雅之 牛田茉友 
(オープニング)
オープニング

官僚の長時間労働が問題となっている。官僚離れが深刻化。これからの官僚の役割とは。

キーワード
霞が関(東京)
(日曜討論)
霞が関の現状は

東京・霞が関などの中央省庁で働く国家公務員は約28万人。2022年度、過労死ラインとされる月100時間以上の残業をした職員は約5500人。深刻化しているのが官僚離れ。辞職者数は7年で1.4倍の2022年度には5929人。採用試験の申込数はこの10年余で約3割減少。霞が関の現状は。人事院総裁・川本裕子は「民間企業に比べると遥かに少ないが転職市場の活発化や若い世代の人生観、職業観の変化も大きい、競争相手が急速にワークスタイル改革を進める中で油断していた面もある」、陽と人代表・小林味愛は「国家公務員の業務上、どうしても踏ん張らないといけないときがある。全体の中の一部であって全部ではない」、元衆議院議員・大島理森は「政治の責任と行政の責任をもう一度明確にしておくべき」、京都市長・松井孝治は「我々が役人の時より残業は減っているが中身の充実感があるか」、京都大学教授・待鳥聡史は「仕事に内容に対する満足度、待遇の問題も含め民間に比べると見劣りする。能率の良くない働き方や無駄の多い国会対応が繰り返されている。若い人の資質を無駄遣いしているという意識を持たなければ」などとコメント。

キーワード
人事院霞が関(東京)
”官僚離れ”背景は

官僚離れ、背景は。陽と人代表・小林味愛は「官僚の仕事がやりがいがないや、ブラックな面が着目されやすいが、働いていた時はやりがいしかなかった。制度上、年功序列だが若い時から裁量権が与えられる」、人事院総裁・川本裕子は「官僚の仕事はやりがいがあって世の中を支え、国を守るというオンリーワンの仕事とという魅力がうまく伝わっていない」、元衆議院議員・大島理森は「政治主導が政治家が細々したところまでリードしていいという方向性の失敗があった。陳情者への対応はなくすのは無理。そのために政務官や副大臣という制度を作った。その人たちが機能すれば今のことも少し減るのでは」、京都市長・松井孝治は「政治家のためにやるというの間違い。むしろ政治家が責任を取る。むしろ官僚が働きやすい環境をと問える。官僚はむしろ政策的な分析に注力することが大原則。地方の公共現場の人材も疲弊している」などとコメント。

官僚離れ、背景は。人事院総裁・川本裕子は「長時間労働は人員が不足していることはよく指摘される。技術面や時代変化に柔軟に対応できていないというのがある。長時間労働もやむなしというカルチャー山インドセットもある」、京都大学教授・待鳥聡史は「政治改革の時に行政の仕事、公務員は何なのか再定義が行われないまま政官関係の変化が進んでいる。」などとコメント。

「政治主導」は/政官関係は

高度経済成長期の日本。55年体制のもとで主体的に政策の立案などに関わり存在感を発揮したのが官僚。その影響力の大きさから官僚主導とも言われた。1990年代に入り経済の行き詰まりや政官行のもたれ合いに批判が高まると総理大臣のリーダーシップを強めようとの動きが高まる。目指したのは官邸の機能を強化するなど政治主導の行政の実現。政治主導は。松井孝治は「国民の負託を得た政治家が責任を果たすあるいは選挙に際し何を行うかフレームワークを示すのが政治主導。民主党政権を支えた1人として政治主導が政治家主導になってしまった風潮は償わなければならない。政策に集中できる環境を作ることが本当の意味での政策磨きにつながる」などと述べた。待鳥聡史は「政治主導の議論が出てきて官僚は色んな所と付き合うという方向は間違ってないかった」などと述べた。大島理森は「政治は大局。行政職の皆さんはスペシャリスト。高度経済成長のときはスペシャリストの専門職から大局を考えればよかったが行き詰った。大局で方針を出すことが政治改革、行政改革、国会改革の大きな転換点だった。政治の現場にいる人は、特に民主党政権は特にひどかった。スペシャリストを封じ込めるような権力を持つ方向に進んでいたことに問題があった」などと述べた。川本裕子は「内閣人事局は各省の縦割りを超えて国全体の観点から幹部職員を任命するために設置されたものなので趣旨は今後も大事」などと述べた。バランスのいい政と官の関係について待鳥聡史は「政党間関係の問題をうまく考えないと政と官の分業関係は生まれてこない。政治側が立案を官僚が具体化していく」などと話した。

キーワード
高度経済成長期
複雑化する課題 どう対応

官僚の業務量の目安と財政歳出の水位を紹介。新たな政策課題が浮上する中拡大傾向にある。しかし国家公務員の数は抑え込まれている。30代男性の官僚は「慢性的な乗務過多。業務効率化で対応するのは困難」。20代男性の官僚は「業務量を減らすこと自体困難。ホワイトな働き方が出来る兆しが見えないくらい業務量が多い」などの声が上がった。川本裕子は「DX化をもっと進める必要もある。業務量に比べ人員が足りてない。政府として国家公務員の転移問題を考える時期にきている」などと話した。

「官」「民」の役割は

多様な課題にどう対応していくのか、いまのままで対応ができるのか?と聞かれ松井孝治は「官僚組織全体を変えないといけない。官僚の垣根を低くして中途採用で専門的な人材をもっと登用する。あるいは公務員でない人たちと政策的な共同をする。社会全体で公共政策を作る、あるいは公務員になる垣根を下げて、複合的な課題を解決する仕組をつくっていかないといけない」などと話した。川本裕子は「民と官がともに知恵を出し合いながら社会課題を解決していく。新卒採用と同様に経験者採用も伸ばしていく」などと述べた。

複雑化する課題 どう対応

職員を募集しても賃金や待遇が理由で人が集まらないという声もあった。必要な人材を確保するためどのような対応が必要?と聞かれ川本裕子は「国家公務員の給与は民間の数字を元に出している。競合する産業、企業の比較において競争力はない。そのあたりをどのように考えていくのかっていうことはあると思う」などと述べた。松井孝治は「官僚が官僚だけで政策を作るんじゃなくて、官民協調が絶対に必要。それを可能にする制度改正をお願いしたい」などと述べた。

これからの官の役割は

これからの官僚に何が求められるのか?という質問。小林味愛は「官僚は編集者だと思った。これからの 時代、一部の意見を聞いて政策を作っていればいいというわけではなくて、民間とも共同しながら、社会に新しい価値を見出していく。そうしないと人口減少の時代に対応できなくなる。その意味で編集者と同様の能力が求められていると思っている」などと話した。公務員の仕組みを見直すための法整備などはする必要があるのか?などと聞かれ、川本裕子は「応募者が減っている現実はある。諮問会議を設けて長期定期なプランをいま作ったりしている。すぐに議論をはじめたほうがいい」などと話した。

(エンディング)
エンディング

エンディング映像。

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