- 出演者
- 寺門亜衣子 島崎和歌子 桐山漣
今年3月、政府は南海トラフ巨大地震についての被害想定を全面的に見直した。想定では、最大M9クラス・震度7。被害地域は静岡~宮崎の10県。10mの以上の津波が関東~九州13都県。死者最大29万8000人。さらに今回避難所などで体調を崩して亡くなる災害関連死を初めて推計、最悪5万2000人におよぶ。明日をまもるナビでは2回にわたって徹底解説する。
南海トラフ巨大地震発生時に気を付けなければならないのが家具の転倒。家具を固定していない家の震度7を想定した実験映像では家具が倒れ下敷きになることで逃げ遅れや命を落とす可能性もあるため家具の転倒防止対策が必要。専門家が進めるのはL字金具による固定、取り付けが難しい場合はつっぱり棒を使用する方法もあり天井板の裏に木材がある所など強度の高い部分に取り付け、ストッパーと併用するとよいという。他重たい調理家電は粘着マットで転落防止、冷蔵庫はベルトで壁に固定する。食器は滑り止めシートを敷き、S字フックで固定できる。安全な家にするポイントは倒れてこない・落ちてこない・移動してこないの3つのないにすること。
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- 南海トラフ巨大地震
揺れへの事前対策、続いては耐震化について。木造家屋の耐震基準では1981年、81~2000年、2000年以降では基準が違う。壁が少なかった旧耐震基準から新耐震基準となり、その後補強や基礎をした現行の耐震基準となっている。ビルでは81年より前の基準と81年以降の基準のみで比較的小さな揺れには被害がないが強い揺れには命を守る設計となっている。南海トラフ地震は2つに分かれ、余震が多く起きたりするので何度起きても大丈夫なマンションがよいと解説した。
家屋倒壊から命を守るには耐震化が重要。1981年以前の古い基準で建てられた2棟の木造住宅で、耐震補強の有り無しで震度7相当の揺れを加える実験を行う。補強していない方は壁が崩れたが、耐震化済みの方は外観の大きな損傷はみられなかった。2回目の揺れを加えると補強していない住宅は倒壊した。自宅が耐震化するべきかどうか、それを判断するために行うのが耐震診断。専門家が家の外壁や柱、床、基礎の強度などを調査し、問題があるかどうかを診断する。耐震診断でかかる費用の目安は木造住宅人棟あたり数万~住数万円程度。耐震改修は木造平屋建て場合、100~150万円程度で最も多く行われている。
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- 日本建築防災協会
耐震化について福和伸夫が解説。自治体によっては耐震診断や耐震改修工事に援助金が出る場合もある。倒壊した場合は解体費用や仮設住宅などで多くの費用がかかってしまう。耐震化では住みながら補強することも出来る。報告書で公表された揺れによって全壊する建物の数の試算では、耐震化率が約90%から100%になれば7割減り、建物倒壊による死者も8割近く減る。
静岡市駿河区で行われた津波避難の訓練。この地区では地震発生から最短4分以内で最大11mの津波が到達すると想定されている。静岡市からは避難先や到着までの時間、持ち出し品などを書き込む「私の避難計画」というシートが配られた。250人以上の住民が参加した津波避難タワーまでの訓練では、それぞれが私の避難計画を活用し避難を自分事にすることが出来た。
私の避難計画では、避難のタイミングや避難先など空白部分を自分で調べて記入する。最寄りの自治体では避難所などの情報がホームページに記載されている。自分ごととして津波から避難することが出来るれば避難を減らせるという試算では、死者は約7割減らすことが出来る。
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防災の知恵を紹介。今回は「乳幼児のいる家庭の備え」。まずママバッグは両手が使えるリュックが便利。指に付けられるライトも両手を開けるのに役立つ。周囲に自分の存在を知らせる笛は、中に玉が入ったいないものなら濡れても音が出る。そして赤ちゃんの移動に便利なのが「へこ帯」。軽くて嵩張らず、おんぶも抱っこもできる。
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- 東京都助産師会
南海トラフ巨大地震では火災にも注意が必要。過去の地震では電気や電化製品が原因で起こる「電気火災」が多くみられた。阪神・淡路大震災で起きた火災の約6割は電気関係によるもの、東日本大震災でも火災原因の半数以上が電気関係だった。また停電復旧時に起きる通電火災にも注意が必要。通電火災を防ぐには、地震後安全が確認されるまでブレーカーを落としておくか、コンセントからプラグを抜いておくことが大切だという。さらに揺れを感知すると自動で電気を遮断する「感震ブレーカー」も有効策の1つ。数千円程度で設置できる簡易タイプもあるとのこと。
福和さんは「地震後は断水が起きたり家屋倒壊で消防車両の通行が困難になったりするので、出火を防ぐ意味で感震ブレーカーは非常に大事」などと話した。感震ブレーカーの設置率は現状8.5%だが、これを100%にすれば消失する建物の数を5割減らせるという。また真夜中に停電した時に備え、懐中電灯やスリッパをベッドの近くに置いておくことが大事だという。
備蓄について。東京都は1週間分の備蓄を推奨している。福和さんは「都内に住む人は田舎に住む人よりさらに多く備蓄しておく必要がある」などと話した。また「カップ麺を食べる時はお湯が必要なのでカセットコンロが必要になる。携帯を使うには電気が必要なのでポータブル電源が必要になるなど、基本の備蓄に加えて一歩先を考えて備蓄してほしい」などと話した。
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島崎さんは「自分の身は自分で守らなきゃいけないと思った」、桐山さんは「地震に備えるアクションを起こしていかないといけないと思った」などと話した。福和さんは「近い将来必ず起きる地震なので対策は必要不可欠。命を守った上でその後の生活が継続できるような対策をしてほしい」などと話した。
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