- 出演者
- 田中道子
オープニング映像。
田中道子が山口市に登場。解体するのは国宝・瑠璃光寺五重塔。工事のため来年の春までシートに覆われている。ニューヨーク・タイムズで紹介されたこともあり先月からプロジェクションマッピングが披露されている。1442年に25代目の当主 大内義弘が戦で敗れ亡くなった際に供養塔として建てられた。塔の内部には本尊の阿弥陀如来坐像が収められてきた。今回で17回目の修理となる。今回解体するのは2階の屋根部分。檜皮葺はひのきの樹皮「檜皮」で屋根をふく日本独自の伝統技法。美しい曲線が特徴。出雲大社や厳島神社など格式の高い建造物に用いられてきた。耐用年数はおよそ30年。4層分の雨が落ちてくる部分は剥げて下地や竹くぎが見えてしまっている。固く張り付いた檜皮の解体は一筋縄ではいかない。難関ポイント 国宝の屋根を傷つけず檜皮を取り外せ。まずカッターで下の板に届かないよう檜皮だけを切る。続いてバールで檜皮を掘り起こす。10分後、ようやく瓦一枚分が撤去された。取り外した檜皮も国宝のため文化財の専門家と協議してから捨てていいかを判断する。2か月をかけ5層分すべてが解体される。五重塔の最上階へ。檜皮葺師の佐々木真さんが作業する。
檜皮葺師の歴史は古く京都では1300年もの昔の記録が残っている。水に強く美しい檜皮葺はおよそ30年おきに葺き替えその技を後世に伝えてきた。瑠璃光寺五重塔も創建以来16回にわたって修復工事が行われてきた。今回担当する佐々木さんは職人になりたてだった25年前、この五重塔の葺き替えに携わった。
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佐々木さんが取り出したのは檜皮の束。1束が約120枚。ひのきの森で樹齢80年以上の木から1枚1枚手作業で皮を採取する。半年間乾燥させたのち専用の檜皮包丁を使って同じ大きさに成形。それを120枚重ね合わせて1束が完成する。全部で2500束を使う。材料を作るのに時間がかかるので1年程前から用意する。現場を引退した年配の職人が材料を絶えず作っていくという。ずれないよう水で濡らした檜皮を下の段と1.2cmずらして並べる。上に重ねる際は半分ずつ横にずらし隙間を埋めるように並べる。規則的に並べることで雨風にも強い美しい反りを生み出す。竹くぎを40本程まとめて口の中に入れ、舌を使って1本ずつ出していき屋根金づちで打ち込む。あまりにも早すぎて何をしているか分からないのでスローでもう一度。竹くぎを口に入れた田中は「竹の味がする」と話した。一連の動作を右腕だけで行うのは左手で次の部分の高さを確認しながら打つため。1本打つのに1.5秒。2か月後、最上層の屋根が蘇った。きれいに仕上がるように再調整する。2年後すべての屋根が生まれ変わり再び私たちの前に姿を現す予定だ。田中は「これまで16回の人たちのバトンを受け継いでいるという話を聞いて、それが国宝たるゆえんだと思う。解体は終わりじゃない、始まりなんだな」と話した。
続いての舞台は青木ヶ原樹海。国立公園の特別保護地区にある高さ28mのミズナラの巨木を解体する。木が枯れてしまいこのままだと倒壊する恐れがあるため国と山梨県が協議し伐採を決断した。根元の直径は2.7m。樹齢は数百年。マンション10階の高さに迫る。特別保護地区なので重機が入れらないという。難関ポイント 大型重機を使わず巨大なミズナラを解体せよ。多田さんと金子さんは「空師」という木に登って上から木を解体する職人。
古の時代から木材を用いて建物をつくってきた日本。その材となる巨木を己の肉体と技術を頼りに切り出してきたのが空師です。江戸時代にはその存在が知られるようになった。空に最も近いところで作業することからいつしか空師と名付けられたそうです。使う道具は斧からチェーンソーへと変わりましたがその技は今も息づいています。近年は住宅街で大きくなりすぎた大木を安全に伐採する仕事が増えている。
まず枝を全部切り落とす。胴綱というロープで体を幹に巻きつけながら登っていく。枝を切り落とすポイントに着くと下からチェーンソーを上げて解体開始。重たい枝だと2トンはあるという。他の木から伸びたツルが絡まっていることで予定通りの方向に落ちない場合がある。ツルを丹念に切り落とす。幹を切断する回数が増えると空師の負担が大きくなるため協議の結果、6mずつ3つの塊に切り分けることが決まった。しかしその分、重量が増え落下したときに割れるリスクもある。空師は大きなコブがある部分を見つけコブと一緒に落とすことで強度を高めて割れないようにした。思わぬ方向に倒れないよう慎重に切断していく。15分後、6トンもの幹を切り落とした。その後も空師による作業が続き難関ミッション大成功。切り出された木は1年かけて乾燥させ木材として有効活用される。
エンディング映像。
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