2023年8月24日放送 0:35 - 1:25 NHK総合

NHKスペシャル
混迷の世紀 台頭する“第3極”トルコ“全方位外交”の光と影

出演者
河野憲治 
第11回 台頭する“第3極”トルコ“全方位外交”の光と影
台頭する“第3極”トルコ“全方位外交”の光と影

ボスポラス海峡はアジアとヨーロッパに挟まれた海峡でその距離は700mほど。歴史から東西文明の十字路となってきた。ボスポラス海峡の先には黒海につながる。露によるウクライナ侵攻で民主主義じね糸権威主義的な陣営との間で分断が広がっているがトルコは両陣営と接点を保ち独自の全方位外交を続けている。

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ロシア・ウクライナ双方と関係続く トルコの独自外交

7月イスタンブールで「国際防衛産業見本市」が開催され世界の防衛関係者が訪れた。目的はトルコ製の武器で見本市には700社近くのトルコ企業が出展。見本市にはバイカル社のセルチュク・バイラクタルCTOを発見。セルチュク氏はエルドアン大統領の娘婿でもある。軍事用ドローン「バイラクタル TB2」はウクライナ軍に提供され戦況を支え続けている。存在感が増しているトルコを20年以上に渡り率いてきたのがエルドアン大統領で今年の5月に行われた大統領選挙でも勝利しておりその外交手腕が注目されている。プーチン大統領とも信頼関係を築いており2019年には2人の親密さをカメラの前でアピールした。ウクライナ侵攻後もプーチン大統領と直接対談できる数少ない首相である。ウクライナに武器提供をしているトルコと外交を続けるロシアについてプロコペンコ氏は各国がロシアとの貿易を拒否している中でトルコは重要なハブで以前は対等なパートナーだったがロシアがトルコに依存する関係となったと説明。

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各国から経済制裁を受けるロシア。トルコはその経済制裁の枠組みには加わらずロシア産のガスを買い続けており関係を捨てることは政治的にも経済的にも大きな損失につながる。トルコにとっても対貿易総額が約2倍に増加しエネルギーが安定して確保できるようになっている。マフムット・ウシュクさんの企業は物流を取り扱っており急増しているのが黒海を渡って運ばれる貨物。貨物を運ぶ際にはロシアの最新情報が入ってくるようになっており、この日もウクライナ軍が設置した機雷の情報が入り危険なルートを避けている。ウシュクさんは欧米だけではなくロシアなどとも関係を維持することがトルコ経済の発展につながると考えている。トルコ政府の外交・安全保障アドバイザーのアキフ・キレチジ氏を直撃。トルコにとって片方の陣営を無視するのは難しいと話した。

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1923年にトルコ共和国が建国。イスラム教徒が国民の殆どを占める中、初代大統領のケマル・アタチュルクは世俗主義を取り入れ近代化をすすめた。朝鮮戦争の際にはアメリカ側に1万5千人とも言われる兵士を派遣されその功績から52年にNATOへ加盟。さらにイスラム圏の国としては初めてEUへの加盟も目指した。当時与党党首だったエルドアン氏は死刑制度の廃止などを約束し加盟できるとアピール。EU加盟は約束されたものと国民も喜んだが同じ時期同時列車爆破テロなどヨーロッパではイスラム派によるテロを受け、イスラム教徒への不信感が募りフランスではEU加盟に反対する声があがり加盟は暗礁に乗り上げた。その結果、欧米に偏った外交からロシアなどとも外交をする方針に舵を切り全方位外交を築いていった。アブドゥッラー・ギュル前大統領は東西どちらかを優先するのではなく東西南北とも良好で強い関係を維持し利益を守る事にしたと説明した。

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ウクライナ侵攻が続く中トルコに期待を寄せる事態が訪れた。黒海で緊張が高まるとエルドアン大統領は両首相と会う準備をしていると話し船の航行を邪魔しないことを合意させた。国連のグテーレス事務総長もトルコの協力がなければ成立しなかったと評価。少量不足となっていた中東などに国々農産物が届けられた。

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トルコが目指す”全方位外交”の先は

トルコが目指す全方位外交の先について地政学者のジョージ・フリードマン氏はエルドアン大統領はトルコはアジアとヨーロッパをつあんぐ接点にとどまらないと考え世界の仲介役を目指し実現しつつあると考えていると指摘した。そしてトルコの未来についていまは 再興の過程であるなど話した。

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各地で接点を増やすトルコ 新たな経済圏拡大へ

新たな経済圏へ拡大させているトルコ。経済界と一体となって勧めているのが中央回廊と呼ばれる物流ルートの整備。ウクライナ侵攻前まではロシアを通る北回廊を通じてアジアとも経済が繋がっていた。中央回廊は北回廊の下部分に位置している。中継地となるカザフスタンにはすでにトルコ人の物流社員がすでにいる状態でさらに周辺地域では開発が急ピッチで進められている。さらにトルコは中央回廊を通る5カ国と会談を行い連携強化を図った。さらに中国とも東西の物流を拡大させようとしていている。トルコ建国前の100年前オスマン帝国が存在し交易国家として繁栄。その精神は今も引き継がれており物流会社のウシュク氏は海外支社の社員らとトルコ伝統のダンスを踊った。

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トルコ 揺らぐ欧米との結束”NATO拡大”めぐって

台頭するトルコであるがその政権を握るエルドアン大統領は20年間、批判的なメディアを抑え込むなど欧米各国から強権的と指摘されている。その原因となったのがトルコから亡命したビュレント・ケネシュさん。ケネシュさんはトルコの新聞社の編集者として勤めていた。2016年に起きたクーデター未遂事件でエルドアン大統領は軍関係者30万人以上を拘束したり、政権に批判的な130余りの報道機関を閉鎖させた。ケネシュさんのもとにもクーデターを起こした人と関係があるとして逮捕状が出てスウェーデンに難民として保護してもらった。しかし、去年両国の軋轢の渦中に立たされた。ロシアのウクライナ侵攻を受け、スウェーデンはNATO軍と訓練を行うなど警戒を強めさらにフィンランドとともにNATOへ加盟申請を行った。アメリカなどは支持していたが難色を示したのがエルドアン大統領で加盟条件にテロ容疑者の引き渡しを要求。その中にはケネシュ氏の名前もあった。スウェーデンでは安全保障か人道主義の原則かと選択を迫られた。スウェーデンは引き渡しを拒否したもののトルコに配慮しテロへの関与が疑われる人物の在留許可を取り消すと憲法を改正。その後スウェーデンの加盟を議会にはかると表明した。

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トルコが欧米との足並みを乱す現場がもう一つ存在する。それがシリアで起きる内戦。トルコはアメリカと共に反政府勢力側を支援してきたがアメリカがクルド系武装勢力を支援したことに反発し独自判断でロシアやイランと和平協議を結びさらにクルド人への越境攻撃を行い批判を浴びている。欧米との軋轢を辞さない姿勢を貫くトルコ。さらに火種になりそうな件として国産兵器の開発と輸出でこれまで30か国以上に輸出している。新たに開発が進んでいるのが支配者を意味する名を持つステルス戦闘機「KAAN」で「F35」にも匹敵する能力を目指し各国への輸出も視野に入れている。トルコ防衛産業庁のイスマイル・デミル前長官は国の収益につながるがそれ以上に外交的な影響力が増すことと話した。

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台頭する“第3極”トルコ 分断する世界で

国際政治学者のチャールズ・カプチャン氏はトルコが国際情勢を左右する重要な存在になることは間違いなく大国と渡り合おうする。エルドアン大統領は多くの点でネオ・オスマン戦略と呼ぶ方針を追求しているなど話した。また、民主主義国の中でもインドなどリスクを減らすためは戦争でどちらも支持していない国も存在し民主主義国同士、日民主主義国どうしで同盟を組むという構図は成り立たない。世界のあり方を理解した上で課題に協力して取り組むことが重要など話した。

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(エンディング)
エンディング

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