2024年6月16日放送 1:40 - 2:29 NHK総合

NHKスペシャル
選 ヒューマンエイジ 第1集 人新世 地球を飲み込む欲望

出演者
鈴木亮平 久保田祐佳 小林快次 大川内直子 藤原辰史 
(オープニング)
オープニング

オープニング映像。

新・大型シリーズ始動!人間の未来は飛躍か破滅か

どんな望みも実現させる人間のパワーが地球を破壊しようとしている。何が人間を際限のない欲望へと駆り立てているのかに迫る。

キーワード
バケットホイールエクスカベーター
ヒューマンエイジ人間の時代 第1集 人新世 地球を飲み込む欲望
新・大型シリーズ始動!人間の未来は飛躍か破滅か/「人新世」という新時代 地層に刻まれる人間の欲望

地球に大きな影響を与えるようになった人間の不思議な性質にあらゆる分野の英知で迫る。今回は人間の欲望に迫る。研究者たちはこの時代に「人新世」という名前をつけようとしている。地球の歴史は地層に残る手がかりを元に時代ごとに違う名前がつけられている。白亜紀と古第三紀の境目からは隕石に多く含まれるイリジウムが見つかっている。地球史に残る大異変が起きたときにそれ以降の時代に違う名前がつけられる。

「人新世」という新時代 地層に刻まれる人間の欲望

「人新世」という新時代をめぐる地質調査が世界各地で進められている。プロジェクトのリーダー、コリン・ウォーターズ氏は「過去数世紀の間に起きた地層の変化とは全く違う何かが起きている」「有力な調査地が別府湾にある」と話した。別府湾海底から地層の堆積物を抜き取って調査すると、ある年代以降の地層からミクロンサイズの小さな穴がたくさん空いた物体が見つかった。化石燃料が燃焼した時に排出される球状炭化粒子で、1950年前後の地層から急激に増加していることがわかった。世界各地の別の地層でも同様の現象が確認された。エネルギーを大量消費し始めた人間の営みが地層に記録されていた。バルト海で抜き取られた地層は1950年代を境に土壌が白から黒に変色していた。1900年代初頭に地球の人口は増え続け、食糧生産が追いつかなくなった。カール・ボッシュとフリッツ・ハーバーは化学反応によって空気中の窒素を肥料として取り出すことに成功した。この発明で人類は十分な食糧を得ることができるようになったが、化学肥料を使い始めたことによって海にまで大量に流れ込み藻類や植物プランクトンが異常繁殖した。その大量の死骸が降り積もり、黒い堆積物となった。藻類などの異常繁殖は世界各地で水質の悪化や酸化濃度の低下を引き起こし、生態系を破壊している。1950年代以降の地層からはプラスチックや重金属など、人間が生み出し環境破壊を招く原因ともなっている物質が検出されている。

キーワード
オーストラリアカナダカール・ボッシュノーベル化学賞バルト海フリッツ・ハーバーフリッツ・ハーバー研究所ポオーランドレスター大学別府湾大分県大阪公立大学愛媛大学
恐竜×文化×歴史 人新世をどう読み解く/なぜ人間の欲は際限がない?最新の脳科学で大発見が

恐竜学者の小林氏は「もし私が100万年後の生命体になって今の地層を見たら、とんでもない変な生物がいたと思えるのが人新世という時代」などと話した。文化人類学の大川内氏は「人新世の到来と資本主義の発達は切っても切り離せない」などと話した。歴史学の藤原氏は「化学肥料の登場によって農村の物質循環が断ち切られていく過程と地層が大きく変わっていくことが密接に関わっている印象を受けた」などと話した。現在は第6の大量絶滅がスタートしたとも指摘されており、この50年で脊椎動物の個体数がおよそ7割減少したという記録やこの先数十年で約100万種の生物が絶滅するとうい計算もある。人間の欲に関する研究の数を調べると2000年頃から急増し、医学、宗教学、社会学など多種多様な学問分野から年に4000本以上が発表されている。

キーワード
Digital Science世界自然保護基金
なぜ人間の欲は際限がない?最新の脳科学で大発見が

動物の欲と人間の欲の違いに迫る論文を発表したウィーン医科大学のクリスチャン・ウィンディシュベルガー氏はドーパミンに注目した。ドーパミンは欲望をつかさどる物質とも言われ、動物の場合は食べ物を見つけたときなどに放出される。人間の場合は課題の答えを見つけたときにもドーパミンが出て強い喜びを感じる特性を持っていることが明らかになった。別の研究ではドーパミンに関わる人間にしか仕組みが発見された。研究を行ったアンドレ・ソウサ氏は人間の脳とチンパンジーの脳を比較しその働きを徹底的に調べた。その結果人間は中脳に加えて高度の知性を生み出す大脳新皮質にもドーパミンを放出する仕組みを備えていることがわかった。

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ウィスコンシン大学ウィーン医科大学チンパンジー
繁栄と絶滅が背中合わせ!「人間ならではの欲」の宿命

社会を発展させるために大きなエネルギーが必要という課題を解決するため、人力で行われていた化石燃料の採掘を機械化する「バケット・ホイール・エクスカベーター」が開発された。ひとたび課題を解決するともっとエネルギーが欲しくなり、さらにマシンを大型化していった。際限なく繰り返すうちに宇宙から見てもわかるほど地形を変える巨大な重機となった。食糧危機を克服したハーバー・ボッシュ法でも人間は肥料の工場を大規模化させ、世界の人口はその後の100年ほどで17億から80億にまで膨れ上がった。人間には課題解決欲があるからこそ様々な欲望に際限がなくなってきてしまう。ドーパミンを研究してきたダニエル・Z・リーバーマン氏は「人間にとってドーパミンは祝福でもあり呪いでもある」などと指摘した。小林氏は「人間が地球上に80億いるというのはいかに無理があるかわかる」などとコメント。藤原氏は「欲望は社会関係の中で生まれているのではないか」「広告を見たからとか、新しい欲望が開発されていく」などとコメント。大川内氏は「地球を持続可能なものにするため課題をどう設定するかが重要な時代になってきている」などとコメント。

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ティラノサウルスバケットホイールエクスカベーター
地球の危機をどう乗り越える?試される「人間の欲の力」

オーストラリア西部、ニンガルーリーフでは温暖化で海水温が上昇しサンゴが死滅する白化が起きていた。同じ現象が世界各地で起きており、温暖化が進めばサンゴの7~9割が消滅するという予測もある。サンゴの消滅は海の生態系を崩壊させ、生物の大量絶滅を招くおそれがある。温暖化からサンゴを守ろうと挑む科学者のケイト・クィグレー氏は、対策のカギとして熱に強いサンゴを人工的に増やせないかと考えた。生き物の性質を人工的に変化させる方法は世界中で研究が競われている。効率的なのは遺伝子の情報を操作できる技術を使うことだが、人為的に生み出した生き物を自然界に戻すと生態系の破壊につながるおそれも指摘されている。クィグレー氏は未来にリスクを残さずサンゴを消滅から守るという課題を設定し、熱に強いサンゴを計画的にほかのサンゴと交配させようと考えた。時間をかけて次第に熱に強いサンゴの種類を増やしていく計画。大川内氏は既存の技術を再活用する意味の「枯れた技術の水平思考」という言葉を挙げ「競争を過当に行いためには重要」などとコメント。100年前に発明されたハーバー・ボッシュ法はクリーンエネルギー分野で注目されている。化学肥料を作り出す際に生み出されるアンモニアは燃やしても二酸化炭素を出さないエネルギーとしても使うことができる。

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オーストラリア横井軍平気候変動に関する政府間パネル
(エンディング)
エンディング

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