日本経済新聞・柳瀬和央氏の解説。今日の注目記事は今月20日付「働くシニア年金減緩和」と21日付「103万円の壁上げ明記」。テーマは「働き方に中立な制度とは」で、柳瀬氏は「働き方、働き控えなどの問題に対応するために重要になると思われるのが働き方に中立な制度という考え方。例えば厚生労働省は現在働く高齢者の年金ルールの変更を検討している。社会保険料が関わる年収の壁。130万円の壁は扶養から外れ自ら保険料を納付。106万円の壁は週20時間以上のパートに社会保険適用。年金や医療の制度が働き方の選択を歪めてしまっているということで働き方に中立な制度になっていない。壁のどかし方は2通りあり、年収ラインを引き上げる、年収ラインを大きく下げる。社会保険料を適用する年収ラインを引き上げた場合、今までよりも長い時間働く配偶者が増える。気をつけないといけないのは扶養のままで働くことが有利という制度にどんどんなってしまい、それを理由にフルタイムで働くことを見送る人は出てきかねない。働き方の選択に中立な制度を目指すなら働き方による負担の有利不利をなくしていくことが必要。働き方に中立な制度にするなら扶養を受けながら配偶者が働いて収入を得る場合の控除を縮小するという考え方が逆に必要なのかもしれない。日本の労働市場のことを考えると、配偶者のパート労働を優遇している税制や社会保障制度にメスを入れフルタイム就労を阻害しない中立的な制度を目指した方が長い目で見た場合は労働力の確保につながるかもしれない」などと話した。