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高松放送局の山本陶子記者が解説。自主防災組織は、地域住民が自主的に作るもので、日頃から連携しながら防災訓練や啓発活動を行うほか、災害時には避難誘導や避難所の運営なども担う。大規模災害が発生した場合、自治体などの公的機関だけでは避難誘導や救助活動に限界があるとして必要性が高まっている。香川県の17の市と町には、自主防災組織が3200余りある。そこでNHK高松放送局では、その実態を調査するため、県内すべての市と町にアンケートを行った。その結果、自治体の7割にあたる12の市と町が、個別の活動については把握していないことが分かった。その理由について自治体に尋ねたところ、職員の負担が大きいため手が回っていない、活動に必要な補助金の申請状況でしか判断ができていない、個別に把握する必要性をそもそも感じていなかったなどの回答がほとんどだった。消防庁が作成した自主防災組織の手引には、自主防災組織と自治体などが連携することは、救助活動や災害情報の収集を行ううえで重要だと明記されている。また災害対策基本法では、自主防災組織の充実に努めることが市町村の責務の1つだとして盛り込まれている。地域防災に詳しい香川大学の磯打千雅子特命准教授は、自主防災組織と自治体の連携が進まないことのデメリットについて「地域の復旧復興のスピードがダウンしてしまう」と指摘している。その上で「防災担当部局だけでなく、住民と関わるすべての部局で日頃からコミュニケーションを取ることが必要であり、住民も自治体側の対応を知ることで、連携するべきポイントが見えてくる」と話している。そして磯打さんが最も強調していたのが「自治体も住民もすべての人が防災に関わる」という視点。自分の身を自分で守る自助、そして住民どうしが協力し合う共助、そして自治体などの公助、この3つをすべて切り離さずに考えてほしいという。今回の取材を通して、自主防災組織を作ったものの、高齢化や担い手不足などが理由で1年以上活動していない、いわゆる名ばかりの自主防災組織があることも見えてきた。いざというときに混乱しないためにも、自治体と住民が声をかけ合って、それぞれの地域に応じた災害対策に取り組むことが必要。