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東南アジアのマレーシアでは、現地発の新興コーヒーチェーンが勢いを増している。その背景を探った。東南アジアで経済成長著しいマレーシア。現地では「コピ」と呼ばれる甘さが特徴のコーヒーが親しまれてきた。ここ数年は、欧米などで普及するスタイルを選ぶ若者も増えている。拡大する需要を取り込もうと、外資の大手チェーンなどが出店を加速。昨年末の店舗数は3300軒余りと、前の年より3割近く増加した(ワールドコーヒーポータル調べ)。しかし、国民の6割以上がイスラム教徒のマレーシアでは、米国のコーヒーチェーンなどへの風当たりが強くなっている。ガザ地区で1年以上続くイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘。米国はイスラエルを支持する立場で、企業への不買運動にもつながっている。一方、現地発のコーヒーチェーンでは、店舗数の増加が続いている。創業から5年で640店舗を超え、国内で最多となった。会社の強みは、創業メンバーの多くがITに精通していること。若者などを意識したアプリは、自社で開発した。指定された時間に注文すれば、割引が受けられるなど、ゲーム感覚で特典が得られる仕組みを導入。店にとっては昼どきなどに客が集中することを避けつつ、テイクアウトの客を増やすことにつながる。その結果、店舗は小さく、少人数で運営することが可能になり、コーヒーの価格は大手チェーンより3割ほど安く提供できている。
コーヒー需要の拡大を見込んで、日本企業も新たに参入。ことし8月に1号店をオープンしたカナダの大手チェーン。その運営を担うのは、日本の大手商社。店舗で取り入れているのは、ハラル認証への対応。豚肉やアルコールなどは一切使わない。宗教に左右されず、幅広い消費者に受け入れてもらいたいという。丸紅・佐々木拓海さんは「現地の方々の嗜好にあわせた商品を投入する、興味を持ってもらい店に足を運んでもらえるようなブランドになれたら」と述べた。