- 出演者
- 土屋礼央 岡田結実 村山輝星 桝太一
今回は謎多きクジラの体を徹底解剖。クジラは南極・北極から赤道まで世界中の海に生息、生態系の頂点に立つ海の王者。クジラの仲間は90種以上、鯨類という仲間。体長4m以下のものをイルカ、それより大きくなるとクジラと呼ぶ傾向にある。クジラはほ乳類、海の王者がなぜほ乳類なのか?シロナガスクジラの全長は最大で33.6m、40億年の動物の歴史でもここまで大きい体になった動物はクジラと恐竜ぐらいしかいない。なぜクジラは巨大になっていったのか?
なぜクジラは地球上最大になったのか?福岡県のマリンワールド海の中道にやってきた。ここでは350種3万匹の海の生きものを飼育している。この水族館で一番大きいクジラはコビレゴンドウのユキちゃん。最大で全長6m、このサイズが水族館で飼育できる限界のサイズ。ご飯はサバやイカなど。全長30m以上の地球最大のシロナガスクジラの獲物はイカや魚ではない。地球で2番目に大きいナガスクジラの狩りをみてみると海水だけを飲んでいる。クジラの解剖調査や標本化を行う国立科学博物館の田島さんに聞いてみると、海水の中にはオキアミなどのプランクトンがいるという。食べるときには下アゴが膨らんでいる。クジラには下アゴから腹にかけてある縦スジの畝という部分がある。この畝が独特な進化をし蛇腹のように伸びて口の容量が何倍にもなることで多くの獲物を取り込めるようになっている。一口で海水とプランクトン70トン。クジラには口の上アゴから垂れ下がって生えているヒゲ板がある。ヒゲ板がプランクトンを食べるときに重要な役割を果たしている。クジラは海水ごとプランクトンを口の中に取り込み、ヒゲ板を通して海水だけを吐き出す。そのとき、ヒゲ板によってプランクトンだけがからめ捕られることで効率よく獲物を食べている。クジラにはヒゲクジラ類とハクジラ類がいて、ハクジラ類は人間と同じ歯を持っている。巨大なクジラの証しは畝とヒゲ板にあった。
クジラは豊富にあるプランクトンを食べ続けた結果、巨体がつくられた。国立科学博物館の田島さんがスタジオに登場。世界中のいちばん生物量が多い生きもののひとつがオキアミとされているので、プランクトン(オキアミ)を食べる選択肢は理にかなっているという。ナンキョクオキアミは南極海での生物量が6000万~4億2000万トンと推定されている。大量の獲物がいる環境がクジラの巨大化の大きな要因となっている。クジラは消費エネルギーを抑えながら効率的に多くの獲物を食べられるという。スタジオに本物のヒゲ板が登場。セミクジラのヒゲ板は上アゴに沿って1枚ずつ規則正しく並び、合計約400~500枚生えている。クジラ以外にもプランクトンを食べているのはウバザメ、ジンベイザメ、メガマウス。鰓耙というほとんどエラに近い部分でヒゲクジラと同じようにプランクトンをキャッチしてエラから海水を出している。獲物をこし取って食べる動物は他にもいる。カニクイアザラシの口の中はすきっ歯によってオキアミをからみ取っている。
マッコウクジラの深度は約2000m、潜水時間は1時間13分。ヒトは深度約10m、潜水時間は1~2分。クジラにはほ乳類とは思えない潜水能力がある。ハクジラ類のマッコウクジラは普段は水深約1000mで狩りをするなど、一生のうち3分の2を深海で過ごす。クジラ界ナンバー1の潜水能力があるのはアカボウクジラ、潜水深度は2992m、無呼吸時間は2時間18分。ヒトと同じほ乳類とは思えないほどの潜水能力。シロナガスクジラの心臓模型をみてみると、高さは約1.5m、重さ180キロ以上という驚きの大きさ。心臓が大きいから長時間潜れるというわけではないという。長時間潜水の鍵は心拍数。水族館のハナゴンドウのミルクちゃんの心拍数を計測してみると、60回/分と人間とそこまで変わらない。スタンフォード大の研究チームがシロナガスクジラの心拍数を9時間計測したところ、2回/分。心拍数が下がると、酸素の消費量が減少するため息が長く続く。その間、生命維持に重要な器官には優先的に供給しているため気絶はしないという。クジラは酸素を節約することで長時間潜れる体に進化した。水圧は水深10mで1気圧ずつ増加する。水深1000mでは地上の約100倍。人間の内臓は複雑な形をしているため潰れやすい。ハナゴンドウの脾臓は丸っこい。他にも肝臓や肺などクジラには丸っこい臓器が多い。球体は全体に力を分散させることで圧力に強い。
クジラの肉は他の動物よりも色が赤いのが特徴。赤いのはミオグロビンというもの。ミオグロビンとは筋肉中に存在するタンパク質、含有量を比べるとヒトが約0.5%なのに対し、マッコウクジラはその3倍以上の1.6%。酸素が体から無くなったときには、ミオグロビンが酸素を離して必要なところに供給するという役割をしているという。ミオグロビンは運ばれてきた酸素を受け取り、筋肉内で貯蔵する、潜水時には酸素を放出するというお酸素ボンベのような役割を果たしている。
クジラの不思議なリングとは?海面に浮き上がった白いリングはザトウクジラが出した泡。海の中で連携して大きな泡をつくるように空気を放つ。獲物となる小魚・プランクトンを泡のカーテンで囲い込んでいる。これはバブルネットフィーディングというザトウクジラならではの狩りのチームプレー。
クジラは深海で爆音を響かせている。福岡の水族館で調査。ハンドウイルカをチェックしてみると聞きなじみのある鳴き声。この音は仲間同士のコミュニケーションにも使われるが爆音とは別物。水中カメラで録音してみると、先ほどとは違う不思議な音がした。水深200m以下では真っ暗で視界がきかないため、獲物を見つけるときに音を使う。ハクジラ類は美声門を震わせて超音波を出している。それに跳ね返ってくる音で障害物・獲物の位置を知る。独特な音の使い方をするのがマッコウクジラ。カチカチという音を大音量で出している。それはジェット機の音に匹敵する大音量。マッコウクジラは深海で獲物のダイオウイカと格闘を繰り返しているという。広大な深海を大きな音で広範囲に探査している。その音が届く距離は西田で数十キロメートル。マッコウクジラが音を出すのは頭の先端にあるヒダ、脳油とジャンクがメガホンの役割をし音の大きさを調節している。マッコウクジラは大きな音を出して広範囲に探査することによって深海で獲物を捕食することができる。クジラには音を操るエコロケーションという進化の証があった。
クジラには音を操るエコロケーションという進化の証があった。水は空気に比べて密度が高いため、振動が広がりやすく音を伝えやすいというのがある。田島さんがクジラが出す特殊な音を紹介してくれた。ゾウのような音はザトウクジラが奏でるラブソング。このラブソングを出すときはお嫁さん探しをしているオスしか出さない。ラブソングに使われる低周波は波長が長く広範囲に伝わる特徴がある。
エンディング映像。
へんてこ生物アカデミーの番組宣伝。