2024年6月3日放送 19:30 - 19:57 NHK総合

クローズアップ現代
家計支出が10万円増? “34年ぶりの円安”で暮らしは

出演者
桑子真帆 
家計支出が10万円増?“34年ぶりの円安”で暮らしは
“34円ぶりの円安” 家計支出10万円増?

きょうのテーマは円安。円安で様々なものの値上がりが続いている。都内のスーパーで売られている牛肉は国産価格328円だが、アメリカ産は350円、価格が逆転してアメリカ産の方が高い。国産レモンは国産66円、アメリカ産80円。円安の進行や世界的な異常気象の影響もあり、輸入品全体が1~2割ほど値上げしている。100円ショップにも円安の波が押し寄せている。以前はカップ麺を常時50種類揃えていたが、今は10種類に減った。仕入れ値が高騰し100円以下で仕入れられる商品が減ってしまった。円安・原油高による家計への負担は今年度10.6万円増加とされている。ドル円相場はここ2年余りで約40円進んだ。

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レモン
“34円ぶりの円安” ハワイ物産展が人気

先週末、都内で開かれたハワイの物産展。輸入品が値上がりしているにも関わらず客が詰めかけていた。ハワイ生まれのフレーバーコーヒーは3年前に比べて約2割値上がり、ディヒューザーは3年前に比べて約5割値上がりしている。価格が高騰しても現地に行くよりはお得だとして去年より客が増えた。

ハワイの物産展は全国でも人気を集めている。大手百貨店によると、円安がはじまってから売上が2.4倍になったという。コンセプトはハワイに行くではなくハワイを呼び込む、円安の進行も鑑みてイベントを拡大しているという。渡航費・滞在費の高騰により海外旅行の行き先に変化が見られる。ハワイは今年の大型連休でトップ3に入っていなかった。

“34円ぶりの円安” 家計支出10万円増?/“34円ぶりの円安” 家計負担は増す一方で/“34円ぶりの円安” なぜ?いつまで続く?/“34円ぶりの円安” 日本の“買う力”が低下

国内旅行も高騰している。国内のホテル代金は2年前に比べて24%アップしている。背景にあるのはインバウンド需要の増加、今年3月の訪日外国人旅行者は308万人で過去最多となった。いま人気なのはキャンピングカーのレンタルやシェア、今年7月・8月の予約は去年の2倍だったという。ファイナンシャルプランナーの高山一恵さんは円安だからこその発見がポイントだという。円安で家計が苦しいからこそ、新しい視点で新しい楽しみを生み出せるようになると話した。一方で上場企業の昨年度の業績は最終損益の合計がプラス48兆8466億円と推計され、3年連続で過去最大。背景には日銀の異次元緩和の開始と合わせるように円安が進み、上場企業の業績が上がってきた。家計負担が重いのは、円安による恩恵格差があるとみられる。円安の背景の一つに日米の金利差がある。日米の金利差が円を売る動きにつながっている。デジタルサービスは家計の見直しをする際には指摘されやすい、コロナ禍で在宅勤務が定着したことでデジタルサービスを利用することで効率よく仕事ができるようになるということもある。

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日本銀行

円安が進んだことで、円の価値が下がって日本が海外からモノを買う力も低下している。2024年のビッグマックの価格で1位はスイスで1206円、日本は45位の450円。2004年には日本は16位だったので、この20年で順位を下げている。日本の1日の賃金で買えるビッグマックの数、2005年ごろと比べて20個以上も減っている。これはモノの値段の上昇に賃金の上昇スペースが追いついていないということ。実質賃金は今年3月まで24か月連続でマイナスとなった。今年の春闘では5%超の賃上げが行われた。

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ビッグマック
“34円ぶりの円安” 円安を追い風に

長野・安曇野にあるわさび畑。わさびの販売価格は国内であは1本4000円だが、海外では2万円になることもあるという。円安が後押しとなり、昨年海外での売上は2年前の約1.5倍に増加した。海外とのやりとりはSNSで対応している。現在の輸出先は14か国にのぼっている。フランスでは創作料理の材料に、イギリスではカクテルに使用されている。この農家では円安が進む今年、さらなる売上アップに期待を寄せている。

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わさび安曇野(長野)
“34円ぶりの円安” 円安を追い風に/“34円ぶりの円安” ゲストからの提言

円安を追い風にしている企業は他にもあり、群馬のこんにゃくメーカーは輸出額が4年で150倍になった。秋田のパックご飯メーカーは輸出量を1万食から来年は1500万食へ増やすと新工場を建設している。日本が円安を乗り切るためには、海外からの投資が必要。台湾の半導体メーカーは熊本に新工場を作り約1兆2900億円の投資をした。アメリカのIT企業もデータセンター増強のために巨額の投資を相次いで発表している。政府は対内直接投資残高を2030年までに100兆円にすることを目標としている。主要国の対内直接投資残高と日本を比べてみると、198の国と地域の中で196番目となっている。今後必要なことは海外にあるお金を国内に、格差の解消が必要になる。

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TSMC熊本県

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