- 出演者
- 桑子真帆
モバイルバッテリーが突然発火など、モバイル機器に多く使われるリチウムイオン電池の発火事故が増えている。リチウムイオン電池のリスクと扱い方について考える。
オープニング映像。
モバイル機器に多く使われるリチウムイオン電池による火災ややけどなどの事故が増加傾向にある。10年間で約5倍になっている。
大阪府の田中さん家族。インターネットで購入し2年ほど使用していたモバイルバッテリーが充電中に発火したという。とっさに水をかけた。電動アシスト自転車から突然火が。純正品ではないバッテリーを使用していた。様々な製品に使われているリチウムイオン電池がなぜ発火するのか?リチウムイオン電池は使用を続けると劣化し、内部に可燃性のガスがたまる場合がある。この時、製品が膨張することもある。こうした状態の電池に衝撃や圧力が加わって内部の部品が破損した場合や充電し過ぎた場合などに電池に負荷がかかる。すると、熱が発生するなどして、内部のガスが発火する。
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多額の金銭的負担が生じた人もいる。去年12月、都内のホテルに宿泊した際に、友人のスマートフォンが充電中に発火。部屋の一部に被害が出た。部屋の補修費用などとして約37万円を支払うことになった。去年12月、茨城県のごみ処理施設で火災が発生した。リチウムイオン電池が原因とみられ火が消し止められたのは20時間後だった。内部の損傷は甚大で火災のい激しさを物語る。リチウムイオン電池が不燃ごみに混入し火災を引き起こしたとみられる。今も不燃ごみ施設は稼働を停止したままで復旧のめどが立っていない。仮置きしている不燃ごみは約300トンにのぼる。処理は民間業者に委託し、1億4500万円ほどがかかる見込み。事故を防ぐため、ごみ収集の現場は対応に追われている。東京・町田市では中身を一つ一つ確認している。本来、リチウムイオン電池は有害ごみとして回収しているが、多い日には100以上見つかることもあるという。施設内でも人員を防ぎリチウムイオン電池の混入がないか確認している。すでに煙が出ている危険な状態のものもあった。この施設で起きた発煙・発火は年間1000件以上。
専門家は消費者もリチウムイオン電池のリスクを認識した上で、廃棄にいたるまで責任を持つことが重要だとしている。
リチウムイオン電池搭載製品の事故は年間400件ほど。池谷知彦さんはリチウムイオン電池は適切な環境で適切な使い方をすることで安全性は担保できると思うという。事故を防ぐために、買い方、使い方、捨て方を紹介する。使い方の注意点は落としたりぶつけたりしない、温度が高い所にはおかないようにする。就寝中・外出時の充電は控える。モバイルバッテリーが膨らんだ場合は、フタができる鍋などに入れる。火・煙が出たら消化器を使ったり水をかける。捨て方は自治体によって違うので確認が必要。回収している所はほとんどが不燃ごみに出せない。家電量販店などには回収ボックスがある。環境省は来年度にはリチウムイオン電池の捨て方の統一的な方針を全国の自治体に示す予定。買い方の注意点、事故原因の内訳で約半数が製品に問題、製品に問題の可能性があった。
事故が起きた製品を分析すると、設計や構造に問題がある事例が度々確認された。過充電を防ぐ安全装置がついているが、非純正品には安全装置がついていなかった。純正品に比べて大幅に安く売られていた。番組ではモバイルバッテリーやワイヤレスイヤホンなど複数の製品を調べた。いずれも通販で極端に安い製品。簡易的な検査をしたところリスクのある製品が見つかった。電池のマイナス極が短い部分があり、ショートしてしまい発火につながる可能性があるという。28個調べたうち5つにリスクがあると指摘された。
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メーカー側も安全対策を進めているが、事故のリスクをなくすことは難しいという。大手モバイルバッテリーメーカー、主力の価格帯は3000~8000円台。全ての製品に発火を防ぐ保護機能を複数取り付けている。しかし、このメーカーの製品でも発火事故は起きている。原因を特定しようとしても燃えてしまっているので、使い方に問題があったのか製品に問題があったのか把握するのが難しいという。
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事故を防ぐ注意点を紹介。製品を買うとき、非純正品や極端に安い製品は注意、事故・リコール情報を調べる、PSEマークがあるものを選ぶ。PSEマークとは安全基準を満たすことを証明するもの。池谷知彦さんはリチウムイオン電池をかしこく使うことを覚えてほしい、PCや携帯は友達だと思って大事に使ってほしい、リサイクルに回すことも大事だと話した。